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第五十二話。カミナリ姫と椅子~戦果報告とビターな話

俺が入り口近くの詰め所に、

ポーション作りの道具を置きに行くと、

臓物を貰って腹いっぱいの犬達が、

巣箱に入り幸せそうに眠っていた。


へへへ、今日はな、お前達以外の集落のみんなも、

良い事ずくめだったんだぜ?


山神様がシガラキ様となり、

タヌキ族を守護してくださるハズだし、

その第一歩に、リリーは聖女となった。


防御壁もいい感じだし、

薬草と聖水でポーションも作れた。


これで、集落の金回りも良くなるだろうし、

ダンジョンに潜るのに、

良い防具を手に入れる目処も付いたってもんだ。


先に希望が持てる、明るい展望だ。


俺は、ついでに修理が要る投げ斧投槍も、

テーブルの上にアイテム収納から出し、

眠る犬を撫で、広間に戻る。


広間のテーブルと小上がりでは、晩飯の準備が進められていた。

今日は、本当にご馳走だ。


俺の歓迎とか初ダンジョン祝いとか、

そんなもんは無かったのさw


シガラキ様の御加護を受け、リリーが聖女となったんだ。

山ほどの肉と、高級酒か、みんな幸せそうだ。

子供達は、肉が大好物だもんな。

俺も大好物だがw


リリーも、キッチンから、晩飯を運ぶのに参加していた。

山ほどに、こんもりと大皿に盛られた、

焼肉を運んでいる。


リリーは、テーブル席にも小上がりにも向かわなかった。

肉の盛られた大皿を、祭壇に供える。


子供達から、声が上がる。

「お肉食べたいー」「こっちにー」

「お肉ー」「おなかすいたー」


リリーは、子供達に向かって言う。

「シガラキ様が先よ?

祈りを捧げてから頂きましょうね」


リリーは、俺を見ておチビ達に言い直す。

「シガラキ様と、

アルファの神様にも祈りを捧げてから、頂きましょうね」


「アルファの神様ー」「知ってるー」

「兄ちゃん連れて来たんだよねー」「シガラキ様と友達ー」


席に付いている大人達は、微笑んで子供達を見ていた。


俺は、当然のごとく、小上がりのダンザの隣に座り、

食事が運び終わるのを待った。


くはぁ・・・美味そう・・・ハラ減ったなぁ・・・。


ダンザが、犬達の様子を聞く。

「あいつら、寝てただな?」


「ああ、撫でても起きやしなかったよw」


テーブル席から、オーラスさんが俺に話しかける。

「今日は、聞きたい事が沢山あるな。

まずは、防御壁がどうだったか、だな」


テーブル席のドラカンさんが言う。

「まぁそうあせるで無いだーな」


ダンザが、急に何かあせった様に、俺に向かって言う。

「アルファ、マメダ!」


「あ、ヤベ!!」


俺達は、小上がりから飛び降り、走って地下に向かったw

後ろからは、「ははは、怒られるぞー」

と誰かの声が聞こえる。


マメダ・・・お前も女性陣として、

キッチンで手伝いした方がいいんじゃないか?


キッチンでも広間でも、あっちに居るんだろうってな感じで、

居なくても誰も気が付いてなかったぜw


階段に近づくと、ダンザは叫んだ。

「メシー!」


俺達は、足を止める事無く、そのまま走り続けた。

地下に付くと、マメダの作業はホボ終わって居た。


先に付いたダンザが、息を切らし言う。

「マメダ、メシだーな」


マメダは腕を組み直立不動で、

ダンザの後ろから走ってくる俺を見て言う。

「踏み台と板張ったから、どんな感じか試して頂戴よ」


俺は、階段を駆け下り、地下に駆け込んだ勢いのまま、

防御壁に新たに付けられたステップを踏み、

板の張られた後方の定位置に立つ。


ちょっとツンのめった・・・。

「はぁはぁ・・・いいと思う」


マメダは、腕を組んだまま、冷たい目をして言った。

「アンタ達、忘れてたわね?

走って来たからまぁ許すけど、上で食事が始まってたら・・・」


ダンザが、マメダの怒りを静めるように言う。

「ま、まだ食ってないだーな。

な、アルファ」


俺も言った。

「ま、まだだよ。

ホラ、全員揃ってお祈りしてからだろ?」


俺達は、雷を内包したマメダさんを先頭に、

広間に戻る事とした。


セーーーーーフ!!


広間では、食事はまだ始まって居なかった!

俺達の帰りを皆待っていてくれたw


ありがとう、みんな、ありがとう。

おチビ達、ありがとう、本当にありがとう。


リリーの音頭で、シガラキ様とアルファの神に祈りを捧げ、

食事が始まった。


危なかったぜw

雷姫様から、特大の雷を食らう所だった。


オーラスさんの奥さん、

トンバーさんには集落の誰も逆らえない。


若年性トンバー・・・

マメダの怒りも買わない様に気を付けようw


俺とダンザは目を合わせ、

過ぎ去った危機に胸を撫で下ろした。


食事中は、話が大盛り上がりだった。

オーラスさんは、防御壁からと言ったが、

そうは行かない。


リリーがライトで魔石を暴発させた事から始まり、

シガラキ様との交信、

広間を今照らしているリリーのライトの効果と続く。


中距離防御壁戦法、1~5階は無傷で完勝。

続いて、6階での虫毒の大戦果。


おチビ達は、俺達がダンジョンに行っていた事に驚き、

どうなるのか心配して居たが、

話が進むに連れ、最後には大興奮して居た。


ははは・・・

俺達、無事に帰って来たの知ってるじゃんw

おチビどもめ、可愛いヤツラだ。


話は主にハチムが進めたw

珍しい。


気弱ハチムが嬉々として、オーラスさん達に今日の出来事を語り、

ドラカンさん、俺、ダンザ、マメダ、リリーは、

補足をする感じだった。


ダンジョンでの出来事に、

元冒険者組みが興味深々なのは勿論、

ダンジョンに入った事の無い、

トンバーさん、サニーさん、カブールさんまでも、

興奮し喜んでいた。


ドラカンさんの〆で、晩飯と歓談が終わる。

「シガラキ様とその使い、有難い事だーな。

我らタヌキ族は、守護神を得て、

そのご加護にすがって暮らしていく事となっただー。


この集落だけでは無いだーぞ?

全タヌキ族の命運を、我らが担う事となっただー。

そこを肝に銘じて、皆シガラキ様に失礼の無いようにするだーな。


それと、もう一つ心配事が無い訳ではないだー。

シガラキ様は獣神・・・ここは神聖国ライツ・・・。


我らは、そこに勝手に住み着いている身だでな・・・。

事によると、この集落を出る事になるかもしれんだ」


オーラスさんが、みなに心配を掛けないように言う。

「先の話だし、そうなるとも限らん。

先ずは、ターク神父に話を通してからだ。

あの方なら大丈夫・・・上手く事を運んで下さると思うが・・・。


まぁ、今しばらくは、シガラキ様、リリーアルファの事は、

外に隠しておこう。

全ては先の話だ」


リリーが、笑顔で言う。

「もしそうなっても、

私達にはシガラキ様とその使いが居てくれるわ。

心配要らない・・・そうよね?アルファ」


俺に、話しを振られても・・・。

「もし、ここを出たって、他所のダンジョン、

南のゼンツで稼ぐだけっすよ。

薬草が聖水でポーションに格上げ出来る事は、

何も変わらないっす」


ダンザ、マメダ、ハチム、若手は口々に言う。

「俺達でもダンジョンで稼げるだーな」


「こっちには聖女が居るのよ?」


「虫毒を授け、防御壁を携えた、神の使いも居るしね」


それを聞いた、ニック夫妻、レンダ夫妻、トンバーさん、子供達。

みんなの顔は明るかった。


晩御飯は終わった。


晩御飯の片付けや、詰め所に作業に向かう者、

祭壇や小上がりで遊ぶ子供達。

その子供達の世話をする若手達。


俺は、斧槍の修理に、詰め所に行くとした。


元冒険者組みの四人が、

詰め所でポーション作りや斧槍修繕作業に入っていた。


俺は、アイテム収納から石を出し、槍先作りを始める。


作業が、終わろうとする頃、

オーラスさんが、トイレに立ち、トンバーさんを連れて戻って来た。

詰め所の扉を、オーラスさんが閉める。


詰め所には、

ドラカンさん、オーラスさん、ニックさん、

レンダさん、トンバーさんと俺だ。


ドラカンさんが、神妙な顔で言う。

「アルファ・・・ありがとうな・・・」


オーラスさんも、神妙な顔だ。

「本当だったな、神の使い」


ニックさん、レンダさんも言う。

「我らに神の御加護か・・・」


「ホントにねぇ」


トンバーさんが続ける。

「ここに住み着いた時には、

どうなる事かと思ったもんだよ」


俺は、妙に湿っぽい雰囲気に戸惑い言った。

「な、なんすか?皆さん」


ドラカンさんが、答える。

「いや、正式に言っときたいだーな」


オーラスさんも言う。

「ああ、神の使いに礼をな」


トンバーさんが、涙ぐんで言う。

「アタシ達は、アテが無くてねぇ・・・

こんな所まで流れて来たのさ」


ニックさん、レンダさんが続ける。

「俺達は、ここの噂を聞き付けて、

身を寄せさせて貰ってるのさ」


「みんな、同じ境遇・・・他所じゃ、生きて行く、

暮らしていくアテが無いんだよ」


ドラカンさんが、殊更しんみりと言う。

「ああ、食いっぱぐれの、行くアテも無い、

しょうもないヤツらの流れ着いた先がここだー」


オーラスさんも言う。

「ああ、子供、赤子を抱えてな・・・」


トンバーさんは、泣きながら言う。

「ありがとうねぇ・・・

ありがとうねぇアルファ」


レンダさんも、泣いていた。

「アルファ?

ウチの子達、神職に付けるかねぇ?」


ニックさんが、レンダさんに向かって言う。

「なれるさ・・・な?アルファ」


「神職の付き方?

・・・俺・・・知らないっす」


オーラスさんが、言う。

「アルファに出来なくても、

リリーのレベル、聖女の熟練度が上がれば、

リリーには出来るハズだ」


ドラカンさんも、言う。

「ああ、多分出来るだな」


トンバーさんが、泣きながら言う。

「ウチの子等も、あの子等も、

神職に付けるかい?アルファ」


そうか・・・神職に付く・・・

それで食って行ける世界・・・。


アテも無く食い詰めて、

種族的に向かないと知りながらも冒険者となり、

冒険者として食っていけなかった者が作った集落

・・・流れ着いた集落。


・・・子供達を抱え・・・。


子供達が神職に付ければ、タヌキ族の未来は・・・。

タヌキ族を盛り立てる・・・とは。

そうか、そう言う事か。


俺は、全員に向かって言った。

「付けるハズっす!


ドラカンさん達の為に、

山神様はシガラキ様となったんす。

その為に、俺を送り込んだハズだから・・・。


リリーのレベル上げっすね?

リリーが出来る様になれば、

集落の、イヤ、タヌキ族の未来が開けるって事すね?」


ドラカンさんが、真剣な顔で言う。

「そうだーな、でも、焦るでないだぞ?

ゆるゆるでいいだーぞ?


リリーを、ダンジョンに連れて行くのはいいだー。

でも、リリーだけは・・・リリーだけは、

死なせてはならないだ」


オーラスさんが、続けて言う。

「アルファ、神職には、枠があるんだ。

誰でも全員、無限に、神職に付ける訳じゃない・・・。


宗教の規模・・・信徒の数?

正確には判らないが、

神職に付ける人数に、上限があるんだよ」


ニックが言う。

「ゆっくりでいいんだ、先の話だ。

オーラスさんの子等、先ずはオーラスさん達の子」


レンダさんが、続ける。

「そうだね・・・。

その後、枠があれば、あの子達、

あの子達も神職に付けてくれるね?アルファ」


俺も・・・涙ぐんで言った。

「その為に、俺はここに居るっす!!」


俺は、宣言し・・・。

逃げた。

さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。


肉!!

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