第四十六話。一足飛びにコマンダー~虫毒エキス準備とPTリーダー就任
ゲンコツダンジョン1階層殲滅を、無傷で終えたアルファ達は、
6階層を目指し、ダンジョンを潜って行くのであった。
ダンジョンは、脇道に入らなければ案外狭いと言える。
前日、1階の殲滅を終え、魔物の居ない奥の階段から、
ダンジョンを出るまで5分と掛からなかった。
今回は、魔物の居る2階層目を抜けるのに、
掛かった時間は5分程であった。
リリーのライトと、アルファの魔力探知により、
進攻スピードが上がって居るのである。
不意打ちを想定しての、
暗闇を警戒しながらの移動とは、格段の差であった。
アルファ達は、1階層に付き1~3度の戦闘をしながら、
最短ルートで奥に進んでいる。
通らねばならぬ部屋に魔物が湧いて居た場合と、
徘徊する魔物との遭遇戦、
最小限の避けられぬ戦闘だけをこなし、
最速で潜って行く。
魔物の種類は、Gラット、Gスラッグ、Gマッシュと変わらぬが、
レベルは階層に寄って徐々に上がって来ていた。
5階層の魔物のレベルは、Lv5~7である。
1階層の魔物が、Lv3程度だった事を考えると、
元のLv3に4階層分足してLv7~となりそうなものだが、
1階層に付き、1Lv上がるという事でも無いのだ。
逆に、1階層に居た魔物のLvが、
1で無い事の方が、おかしいと言えるのかも知れない。
1階層のLv3の魔物は、HP30~35程度であったが、
5階層の魔物のHPは、40~50ほどに上がっていた。
Lvにつれ、魔物の防御力スピード力等、
他のパラメーターも2割程度上がっているのであった。
それでも、防御壁戦法と、目潰しライトを使う、
アルファ達の敵ではなかった。
倒すのに2~3発の攻撃が必要だった状態から、
3~5発に変わっただけである。
アルファ達は、1階の階段から20分程で5階層の最奥、
6階に続く階段の扉に到達しようとしていた。
未だ無傷、攻撃の機会を魔物に与えていない。
完勝であった。
扉に到達する前に、ドラカンさんから指示が出た。
「アルファ、防御壁を後ろの通路側に出してくれるだか?
前はもう、そこの扉、6階に続く階段だけだで、
扉を開けなければ、ここは安全だー」
俺は、通ってきた通路を塞ぐように防御壁を出した。
ダンザが、一息付いて言う。
「ふぅ・・・速いだな。
アルファ、水くれるだーな」
リリーも、腰を下ろし言う。
「ホントね・・・もうここまで来ちゃったわ」
俺は、アイテム収納から水入りの瓶を人数分出し、
配りながら報告と共に言った。
「リリーの笠効果切れるっす・・・速いんすか?」
ドラカンさんが、水を受け取りながら答える。
「ああ、速いだー。
暗闇での待ち伏せを警戒しなくていいだと、
こんなに速く進めるだーな」
マメダも、リリーの横に腰を下ろして言う。
「キノコもナメクジも、気にしなくて良いなんて、楽だわ」
ハチムが、防御壁の定位置に付き、
後方を警戒しながら言う。
「僕は、こんなに深く来たのは、初めてなんですよ・・・。
でも無傷か・・・」
ダンザが、俺から水を2つ受け取り、
ハチムに向かって歩きながら言う。
「ああ、無傷だーな・・・ホント信じられんだよ。
ハチム、ホラ、水飲め」
リリーも、続ける。
「一息付きましょう?ハチム」
俺も、言った。
「ハチム、大丈夫だよ。
みんな居るんだから、そう緊張しないでw」
マメダが、少し笑いながら言った。
「アンタも初めてでしょうが、この深さ」
ドラカンさんも、少し笑いながら言う。
「アルファは、2度目のダンジョンでもう5階だーな。
これから6階だーw」
ダンザも、ハチムの緊張を和らげるように、
防御壁を平手で叩きながら言う。
「はは、シガラキ様の使いは凄いだな、
ハチム2回目で6階だーぞ?
・・・この防御壁があるし、リリーのライトも凄いだーな。
だからまぁ気を張らず、お前は後ろに下がって休むだーよ」
ハチムは、水を受け取り、一口飲んで言った。
「もう・・・ダンジョン深くまで来てるって言うのに、
みんな暢気な事言って・・・。
僕は前衛ですよ、ここが持ち場です」
ドラカンさんが、笑いながら言う。
「はは、そこが一番安心だーか?ハチム」
ハチムが、少し笑って答える。
「ダンジョンの中では、防御壁と投槍の側が一番安心ですよ」
ハチムの緊張も少しは解れたか?
俺は、冗談めかして言った。
「俺は、前衛の後ろが安心っす。
防御壁なんてあっても、俺だけじゃ何ともならないっすよ」
リリーが、同意する。
「そうね、単独でこんな所まで来るなんて、
考えただけでも怖いわ」
マメダも言う。
「前衛あっての後衛、後衛あっての前衛よ、PTなんだもの。
・・・PTあっての防御壁と照明ね」
ドラカンさんが、のんびりと言う。
「はは、一端の事を言うでないだか、マメダ。
さて、ここで試したい事だーが」
ドラカンさんが、アイテム収納から、
ポーションの小瓶を出しながら言う。
「これを試すだーな、虫毒草のエキスだー。
どう虫に効くのか・・・、
これがどう効くかに寄っては、
防御壁を超える利用価値があるかも知れないだーぞ?」
ダンザが、問う。
「どう効くのか?
どう言う意味だーな?」
ドラカンさんが、虫毒を配りながら答える。
「ただHPを削るものなのか、眩暈や吐き気、
痺れなんかを起すものなのかだーな」
マメダが、虫毒を受け取りながら呟く。
「眩暈、痺れ・・・
虫を無力化出来るかも・・・なのね?」
リリーが、虫毒を受け取ったマメダに向かって、
少し興奮して高い声を出す。
「凄いわ!虫が無力化出来るかも!?
イモムシを、糸も吐かせないで倒せるかもなのね?」
ドラカンさんが、防御壁の定位置に居る2人に、
虫毒を渡しながら言う。
「まぁ、そうだと良いだが・・・
量にも寄るし、どうだかな」
ダンザが、虫毒を受け取りながら言う。
「まぁHPが削れるだけでも十分だーな」
ハチムも、虫毒を受け取り、瓶を見つめながら呟く。
「防御壁を超えるかも?・・・凄いな・・・」
俺は、ダンザ達より先に受け取っていた、
虫毒草エキスの入った薬瓶を鑑定しながら言う。
「鑑定では、神経毒とあります・・・
痺れ等の効果・・・期待できるかもっす」
ドラカンさんが〆る。
「まぁそう上手く行くかは判らんだー。
質、濃さや量にも寄るだしな。
マメダ、ハチム、アルファ、
矢と投槍の先にたっぷり塗って、
3本ほど虫用にしておくだ」
ダンザが問う。
「俺は?」
ドラカンさんが、茶化す様に言う。
「お前は、投げても当たらんだーなw
刺さらんだしな。
念の為、手斧に塗っておけばいいだー」
ダンザが、少しふざけて言う。
「なら、アルファも塗らんでいいだなw
刺さらんだし、当たらんだーしな」
ハチムが、マジレスする。
「イモムシに、刺さらない訳ないじゃないですか。
アリは堅いから・・・僕でも・・・石槍刺さるかな?」
マメダが、ドラカンさんに向かって言う。
「アリは、私が撃つわ。
父さん、イモムシが無力化出来るかどうかが、
試したいんでしょ?」
ドラカンさんが、頷きながら答える。
「そうだーな。
虫毒が効くなら、無力化できるかも知れんだし、
これまでの集中攻撃とは違う、
バラけた攻撃を一回目は試すだーな」
ダンザが、少し考えながら小声で呟く。
「照明で虫に目潰しが効くかも知れないだし・・・
難しいだな」
ドラカンさんが、軽く言う。
「そう考えるで無いだー。
アルファには、細かく魔物のステータスが見えるだな?
無力化出来たらそいつは後回し、
ダンザに近いヤツからやればいいだー。
まぁ、アルファの指示で攻撃すればいいだよ」
俺は、驚いて言う。
「俺の指示っすか?」
ドラカンさんが、俺を見て答える。
「さっきまでもやってただーな。
アルファ、お前さんは細かく見えているし、
とっさの指示も、しっかりしてると思うだーな」
リリーが、同意する。
「そうね、アルファが適任だわ」
俺が指示?・・・ゲームじゃないんだぜ?
まだダンジョン2日目、
実戦は初めてと言ってもいい状態なんだが・・・。
マメダも、後押しする。
「そうね、なんかアンタ慣れてるって言うか、
指示に違和感は無いわ」
ハチムも言う。
「そう言えばそうですね、
戦闘慣れと言うか安心感あります。
リーダーに向いてるのかもですね」
ダンザが、口をへの字にして言う。
「そうだかな?
まぁヘンに慣れてると言えなくも無いだか?
アルファ、なんでそんなに慣れてるだーな?」
俺は、全員に向かって言う。
「慣れてる・・・。
俺の世界には、こういったダンジョンに潜って、
魔物とPT戦闘するようなゲームが一杯あったっす。
俺も遊んだ事あるっすけど、
慣れてるってもゲームっすよ、遊びっす。
実戦は初めてっすよ?」
ドラカンさんが、問う。
「遊びでも、ダンジョン戦闘の経験者だーな?
もっと深くも行っただな?」
「そりゃ、100階も、
それ以上のゲームもやったっすけど・・・」
ドラカンさんが、真剣な表情で言う。
「アルファ、
この世界で100階も潜るなんて誰も出来ないだー。
それ以上ともなると、想像さえ付かないだーよ。
お前さんの指示は、堂に入っているだし、試して見るだよ。
ダメなら、俺が指揮を取れば良いだけだー」
リリーが〆た。
「魔力探知で、魔物の正確な位置が判るのは、
アルファだけなんだし、
扉を開ける前に、指示が出せるのはアルファだけよ。
ここに来るまでと同じね」
俺以外、全員頷く。
ドラカンさんが、指示を出す。
「さて、行くだか?
マメダ、ハチム、毒武器の準備は良いだな?
どれか判るように、防御壁に毒槍を置いておくだぞ?
ダンザとハチムは、手持ちの武器にも塗っておくだー。
アルファ、水と防御壁を収納して、状況報告をするだー」
俺は、ハチムとドラカンさんが、
毒槍を防御壁に置くのを待ち、壁と瓶を収納した。
その後、先行したダンザの隣、扉の前に着いて報告する。
「魔力探知に反応無し、階段とその先、
20m以内に魔物居ないっす。
虫毒準備良し、魔力探知良し、
シガラキの笠切れてます、ライトの魔石変化無し。
残りMP、リリー33、俺43。
魔物が居たら、リリー笠掛けて」
リリーが、頷く。
「はい」
ダンザが、扉に手を掛けて、全員を見て言う。
「じゃ、6階、
開けるだぞ?
3、2、1、」
アルファ達は、
ゲンコツダンジョン6階層へと、足を踏み入れる。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
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星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
潜ってますなぁw




