第四十二話。地響き占い~ゲンコツダンジョンへの潜入
ダンザを先頭に、俺達はゲンコツダンジョンに入った。
後ろからリリーが魔石で照らすので、
自然洞窟の中が明るく見える。
各々首からライトの魔石を提げてはいるが、
もしかしたら要らないかも知れない。
まぁ、リリーの魔石の魔力がいつ切れるか判らないし、
各々魔石提げてる方が安心だけどね。
洞窟奥、煉瓦の壁にある扉に着いたダンザが、
俺を手招きする。
「アルファ、中に居るだか?」
俺は扉に到着し言った。
「部屋には・・・居ない。
中の扉は閉まってて、
先の通路も探知範囲内には居ない・・・っす」
ドラカンさんが指示を出す。
「アルファ、中に防御壁を出すだー。
中に魔物が居る想定で扉を開けて、
皆位置に着くだーぞ?」
俺は、防御壁を扉の先の部屋の中に出し、返事をした。
ズズ・・・部屋の中で防御壁が地響きを少し立てた。
「扉から2mチョイ先に出したっす。
ダンザ、行けるぜ」
ダンザは頷くと、扉に両手を掛け言った。
「3、2、1」
両開きの扉、一枚横2m強、高さ4mを超える扉が、
ダンザによって中に向かって押し開かれる。
リリーの掲げるライトの魔石の光が、
暗闇の部屋の中に差し込み、明るく照らす。
ダンザは、扉を押し開くと同時に、
部屋の中に飛び込み、
防御壁の先、への字先頭に陣取り、
左手に中盾、右手に斧を構えた。
時を同じくして、ドラカンさんは、左。
左手に小盾、右手にショートソードを構える。
ドラカンさんに一瞬遅れ、ハチムは右に飛び込み、
細槍を両手で構えた。
マメダはハチムとほぼ同時に、部屋の中に飛び込み、
防御壁の左後ろの土台に飛び乗り矢を番う。
俺は、マメダに一歩遅れ、
防御壁の右後ろの土台に飛び乗る。
リリーは、俺の後に続き、
左手に持つ杖の石突を腰に当てて、
ライトの魔石を5mはあるダンジョンの天井に、
届かんほどに高く掲げながら部屋に入る。
リリーは、左手に杖、右手にポーションを持って、
マメダと俺の間に立った。
ドラカンさんが、防御壁から投槍を一本抜きながら言う。
「皆悪くないだー。
俺とハチムは、投槍を初めから一本持ってる方がいいだー」
ダンザが呟く。
「俺も投げ斧持っとく方がいいだーな?」
ドラカンさんが答える。
「ダンザ、お前はいいだーよ。
攻撃より、防御に気を配るだ。
魔物を挑発し、お前に寄せるだぞ?
前衛が居るから、後衛は心の余裕を持って、
魔物に立ち向かえる事を忘れるで無いだー」
ダンザは、口をへの字にして言う。
「俺も攻撃したいだーな・・・
まぁ初手は挑発と防御に専念だーけど」
ハチムが、明るく興奮した声で、
投槍を一本抜きながら言う。
「中は明るいし、魔力探知で居ないの判ってるし、
居たら先に何処に何が居るか判ってるし、
部屋の中には防御壁、こっちの陣地だし・・・、
前衛なのに後衛みたいな気分ですよ。
位置に着いたらすぐ攻撃出来る様に、
投槍一本持って置きますね」
マメダも、いい感じで続ける。
「そうね。
明るいのと、魔力探知と、
防御壁に乗って安全圏から撃ち下ろし・・・
凄くいいと思うわ」
俺は、ニヤリとしながら言った。
「明るいだけじゃないさ、
前にはシガラキ様の笠が掛かってる前衛が居るし、
後ろには、ポーションの準備がある、安心感があるっす」
リリーが、微笑み答える。
「明かりも笠も、シガラキ様のご加護よ。
私は、いつもと同じ、何もしていないわ」
ドラカンさんが〆た。
「後は、明かりと防御壁を前に、魔物がどう動くかだー」
マメダが、防御壁から降りながら問う。
「父さんは、どう動くと思う?」
ドラカンさんが答える。
「試せば判るだー」
ダンザが、防御壁を斧で軽く叩きながら言う。
「そうだーな、すぐに判るだーな。
アルファ、仕舞ってくれ」
俺は、防御壁から降り、
防御壁をアイテム収納して言った。
「じゃ、扉の先、魔力探知するっすよ」
ダンザが、教室より広い、
集落で言うところの詰め所のような部屋の、
右方向にある扉に向かって歩き、
扉の前で俺の到着を待ちながら言った。
「まぁ、大体ここらにはまだ居ないだーな」
全員ダンザに続き、扉に向かって歩く。
扉の前に到着した俺は、魔力探知の結果を報告した。
「通路には居ないっす。
先の部屋、20mの探知範囲にも居ないっす」
マメダが言う。
「部屋には、音を出してる魔物は居ないわ」
ドラカンさんが、指示を出す。
「ダンザ、先に進むだー。
リリーは、先を照らし、アルファは通路でも、
魔物が居たら防御壁をダンザの前に出すだぞ?」
リリーと俺が答える。
「はい」「了解っす」
ダンザが、扉を押し開き通路に進む。
一行は、ダンザの後に続く。
リリーが後ろから照らして居るので、通路も随分明るい。
先の扉まで良く見える。
通路の先、
集落で言うところの、大部屋に続く扉に着いた俺は言った。
「大部屋の中、探知範囲内に反応無いっす。
範囲外に居る可能性はあるっす」
マメダが、続ける。
「気配のあるのは部屋に居ないわ」
ドラカンさんが指示を出す。
「防御壁は出さないでいいだーな。
ダンザ、気を付けて開けるだー。
リリーは、中を照らすだぞ?」
俺とダンザとリリーは頷き、
ダンザがゼロを合図に扉を押し開けた。
「2,1」
大部屋が明るく照らし出される。
ダンザが、数歩大部屋に飛び込んで言った。
「居ないだな」
中に魔物の姿は無かった。
ドラカンさんが、問う。
「マメダ、通路の気配はどうだーな?」
問われたマメダは、耳を澄まし答えた。
「近くにネズミは居ないわ」
ドラカンさんが指示を出す。
「ナメクジとキノコは鈍いだーで、
後ろからの挟み撃ちは心配要らないだ。
後ろを気にせず、脇道を潰していくだー。
ダンザ、手前の道から潰して行くだーぞ」
ダンザは頷き、大広間の中を進み、
一番近い脇道に入って行く。
一行は、ダンザに続き、脇道の先、
小部屋に続く扉に到着した。
俺は、扉まで進み、魔力探知と、
探知した魔物の鑑定結果を報告した。
「居るっす。
中ぐらいの大きさの部屋っすね。
左手前ネズミ1、右奥ナメクジ2、中央奥キノコ1。
みんなのPTステータスにも、魔物の鑑定結果出てるっすか?」
ダンザが、答える。
「ああ、見えてるだーな」
ドラカンさんが、緊張を和らげようと、
笑顔でのんびりと指示を出す。
「さて、初戦だー。
みんな、さっきの手順で行くだーぞ?
アルファが防御壁を中に出したら、
ダンザが扉を開き中に飛び込む、
扉が開いたらリリーは中を照らすだー。
いつもと同じ、焦るで無いだーぞ?
ネズミ1っ匹突っ込んで来るだけだー」
皆無言で頷き、俺も指示を出した。
「了解っす。
左のネズミからヤルっすよ?
ナメクジ、キノコは距離あるから、
あっちの中距離攻撃は、始めのうち届かないハズっすから」
マメダが、おどけて言う。
「何処に何が居るか、先に判ってるのは、
楽でいいわね」
ハチムも、合わせて言う。
「防御壁あると、前衛なのに後衛気分で安心ですよ」
ダンザも、言う。
「ネズミは、俺に寄せるだから、
後衛もハチムも気楽にな」
リリーが、自分に言い聞かせるように呟く。
「ええ、いつもと同じ、
私はポーションを準備して後ろに居るだけだわ」
ドラカンさんが、笑顔で会話をしめた。
「リリーは、照明も頼むだぞ?
ダンザ、アルファが防御壁を出したら、
それをタイミングで行くだーか?」
ダンザが、扉に向かい、両手を当て言う。
「地響きが合図だーな?
アルファ、いつでもいいだーぞ」
ダンザ以外の全員に目線で確認し、俺は言った。
「では、出しますよ?
3,2,1」
俺は、ゼロで扉の先、魔物が待ち構える部屋の中に、
アイテム収納から防御壁を出した。
アルファ転生より3日目の昼下がり、
ドラカン集落近く、
湖の対岸にあるゲンコツダンジョンにて、
アルファの初戦が始まる。
アルファの持ち運ぶ防御壁を使った、
投げ武器による中距離戦法と、
聖女となったリリーの、
太陽の如く強く光るライトの魔石。
それらを前に、魔物がどう動くのか、
この先を占う一戦である。
ドラカン、ダンザ、ハチム、マメダ、リリー、
そしてアルファ。
皆、緊張し、
皆、この一戦が、重大な意味を持つ事を理解していた。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
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星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
さて、始まりますよ?
って、まだ始まらんのかい!!




