第四十一話。若きPTと照明係~聖女の光とPT防御魔法
ゲンコツダンジョン入り口にて、二つの大事件が起こった。
一つは、アルファがシガラキとなった山神と初の交信。
もう一つは、
魔石の暴発によって気を失ったリリーが、
聖女となっていた事である。
ドラカン達には、アルファが、本当に山神様の使いであるのか。
本当であったとしても、
山神様は集落の者を加護する神となって下さるのか。
と言う、2つの心配を抱えていた。
ドラカン集落の皆は、山神様の加護を望んでいたが、
期待が外れた時を思うと、
アルファに、山神様に、期待を掛け過ぎる事を、
避けようと言う気持ちがあったのだ。
しかし、山神様がシガラキ様となって、
リリーを聖女にして下さっている事を、
ドラカンの鑑定により確認した一同は、喜びに震えて居た。
アルファは本当に神の使いだったし、
山神様はタヌキ族を加護する神となって下さった。
涙ぐむドラカン、ダンザ、ハチム、マメダ。
気を失ったリリーと、横にしゃがんだアルファを、交互に見つめ、
震えた声にならぬ声で、アルファの名をただ繰り返した。
アルファは、涙ぐみ震える四人に、向かって言った。
「ドラカンさんの鑑定でも、リリー、聖女になってるっすか?」
ドラカンが、深く息を吸い、アルファの目を見て答える。
「ああ、なってるだー。シガラキ教徒、聖女だー」
ダンザも言う。
「聖女だー、聖女だーな。アルファ」
嬉しそうなハチムとマメダも続く。
「アルファさん、ありがとう」
「リリーねぇちゃんが聖女よ、アンタ」
俺は、喜ぶ四人を眼にし、嬉しかった。
大したチートも無い、得体も知れぬ俺を、
受け入れてくれたドラカンさん達の役に立てたのだ。
ただ心配もあった。
「リリーは?リリーは大丈夫なんすよね?
ただの気絶っすよね?」
ドラカンさんが、微笑みながら答える。
「気絶だー。今に目を覚ますだ。
タヌキ族には、たまにある事だー、驚くと一時的に気絶するだーよ」
そか、心配要らないんだな。
猟師に出会ったタヌキの、タヌキ寝入りってやつか?
ダンザも、笑いながら言う。
「今に目を覚ますだーな。
でも、自分が聖女な事に驚いて、
もう一度気絶するかもだーなw」
ハチムが、少し笑いながら言う。
「もう、驚かさないようにしましょう」
マメダも、笑いながら言う。
「リリーねぇちゃんには、聖女の事隠しとく?」
ドラカンさんが、俺に向かって言った。
「アルファ、いい動きだった。
魔石を叩き、リリーを庇い、ダンザの前に防御壁・・・、
いい動きだっただー」
俺は、ドラカンさんに褒められた事が、くすぐったかった。
「いや、咄嗟に、へへ・・・」
程無くして、リリーは目を覚ました。
目を覚ましたリリーは、
自分のステータスを確認し聖女となっている事に驚いたが、
気絶はしなかった。
ヒールMP3、キュアMP2、聖水生産。
聖女ボーナス、シガラキの笠MP6、PT防御力UP。
タヌキ族ボーナス。
ステータスを確認したリリーは、アルファの手を取り言った。
「ありがとう、アルファ。
シガラキ様の加護を得られたのは、アルファのお陰よ・・・。
これで、私も集落の役に立てるし、
シガラキ様が付いて下されば、タヌキ族、
集落の子達だって未来は明るいわ」
俺は、少し悪いような気がして言った。
「俺は何も・・・、
シガラキ様と、シガラキ様が助けたいと思った、
ドラカンさん達の信仰心のお陰っすよ」
ダンザが、少し笑いながら、俺のケツを軽く叩いた。
実際、俺居なくても良かったんじゃないかな?
山神様が、リリーに俺が来るって夢見せれるなら、
名と姿を用意しろって、夢見せれば良かったんだろう・・・。
俺は、みんなに向かって言った。
「へへ、ホント俺なんて別に・・・。
で、どうしましょう?一旦集落戻りますか?
この事を早く、集落のみんなに伝えるのがいいんじゃないすかね?」
ハチムとマメダが、明るい声で同意する。
「みんなに早く伝えましょう」
「そうね、戻りましょうよ」
ドラカンさんが、少し考え、指示を出す。
「いや、せっかくダンジョン前に来てるだし、
シガラキ様の使いの防御壁と、シガラキ教聖女の力、
試してから戻るだーな」
ダンザが、頷き斧を構えながら言う。
「急いで戻っても、特に変わらないだーか。
防御壁と聖女・・・ダンジョンで試して行くだな」
ハチムは、戻りたそうだ。
「いや、今日でなくても・・・」
マメダが、ハチムに向かって言う。
「そうね、ダンジョン前に居るんだし丁度いいわね。
大体、今日は防御壁を試しに来たんだから」
リリーが、少し心配して言う。
「聖女と言っても・・・
ヒールもキュアもまだ試しても無いのに、
それに笠なんて、まだ何も判らないわ?」
ドラカンさんが、リリーを安心さすように微笑んで言う。
「ヒールもキュアも使わないだーよ。
ポーションと毒消しの方が、早くて確実だー。
笠は、ダンジョンに入る前に掛けてみればいいだよ。
心配は要らないだ、リリーはいつもと同じ、
後ろでポーション準備してればいいだー」
俺は、思った事を口に出した。
「リリーの笠は、PT防御UPって書いてあったっす。
PTにリリー入れなきゃっすよ」
ドラカンさんが、指示を出す。
「そうだっただーな。
アルファ、お前さんがPTを組むだ。
俺が外れるだー」
ふむ、ドラカンさんはアイテム師とは言えLV20越え、
一番堅いから、防御UPの恩恵を受けなくてもいいか。
俺含め、残りのダンザ、ハチム、マメダ、リリーは、
Lv5前後だもんな。
PTステータスが、俺の視界から消えた。
ドラカンさんが、PTを解散したのか。
俺は、自分のステータスウインドを開き、
そこからPT招待をダンザに出した。
ダンザがPTに入った。
ふむふむ、こうやって組むんだな、PT。
ハチム、リリー、マメダにも、招待を送る。
次々とPTに入り、
俺、ダンザ、ハチム、リリー、マメダPTが出来上がった。
俺は、視界にPTステータスを出して、
ドラカンさんに報告した。
「ドラカンさん、PT組めたっす」
ドラカンさんが頷き、指示を出す。
「リリー、シガラキ様の笠、試してみるだーよ」
リリーは、少し戸惑いながら言った。
「どうやればいいのか、判らないわ」
どうやるったって・・・。
俺は、戸惑うリリーに向かって言った。
「うーん、魔法の掛け方ったって・・・
ライトと何が違うんだろう」
リリーが、困った顔をして俺に言った。
「だって、さっき魔石にライトを掛けたら、
暴発したわ・・・」
そうだった・・・その問題があったんだ。
俺は、ドラカンさん達を見ながら言った。
「暴発がありましたし、
リリーは、ライトから試すのがいいっすかね?」
ダンザが、頷いた。
「だーな。ライトからだー」
ドラカンさんも同意し、リリーに魔石入りの瓶を渡す。
「そうだっただー・・・リリー、ライトを試して見るだー。
出来れば、さっきより弱く光るように、加減するだーよ」
マメダが、心配そうに言う。
「加減ったってねぇ・・・。
アタシでも、魔石を強く光らす弱く光らすは、
いくらかは出来るけど・・・。
あのライトの強さは異常だったわ」
ハチムも心配そうだ。
「弱目にね、弱目から、徐々に強く試せばいいよ」
リリーは、魔石入りの瓶をドラカンさんから受け取り、
色々言われて心配が増してる様子で言った。
「ちょっと怖いけど・・・ライト・・・掛けるわよ?」
皆口を揃えて言う。
「弱めにね」「弱く」「弱くだー」
リリーは、ライトの魔法を魔石に掛けた。
魔石は光り出す・・・だんだんと強く、明るく・・・。
リリーの掌の上で、魔石は強く光を放ち、
春の日差しより明るく、
魔石は太陽と同じくらいの明るさで止まった。
・・・暴発はしなかった。
ハチムが、目を細めながら言う。
「弱くって言ったのに」
リリーが、眩しそうにしながら言う。
「弱くしたのよ、これでも・・・
もっと弱くできるかしら・・・」
ドラカンさんが、眩しがりながらも嬉しそうに言う。
「暴発はしないだーな。
さっきは投げて魔石が欠けたから暴発しただーな、たぶん。
これは・・・いいだぞ・・・これはいいだ」
ダンザが、眩しそうに言う。
「いい・・・だか?
・・・そうだーな、これはいい。
この明るさでダンジョンに入れるのは、いいだ」
そういう事か、暴発さえしなければ、春の日差し、
太陽ほどに眩しい魔石で、
暗闇のダンジョンを照らすのは、こちらに有利か?
暗闇に、並みのライトの魔石を持って入る・・・。
こっちの位置が、待ち構える魔物に先に知られる。
こっちが魔物にバレバレ、不利だったもんな。
でも、この強さのライトの魔石なら、逆だ。
暗闇で待ち構える魔物への、目潰しになるかも知れない。
俺は、呟いた。
「魔物への目潰しになるかも?っすね」
マメダが、反論する。
「こっちにも目潰しになっちゃってるわよ」
ドラカンさんが、リリーに指示を出す。
「リリー、その杖の先に、瓶を縛ってしまうだ」
リリーは、眩しそうにしながら、杖の先に、
瓶に付いた首から提げる為の紐を括り付けた。
「これで、高く魔石を上げて、上から照らせばいいのね?」
ドラカンさんが答える。
「そうだー。もっと高くが良さそうなら、
そこらの小枝を足して高くするだ」
俺が予備に買った杖は、俺の背丈くらい、2m弱。
リリーが、杖の下を腰に当て高く持てば、
魔石の高さは3mくらいの高さになるか・・・。
ハチムが、落ちている程よい小枝を捜しながら言う。
「もうちょっと高い方がいいよ」
ダンザも、言う。
「そうだーな・・・倍くらい高くてもいいだーな」
俺は、防御壁に収納されている投げやりを、
一本アイテム収納から手元に出して言った。
「これを杖に足しちゃえばいい感じっすかね?」
ドラカンさんが、頷く。
リリーは、杖に括り付けた魔石入りの瓶を外し、
俺から受け取った投槍の先の石に、付け替えた。
その間、俺は、杖と投槍を虫糸で巻き一本に繋げた。
2m弱の杖と、1,5m程の投槍。
太陽の様に眩しいライトの魔石が、
3,5mほどの棒の先に括り付けられている。
ドラカンさんの指示が飛ぶ。
「後は笠を試して見るだー、リリー」
リリーは、頷き、自分のステータスウインドウを開き、
シガラキの笠を確認しながら言った。
「シガラキ様・・・我らPTにご加護を・・・シガラキの笠」
俺たちPTメンバーの体が、薄く光ったような気がした。
視界に映るPTステータスに、
シガラキの笠と言う文字が表示された。
俺は言った。
「笠、掛かったっす」
そのまま読み上げる。
「PT防御力UP、全員の防御力、数値で6上がってます。
効果持続時間約22分、カウンターが減って行ってます」
ドラカンさんが答える。
「全員6上がっただーか」
ダンザが言う。
「6か・・・革手袋程度だーな」
マメダも言う。
「大した事は無いのね」
ハチムも呟く。
「でも、全員にだし・・・
熟練度やレベルが上がれば、
もっと強く効くかも・・・ですよね?」
ドラカンさんが、明るく言う。
「そうだーな、このさき笠がどうなるかは判らないだが、
シガラキ様のご加護が得られた、
それだけでも、我らには大きな事だー」
俺は、魔力探知を使いながら言う。
「魔力探知使いました。
範囲20メートル強、効果時間30分弱。
俺の魔力探知みたいに、効果時間やらなんやら、
強化されて行くかもっすね、笠」
ドラカンさんの最終確認だ。
「笠、探知掛けただな・・・準備はいいだか?
ダンザ、俺、ハチム、前衛。
アルファ、マメダ、リリー後衛で行くだーぞ」
俺たちPTメンバーは、
全員目を合わせ、頷きながら言った。
「おkっす」「行けるだな」「行けます」
「行くわよ」「ポーション準備出来てます」
俺は、少し緊張を和らげるように言った。
「リリーは、後ろから照明係、宜しくっす」
リリーも少し明るい声で言った。
「ええ、後ろから照らしますよ」
ダンザも明るい声で言う。
「俺、先頭で行くだ。
防御壁と聖女の初戦だーな」
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
いいねやら、感想やら、ブックマークやら、レビューやら、
星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
潜れってw
つーかもう帰れ!




