第三十五話。トマホークとジャベリンと名も無き祈り~虫糸と扉泥棒
出来上がった遊具で遊ぶおチビ達を見守りながら、
俺とダンザとハチムは、昼飯まで小休止とする。
俺は、洞窟入り口を指差し言う。
「ダンザ、ハチム、長椅子で休むか?」
ダンザは、斧をアイテム収納し言った。
「そうだーな、あそこで休むとするか」
ハチムが、洞窟に歩き出しながら言う。
「僕は、ヤリの練習でもしようかな?」
「そう言えば、ハチム。
ヤリの練習も良いけど、
投げやりの練習もした方が良いんじゃないか?」
ダンザも、思い出した様に言う。
「そうだーな。俺も投げ斧をチョット試したいだな」
先を歩くハチムが振り返り言う。
「投げやりは、柄が無いからまだじゃないの?」
「今、ドラカンさんとマメダが、
2階の扉から作ってるハズだよ」
ダンザが、言う。
「入り口の部屋に、投げやりも3本くらい作ってあっただな。
そういえば、ヤリも斧の頭も、もう出来てるだな?アルファ」
「頭はもう作って、入り口の詰め所に置いといたよ」
「じゃ、斧の短い柄もあそこにある筈だから、
投げ斧作っちまうか」
俺達は、詰め所まで入り、
投げ斧と投げやりの材料を持って、広場の長椅子に戻った。
出来上がってる投げ斧を見本に、
石斧の頭を木の柄に虫糸で括り付けて行く。
50cmほどの木の柄の先が、2つに裂いてあって、
石を挟み込んでからクロスに糸を掛け固定だ。
石を付けたら、木の柄がそれ以上裂けない様に、
石頭の根元を糸で巻いて補強する。
虫糸は、太い釣り糸といった所か。
半透明と言うか、白濁してると言うか、
ナイロン糸みたいな感じだ。
伸びないが、強そうだな。
超ぶっとい絹糸って感じなのかな?
作業をしながら、俺は独り言の様に呟いた。
「虫糸か、強そうだな」
長椅子に座り、投げ斧作りをしながらダンザが答える。
「結構切れないだーよ」
ハチムも作業をしながら言う。
「虫糸より、クモ糸のがもっと強いけどね」
「ほう、クモ糸はもっと?
ネバネバはしてないの?」
「ネバネバは無いだな。
この糸と同じような太さと見た目なんだが、もっと切れないだーな」
クモの巣って、骨組みの糸はネバネバしてないんだったな。
ネバネバしてたら主のクモが、巣に絡まっちゃうもんなw
糸自体に粘着性があるんじゃなく、
横糸に粘着性の液体を糸に纏わすんだったような。
うーん、俺の世界でも、クモの糸はあの細さにしては、
強いと聞いた事があったなそういえば。
太いクモの糸か・・・相当に強いのかも知れないな・・・。
「へー・・・それは結構値が付くのん?」
ハチムが、出来上がった斧を地面に打ち付け、
強度を確かめながら言う。
「大した値は付かないけど、
虫糸よりは良い値が付くみたいだよ」
クモ糸は、大したお宝じゃないのか・・・。
俺は、フっと思った。
「そう言えばさ、ダンジョンの扉あるじゃん?
あれ、パクって持って帰ったら、板作る手間省けるんじゃない?」
ダンザが、手を止め上を向いてチョット考え、笑いながら言う。
「ヤメといた方がいいだな。
扉とか壁とか、ダンジョンは壊れても再生するだが、
扉が無いと、ダンジョンの魔物が持ち場から離れて、
外にまで溢れる可能性もあるだな」
ハチムが補足する。
「ダンジョンの壁とか扉とかを壊すと、
スタンピートの原因になるとか言う話だよ。
チョットなら、そんな事無いみたいだけど」
ダンジョンの壁とか扉とか、壊れると修復されるのか・・・。
ダンジョンは、ダンジョンコアの体、巣・・・。
体感、監視?とにかくコアに、壁や床、
扉の状態が伝わるんだろう。
魔物が狩られた事にも、気が付く訳だし。
回収するもんな、魔物の死骸を。
でも、人がどこに居るかとか居ないとか、
コアが魔物にいちいち指示を出してるでも無い感じか。
「ふーん・・・扉盗むのダメか」
ダンザが笑いながら、周りの森を見て言う。
「盗んでどうするだなw板なんかいくらでも作れるだな」
「乾いてる木のが、価値があるんじゃないの?」
ハチムが、答える。
「生木じゃマキに使えないし、
材木としても縮んだり曲がったりするからね。
でも、乾かすぐらい、一冬置けば良いだけですよ」
ダンザが、東山の方に顎を振りながら言う。
「あっちに材木置き場あっただな?
あそこに置いとくだけだーな」
そか、切ってほっとくだけか。
ハチムが、ニコニコしながらダンザに言う。
「でもさ、運ばなくていいの助かるよね。
丸太を運ぶとか、マキを運ぶとか、ホント重いから」
ダンザも言う。
「切り倒すのは大した事じゃないだーな。
加工はちょいと面倒だが、運ぶのが難儀なんだ」
またそれかいwよっぽどだな。
よっぽど、みんな荷運びがきつかったんだなw
山神様、中間管理神様、軽トラとか言って馬鹿にしてごめん。
2tアイテム収納、大人気っす。
大変助かっております。
投げ斧30本を作り終えた俺達は、
ついでに投げやりも作ってしまおうと言う事になり、
投げやりの頭、虫糸、
出来上がった投げ斧もアイテム収納し、地下二階に向かった。
2階に着き、防御壁を置いた部屋に向かうと、
向かう道の先から、マメダの声がする。
「なにー?もうお昼なのー?」
ハチムが、歩きながら遠くのマメダに答える。
「まだだけどー、丸太のおもちゃは作っちゃったし、
投げ斧も作っちゃったからー」
ドラカンさんの声もする。
「斧まで作り終わっただかー」
ダンザが、まだ先のドラカンさん達に言う。
「防御壁は、まだ出来てないだかー?」
マメダが答える。
「もうちょいねー」
防御壁の後ろ側に、扉を加工してマメダが隠れる壁。
後はスパイクだよな・・・。
土台に比べると、案外時間掛かってるな。
防御壁を置いた部屋に着くと、ほぼ防御壁は出来上がって居た。
マメダの隠れる壁が、防御壁の一番後ろ、
50cmくらい土台に食い込む形で取り付けてある。
左右両方に高さ1,7m程度、俺の身長より少し低い。
幅は1m程度だった。
言うなれば馬鹿でかい盾、普通の感覚で言うなら、
木の板の塀と言った感じだ。
への字の先頭に向かって、垂直に取り付けられていた。
5mほどの通路に出せば、左右1mが板の壁で塞がれ、
その先にへの字に、腰ほどの高さの防御壁の土台が出る感じか。
残りの作業は、スパイクの取り付けのようだった。
陣地側から見て、左部分の後方外側に、
30センチほどの木のスパイクが、まばらに付いていた。
マメダが、壁の後ろの土台に乗り言う。
「ここに乗ってこの壁の上から弓を撃つわ。
遠距離攻撃を受けるようなら、土台を下りて壁で身を隠し、
隙を見て横か上から撃つつもりよ」
なるほど・・・壁が低いのは、上から弓を撃つためか。
後ろや右の陣地側に下りれば、
土台とスパイクで近寄らせないようにしてるし・・・、
つーか、根本的に壁際だ、前は木の壁、左はダンジョンの壁、
下りる空間なんか無い。
左側に魔物が近づける空間は無い。
マメダは近距離攻撃は受けないで済む・・・か?。
ドラカンさんが、木の板をノコギリで縦に切り、棒状にしながら言う。
「スパイクを作るのはいいだが、土台に穴を開けるのに手間を食ってな」
ああ、残りは角材を、杭にして土台に刺す作業なのね。
ダンザが、ノミを出し言った。
「じゃ、俺は土台に穴を開ければいいだーな?」
ドラカンさんが、スパイクを付けた土台の方を見ながら言う。
「ああ、適当にそっちはやって見ただ。
多分、そんな具合でいいと思うだー」
ダンザ、お前は働き者だな・・・俺は木工はダメだw
俺は、ヤリの頭と虫糸をアイテム収納から出し言う。
「俺は、投げやり作っちゃおうかな?」
マメダが、防御壁から降り、扉だった角材を指差して言う。
「じゃ、ハチム兄ちゃんとアンタは、投げやりを作って頂戴。
先を割った棒作ってあげるから」
棒ね・・・角材だな。
元々の扉の板材は、4センチくらいの厚さだ。
それを4センチぐらいの幅で、縦に切って作った角材。
長さは1,5mと言った所か。
まぁ、とりあえずの石の投げやりだし、棒状なら何でも良いかw
俺とハチムは、床に胡坐をかき、
先に作ってあった投げやりを見本に、
石のヤリ先を角材に縛り付ける作業に入った。
ドラカンさん、ダンザ、やりの柄を作り終えたマメダは、
土台にスパイクを植えて行く。
ふぅ・・・防御壁か・・・投げ斧投げやりか・・・
ただの丸太と石を付けた角材だ・・・。
どうだろうな、こんなんでダンジョンでの戦闘に、
ホントに役に立つんだろうか?
まぁ、試すしか無いか。
試してダメなら改良して行けばいいさ・・・。
兎に角、兎に角、何か、何かしなけりゃ始まらん。
そこで作業してるドラカンさん、ダンザ、マメダ、ハチム・・・、
リリー、おチビ達・・・集落のみんな。
どうなるかはわからんっす。
俺、みんなの役に立てるかは判らんっす、けど、俺、神の使いっす。
どうにか、どうにか、みなの役に立てるように、
ドラカン集落の役に立てるようにやってみるっす。
出来る事を、思いつく事を。
中間管理神様、山神様・・・どうかお力をお貸し下さい。
どうか、お導きを・・・。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
いいねやら、感想やら、ブックマークやら、レビューやら、
星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
昼飯まだかなー
話が進むのもまだかなーw




