第三十話。魔神VSタヌキVS我が女神~シガラキ様の笠と神酒
ドラカンさん含むおっさん連中も、ダンザも、
おチビ達の悪ふざけを止めようとしない。
山神様の使いよ、荷車を詰め所に運んでくれと、ヘラヘラ笑ってやがるw
おチビ達が荷車から降りないので、アイテム収納出来ない。
倉庫から広間を通り、入り口の詰め所まで荷車を曳くハメになった。
車になってるし、荷も少ないからどうって事無いが、それでも力仕事だ。
コイツに荷を満載して、町に向かってたんだなぁ。
ドラカンさん達が、俺のアイテム収納を褒め囃すのは、
あながち冗談でも無いな・・・。
くそう・・・おチビ共め・・・無駄な力仕事させやがってw
広間を通る時、晩飯の準備をしている女性陣にも、
おチビの乗った荷車を曳いているのを笑われた。
へへへ、まぁいいさ。
おチビ達と戯れるのは楽しいし、
集落にこんなに早く馴染めたのも、おチビ達のお陰だ。
この先どうしたもんかと、
ダンジョンから戻った時は思いつめて居たが、
防御壁戦法と、おチビ達のお陰で少し気が楽になった。
荷車を、入り口すぐの詰め所に曳いて行き、
おチビ達と広間に戻ると、晩飯の仕度が整っていた。
当然の様に、小上がりのダンザの隣に陣取ると、
トンバーさんの仕切りで晩御飯が始る。
「今日は、昨日のウサギと、アルファが取った貝だよ。
みんな、たんとお食べ」
皆が食事を始めようとすると、
リリーが、トンバーさんを止めるように割って入って、
キッチン側の壁を指差して言った。
「あそこに、山神様の絵を張ったわ。
山神様にお祈りしてから頂きましょう?」
大人達は皆頷き、子供達に祈るようにうながす。
子供達も手を組み山神様に祈った。
リリーが、壁の山神様の絵に向かって、
頭を垂れ祈り、音頭を取る。
「山神様のお守りにより、我等は無事に一日が過ごせました。
感謝いたします」
大人達が、口々に言う。
「感謝いたします」
子供達も、回りをキョロキョロとして、真似をして言う。
「かんしゃいたします」
リリーが皆に向き直り、手を広げて言った。
「さぁ、頂きましょう」
お待ちかねの夕食が始った。
今日の晩飯は、貝と干し魚と野菜の入った、
具沢山トマトシチューと、
ウサギ?らしき肉を細切れにして、焼いたものか。
後は、パンとふかし芋と、サラダ、果物。
昨日と代わり映えはしないな・・・。
初ダンジョン祝いなんか、無かったのさw
俺、ウサギ食べるの初めてかも・・・ちょっとパサパサしてるな。
なんか香草っぽいので香りが付いてるや。
んー、ウサギは、バターで油っ気を足してくれれば、悪くないかも。
ウサギを珍しげに食べている俺を見て、ダンザが言う。
「アルファ、ウサギが珍しいだか?」
「うん、俺の世界でも食べない事は無いんだけど、
一般的じゃなかったから、食べた事無いんだ」
「ほう?」
「野生動物を食べた事が無いって言うか、
畜産で育てた、牛、豚、鶏の3種類しか食べた事無いかも、
後は合鴨くらいかな」
「お前の世界には、狩人は居ないだか?」
「ゼロって事は無いけど、ほぼ居ないな」
「ふむ、じゃぁ狩り自体が始めてだっただな」
「そうだよ。ウサギ狩りの時も、魔物の時も、
何も判らんで困っちゃうよ」
テーブル席から、オーラスさんが割って入る。
「そうなのか、アルファ。
それにしては、ダンジョンの事等、飲み込みが早い様に思うが」
「映画、ゲーム・・・んんー何と言うか、
物語として、魔物が居て剣や魔法で戦う世界には、
触れて来たからっす。
まさか、実戦をするなんて夢物語っすよ」
ドラカンさんも、興味があるようだ。
「アルファの世界の物語と、この世界に違いがあるだか?」
「物語が無限とも言えるくらい色々とあって、
物語の世界が多すぎるので・・・、大体の共通点はあるけど、
知ってる話とまったく一緒、何でも判るって事は無いっす」
そんなこんなの話をしながら、食事をしていると、
何人かのおチビ達が、口喧嘩を始めた。
「違うよ、シガラキ様の笠は、鉄だよ」
「鉄じゃないよ。シガラキ様の笠は、ミスリルだねー」
「鉄でもミスリルでも無いよ。木の色だもん。木だよ」
「木じゃ、弱いもん」
「凄く堅いんだから、ミスリルだよ」
なんの話かと思ったが、
どうやら山神様の、
後ろに背負ってる笠についての口喧嘩だ。
「ねーアルファ兄ちゃん。
シガラキ様の笠はさーぁ、ミスリルだよねー?」
「違うよ。木の色なんだから、木だよ」
「木じゃ無いよ。木じゃ無い!」
俺は、どう答えていいか判らんかったが、
信楽焼きのタヌキの笠は、たぶん藁だ。
つーか、山神様をおチビ達はシガラキ様と呼んでるのかw
「あの笠は、藁だよ。
藁を編んで作った笠だ。
この小上がりに敷いてある、
草のカーペットみたいな感じだな」
おチビ達は、納得がいかないと言うか、不満のようだ。
「えー、こんな藁みたいのじゃ、弱いもん」「木より弱いの?」
「ミスリルのがいいよー」「堅いほうがいいよねー」
ああ、そういう事か。
山神様の笠は、防御力が高い最高の防具とおチビ達は思う訳ね。
神器か。
それで、鉄やミスリル・・・知る限りの最高の素材だろうと。
しかし木の色だから、
山神様の防具にしてはショボイんじゃないかと、そういう事か。
へへ、おチビ達に、ご納得頂ける様に説明せねばw
「山神様の笠は藁なんだよ。
でもさ、凄く堅い、凄く強いんだ。
そうだな・・・一番強い魔物はなんだい?」
おチビ達は身を乗り出して答える。
「ドラゴンー」「魔王ー」「まおー」
俺は、続けて言う。
「もっと強いのはなんだい?」
「もっと強いの?」「一番強いのは魔王だよ」「魔王だよねー」
「そうだな、魔物で一番強いのは、魔王だな。
でも、もっと強いのが、
何百倍も強いのが居るよ?
魔神だ」
「魔神かー」「まじん?」「魔神なーに?」
「魔神は悪い神だな。
でも神だから、魔王、魔族やドラゴンの何百倍も強いぞ。
それでな?英雄、勇者なんか所詮人だ。
人なんか比べ物にならないほど、山神様は強いんだぞ?
山神様は、神様だもん。
人の使う鉄やミスリルなんかより、伝説の盾なんかより、
神様が使えば、藁のほうが何百倍も堅いし強いんだよ。
だから、山神様の笠は藁でいいの」
おチビ達は、ご機嫌に口々に言う
「シガラキ様は勇者より強いー?」「シガラキ様は神様だもんね」
「シガラキ様のが強いよねー」
「シガラキ様の笠はさー、勇者の盾より強いもんね?」
「一番かたいよねー」「神様だもんねー」
「ねー」
藁でご納得頂けた様だw
ダンザが、隣で笑って居る。
山神様が一番強い事に気を良くしたおチビ達が、
続けて問い掛ける。
「ねーアルファ兄ちゃん、あのお酒も凄い?」
「シガラキ様のお酒凄い?」「凄いよねー?」
「シガラキ様のお酒だもんねー?」
俺は、調子に乗って言った。
「そりゃ凄いさ、山神様のお酒だからなぁ。
アムリタとかソーマとか・・・えーと・・・。
エリクサーみたいなもんだな」
「エリクサー?」「エリクサー知ってるー」
「知ってるー、何でも直っちゃう薬だよねー?」「凄い薬だよねー?」
隣のダンザが、なんだそれ?と言う表情で聞いて来た。
「アムリタ?ソーマ?」
「ああ、俺の世界の物語に出てくる、神の酒の名だよ。
まぁエリクサーみたいなもんさ」
テーブル席のドラカンさんから、声が掛かる。
「なんだーな?
神の酒だーな?
一遍飲んで見たいだなー」
オーラスさんニックさんカブールさん、
おっさん連中も話しに入ってきた。
「いいねー神の酒かー」「美味いんだろうなぁ」
「若返るかも知れんぞ?」
テーブルのおっさんら・・・酔っ払い始めてるな。
トンバーさんに叱られろw
こっちはこっち小上がりでは、
おチビ達が今仕入れた知識を、山神様の笠や酒が凄いもんだと、
給仕に立っていて聞いてなかった、リリーに吹き込んで居るw
リリーは、それを嬉しそうに聞いていた。
我が女神様は、美しく、可愛いなぁ・・・、
もう素晴らしいな。
そうだ!
山神様のお姿は、リリーをモデルにしよう。
それがいい、つーかそれしか無い!!
なんとなく、タヌキ族の神の姿って言われて、
信楽焼きのタヌキにしてしまったが、
山神様だって、美しい姿のがいいに決まってるんだ。
リリーのくれた水は聖水だ。
リリーに手当てして貰えば、何だって直る!
死に掛けてたって、全快する自信が俺にはある!!
タヌキの笠とか酒とか、
ショボイ!!あまりにショボすぎる!!!
そんなんで、タヌキで信徒なんか集るもんかw
美しいリリーの姿の方が、何億倍も信者が付くに決まってるんだ!
そうさ、我が女神様のお姿でいいか、
今度町の礼拝所で山神様に聞いてこよう。
おチビ達は食事を食べ終り、
あっち向いてホイをやろうとせがんで来る。
お腹一杯になるの早いな、おチビは。
俺まだ食べ終わって無いから。
ホラ、マメダもリリーもまだ食べてるから・・・、
おチビ達・・・ちょっと待ってくれ。
つーか、まだ防御壁作りの相談してないから。
って、おっさんら酔っ払ってやがる。
ダンザも飲みに参加してやがる・・・。
お前も飲みすぎて、トンバーさんに叱られろw
今日はダメか・・・防御壁作りの算段は明日の朝だな。
今日出来る事は、寝る前に魔力のある限り、
石斧石ヤリ作りしとこう・・・。
って判ったから、食べ終わったら、やるから。
あっちむいてホイやるから、待ってて。
食べ終わるの待ってて。
もう、ちょっとボーッと考えてたらこれだ。
メシ食い終わるの待っててー。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
いいねやら、感想やら、ブックマークやら、レビューやら、
星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
飯ぐらいゆっくり食いたいw




