第二十九話。石器時代開幕と防御壁の算段
レンダさんとカブールさんは、
騒がしい子供達の声を作業場で聞きつけ、
電車の到着を待たず、こちらに向かって来ていた。
広場からものの3分と言った所で、合流できてしまった。
作業場まで行かないので、おチビ達は不満のようだが、
電車でUターンするのが面白かったらしく、
すぐ、ご機嫌は直ったw
俺は、レンダさんとカブールさんにも、
防御壁をダンジョンに持ち込む案を伝えた。
レンダさんは、元冒険者だから話に食いついたが、
カブールさんには、あまりピンと来ない話だったようだ。
電車2本で広場に戻ると、
子供達は日が暮れるまで外で遊びたいようで、
リリーと赤ん坊を抱いたカブールさんが、
広場で泥遊びの続きを見守り、
残りは、ダンジョン跡入り口前の長椅子で、
防御壁戦法と防御壁作りの相談となった。
決まったのはこんな感じ。
防御壁は、腰ほどの高さの丸太の壁、
これが骨組みの基本であり土台だ。
ログハウスのカドの下部分と言った感じか。
カドが良い理由は、横一線の壁より、
前衛を囲むのが良いだろうとの事。
完全に身を隠せる壁のが、
良いんじゃないかと俺は思ったが、
高さが低いのは、前衛が姿を見せ魔物を食いつかせないと、
防御壁を回り込もうとするだろうから、
逆に後衛が危険となるかも知れない事と、
前衛が攻撃出来るようにだ。
前衛が攻撃出来るんじゃ、
逆に魔物の攻撃を前衛が受けちゃうから、
意味が無い気もするが・・・。
腰ほどの高さの壁でも、あると無いとじゃ大違いだと、
元冒険者達は口を揃えて言う。
突っ込んで来る魔物は、
防御壁を乗り越えようとするところを、攻撃するそうだ。
うーん、そうなのか・・・まぁ丸太はいくらでもあるし、
色々やって試してみりゃいいか。
防御壁の中央は、前衛が魔物を食い付かせる低い壁。
左右は、身を隠せる高さの木の壁、塀と言ったところかな?
と、弓などが射線を得られるように、背の高さほどの柵。
塀と柵、半々にしようと話は決まった。
防御壁のサイズ、横幅は、
ダンジョンの通路より少し短くする算段だ。
今日見た感じ、ゲンコツダンジョンと集落のダンジョン跡は、
体感だがほぼ同じサイズ。
ダンジョンには、規格があるのかねぇ・・・?
兄弟のようなダンジョンだからか?
戦法としては、
突っ込んで来る魔物を、防御壁中央の前衛に引き寄せ、
乗り越えようとする所を叩く。
残った中距離、遠距離攻撃をして来る魔物は、
塀に隠れ、安全なところから、遠距離攻撃で叩く。
以上!
シンプルだ・・・。
前衛にも遠距離攻撃して貰う為に、
投石も防御壁に常備しよう・・・。
大体の相談が終わったところで、俺はダンザに問い掛けた。
「魔物の前衛が突っ込んで来るのをただ待ったり、
遠距離の残った魔物を、弓なんかで狩るのを待つより、
ダンザも投石でもするのが良くない?」
ダンザは、少し考えてから言った。
「突っ込んで来るのが片付く前に、
投げれる余裕があるかは判らんだが・・・。
残ったヤツには、投石より投げ斧が良いだな。
アルファなら、石斧がいくらでも作れるだーな?」
俺は、入り口脇に積んである、川原の石を指差し言った。
「投げる用の石斧か、石ならいくらでもあるしな」
マメダが、任せろと言う表情で、まわりの森を見ながら言う。
「斧の柄なら任せて、木ならいくらでもあるわ」
ドラカンさんが、口調を合わせて言う。
「縛り付ける虫糸なら任せるだー、倉庫にあるだー。
いくらでもは無いだがw」
マメダが、ドラカンさんを軽く睨みつけた。
皆、笑って居た。
俺はちょっと考えながら皆に訊いた。
「投げ斧か・・・みんなも使うなら斧がいいんすか?
俺が使うなら、投石や投げ斧より・・・ヤリ。
ハチムの持ってるような、
細ヤリを投げるのがいい気がするっす」
オーラスさんが答える。
「アルファや俺が使うなら、斧よりクセの無い、
投げヤリのがいいな。
弓が使えるなら、弓を使うのが一番いいが」
「弓が一番いいっすか」
ニックさんが、言う。
「弓はなぁ、人により結構、向き不向きがあるし、
矢が消耗品だからなぁ。
外での狙撃なら弓だが、ダンジョン内部での中距離攻撃だ。
投げやりの方が良いんじゃないか?
アルファなら、石やりの供給も申し分無しだしなw」
マメダが、ちょっと小馬鹿にするように言う。
「アンタは、土魔法で石つぶて、飛ばせばいいじゃないのよ」
「そうなんだけどさ、石の供給は問題無くても、
バンバン撃ってたら、魔力がすぐ無くなるじゃないか。
俺マックスMP50で、石つぶてMP3使うんだぜ?」
オーラスさんが、言う。
「うむ、アルファは、余裕が出るまで、
魔力探知に魔力を使うのがいいな。
石つぶては、奥の手に取って置け。
通常時は、投げヤリがいいだろう」
俺は、石の小山から手頃な石を選び、
ハチムにヤリの先を見せて貰いながら、試しに石ヤリの頭を作った。
手の平より短く、丁度指2本位の太さと厚さだ。
先は尖らせてあるが・・・刺さるんかね?
まぁ、投石よりは、威力があるだろう。
こいつに木の柄を付けたもんが、投げ付けられたら、
俺は大怪我をする自信があるw
細い石だからすぐ壊れそうだが、構うもんか消耗品だ。
魔力1で3つ作れたし、鉄のヤリ先が買えるまで石でいいさ。
とりあえずの低層用、間に合わせ品、投石よりマシだ。
投げヤリの柄は、持って使う普通のヤリと同じ長さ。
身長程度の長さがいいだろうと、元冒険者達の意見で決まった。
ヤリの柄は、その場でマメダに注文しといたw
石斧の頭は、ダンザの注文を聞きながら作った。
俺の合掌した手の平くらいのサイズ。
先は刃状にしてあるが、石だw
切れんわなw
投げ斧の柄は30センチ位で、
グルグル回って飛んでいくイメージのヤツだ。
上手い事、刃の部分が当たるもんか?と思うが、
ダンザの投げた柄付きの石が当たれば、
刃なんか関係無く大怪我をする・・・。
いや、俺は死ぬ自信があるw
石斧の頭のほうが、削る手間が少なくて、
魔力1で4つ作れた。
こいつの柄もマメダに注文しといたww
斧用の短い柄は、薪を削ればすぐ出来るそうで、
今日中に、何本も作るみたいだ。
そうこうしている内に、日が暮れてきた。
晩飯も近い、そろそろ中に入る時間だ。
俺は、斧ヤリ加工用に、
頭ほどの大きさの石を、アイテム収納にいくらか入れた。
リリーとマメダは、泥遊びをするおチビ達と犬を、
ダンジョン跡に入れようとしている。
俺も手伝うか・・・。
ええぃ・・・チビ共め、派手に汚しおって。
俺は、浄化の魔法使わないぞ、
今日は石の加工に、魔力取って置かないといけないからな。
もう日が暮れるから、泥遊びはまた明日。
いいから、もう入れって、もうじきに晩御飯だぞ。
今日の晩御飯は、貝が一杯あるぞー。
ドラカンさんが、全員中に入ったのを確認して、外扉を閉めた。
皆、魔石入りの瓶を手に取り、続々と奥に入って行く。
入ってすぐの詰め所で、マメダに呼び止められた。
「アンタ、さっきの斧の頭とヤリの頭、
ここの机に置いといて。
夜のうちに何本か作っちゃうから」
「おk、削った石はここに置いとくよ。
斧もヤリも30本もあればいいかな?」
「30も要る?
ヤリはみんな使うから、多めがいいのかしら?
んー・・・アタシが運ぶんじゃないから、多めでいいかw
でも、斧の短い柄は、何本でもすぐに作れるけど、
ヤリ用の長い木は、新たに切るか、削って作らないとダメね」
「明日、防御壁作った後に、
投げやりの柄も準備よろしくっすw」
「もう、アンタ、人使い荒いわね」
リリーが、上機嫌で言う。
「あたしも手伝うわ、マメダ。
今より安全に、深く潜れるかも知れないんでしょう?」
広間から、トンバーさんの声がする。
「リリー、マメダー、晩御飯の準備手伝っておくれー!」
リリーとマメダは、返事をすると広間に早足で向かって行った。
へへ、俺の人使いなんて、トンバーさんに比べたら甘いもんさw
俺は広間に入り、リリーにならって、
女性陣とハチムと一緒に晩飯の準備をしていると、
倉庫からドラカンさん達、男衆に呼ばれた。
倉庫に入ると、荷車に大工道具やら虫糸やら色々準備してあった。
詰め所まで、防御壁と投げ斧、投げやり作りに使うものを、
運び出して欲しいらしい。
荷車に乗ってるんだから、曳けばいいじゃないか、近いし。
こっちも人使いが荒いなw
まぁ、俺がアイテム収納すれば、力仕事じゃなくなるけどさ。
ドラカンさん達は、アルファが居ると助かるだの、
さすが山神様の使いだのと言ってふざけている。
まったく、しょうがないとっつぁん共だw
つーか、おチビ達・・・、
その荷車アイテム収納するから、下りてくれ。
入り口の詰め所まで運ぶんだって。
曳いて行かないの、アイテム収納するから、
下りて、下りてってw・・・くそう・・・。
またか、倉庫に来るとコレだな・・・。
ええぃ、チビ共・・・下りろって。
犬も纏わりつくな、あっち行けぃ。
おっさんらも、ダンザも、笑って見てないで、どうにかしてくれw
どいてー、誰か助けてー・・・。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
いいねやら、感想やら、ブックマークやら、レビューやら、
星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
腹減ったw




