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第二十七話。扉の固定とオーラスの子等とタヌキ族の限界

俺とダンザは、広場に戻り、

子供達の粘土遊びの準備を始めた。


長椅子で寝そべりながら、

赤ん坊をあやして居るドラカンさんが言った。

「アルファ、虫毒草を一つ出してくれるだか?」


俺は、ドラカンさんに虫毒草を1つ渡した。


虫毒草を受け取りながら、ドラカンさんが言う。

「戦利品の粘液は、桶か壷にでも入れとけばいいだー。

粘液の瓶は大きめだから、

コップや水を持ち運ぶのにでも使うだーな」


同じく長椅子に寝そべるオーラスさんが、横から言う。

「壷は、倉庫にあるし、あまった粘土や瓶やら、

アイテム収納しているイランもんは、

倉庫に出しておけば良い」


広場中央で、粘土遊びの準備を終えたダンザが、

こちらに戻りながら言う。

「へへ、運ぶのが面倒で、粘液なんか捨ててたが、

アルファが居れば、これからはコップや瓶に困る事は無さそうだな」


「コップや瓶か・・・これは売りもんには、ならないんすか?」


いじっていた虫毒草を、

オーラスさんに渡しながら、ドラカンさんが言う。

「売り物にならない事も無いだーが、まぁ安いだー。

それに、荷車に載せて売りに行ったら、瓶の出所がバレてしまうだな」


「ああ、そっか、ダンジョンは秘密なんすもんね。

ダンジョン産の瓶を大量に運んでたら、怪しいっすもんね」


虫毒草を受け取り、いじりながらオーラスさんが言う。

「アルファなら、アイテム収納でハーネの倉庫まで、

隠して持ち運べるな。

ハーネは、ここにダンジョンがある事を知っている。

ガラス瓶は、いくらか流通しているハズだから、

小遣い稼ぎには、なるんじゃないか?」


「ハーネさんは、ここのダンジョン知ってるんすか?」


ダンザが答える。

「シュンツもな」


「へー・・・」


ハーネ商会・・・。

商才イケメン、シュンツ君も知ってるのか。


ドラカンさんが、ハゲ頭を掻きながら言う。

「まぁ、ハーネは昔なじみだー。

ダンジョン産の物を隠して運び、町の外で買い取って貰ってるだー」


「なるほど、それがこの集落の資金源って訳っすね」


オーラスさんが、言う。

「そうだな、ウサギやシカやイノシシの肉や皮、

湖の魚だけじゃ食っていけない。

薬草、毒消し草、低級ポーション、毒消しポーション、

俺の子等が居た頃は、

ダンジョン産の糸も持ちこんで居たんだが・・・」


「糸っすか?」


ダンザが、答える。

「6階層から居るイモムシと、16階層からはクモが居るだ。

それのドロップだな。

アイツらは、PTを組んでそれらを狩っていただーな」


「糸は高値っすか?」


ドラカンさんが答える。

「いや、安値だー。

クモの糸はいくらか値が付くだが、ポーションのが儲かるだー」


オーラスさんが、少し申し訳なさそうに言う。

「あいつら、出てっちまって・・・。

他所に行ったって、いい狩場になんかあり付けんのに、

低級ポーションが独占して狩れるだけ、マシと言うもんだ」


ドラカンさんが、なぐさめるように言う。

「なぁに・・・若いあいつらの気持ちも判るだな。

どこかで何か出来るんじゃないか、自分達の力を試したい。

冒険者にもならず、

一生この集落に居ても、しょうがないだぁな。

オーラス・・・俺やお前も、若い頃そんな気持ちだっただな」


オーラスさんは、うつむき、

虫毒草を見つめながら言う。

「ああ、判るがな・・・無理をして命を落としてはな。

無事で居てくれればいいが」


ダンザが、空気を換える様に明るく言う。

「俺は、ここで木こりと漁師をやれればいいだな」


ドラカンさんが、口をへの字にして言う。

「木こりと漁師では、食っていけるか怪しいだー」


オーラスさんの息子さん達は、

他所で冒険者になってるのか・・・。

戦闘向きじゃないタヌキ族のPTじゃ、

クランにも誘われず、僧の回復も無しだろうし・・・。


ダンザだってそうさ、

リリーだってマメダだってハチムだって、

ドロ遊びをしてるあのチビどもだって・・・。


タヌキ族に生まれてアテの無いヤツは、

苦労するしかないのか?・・・何か無いのか?

そのために俺は送り込まれたんだが・・・俺には何も思いつかない。


山神様よ、俺でどうにか出来るっすか?

どうすればいいっすか?

タヌキ族を栄えさせる・・・俺にもっと力があれば・・・、

何か、どうにか・・・。


ダンザが、考え込んでいる俺を明るく促す。

「さ、扉の固定やっちまうだな」


「う、うん。

やっちまうか」


俺達はダンジョン跡に入り、俺の部屋に行くついでに、

ダンザの部屋に寄った。

「ちょっと荷物置いてくるだな」


「荷物?」


「ああ、ちょこちょこアイテム収納してるもんと斧だ」

ダンザは部屋に入り、荷物整理をしている。


俺は、一部屋を二部屋に分ける壁に寄りかかり、

また考え事をしていた。

「なぁ、ダンザ・・・、

俺はどうしたらいいんだろうな・・・」


俺のほうを向くでもなく、ダンザが答える。

「どうって?」


「いや・・・タヌキ族を栄えさせるなんて、

俺に出来るのかなって・・・」


「神の使いになって、まだ2日?だーなw

ドラカン叔父さんじゃないが、まったりのんびりでいいだな」


「それにしても、何の目処もたってないと不安なんだよなぁ」


荷物整理を終え、粘土を詰めるコテを持ったダンザが振り返り、

俺の部屋に向かって、歩き出しながら言う。

「アルファ。お前はさ、神の使いだな。

俺達は、神の使いが来てくれた事で、期待をしちまうだーな。

でも、お前と過ごしてお前を見るに、

強い力や知恵を持って無い事は、判っただな」


「うん」


「それでも俺を含め、集落のみんなは嬉しいだな。

いいだな、お前は何もせんでも、何もできんでも。


集落の一員になってくれただけで、ありがたい事だーな。

山神様が俺達を見ていてくれた、お前を送り込んでくれた。

それだけでもう、心強い事だーな」


「そうは言ってもなぁ。

今出来る事は、山神様に姿と名前を用意する事。

あとは、ダンジョンで一儲けの為に、

レベルアップくらいしか思いついて無いんだ・・・

なんかこう、パッと、スッと・・・

何か出来るんじゃないかと・・・」


うだうだと話しながら、

俺たちは、俺の部屋の前に着いた。


ダンザが、桶や粘土を出せと、身振りで指示しながら言う。

「ダンジョンで一儲けだーか、命を掛けて一山当てる。

冒険者になって英雄になる、伝説の勇者になる。

誰しもが子供の頃に夢見る事だー。


でもな、アルファ。

そう甘いもんじゃないだな、ダンジョンは」


桶に粘土と水を準備しながら、俺は言った。

「ダメか?ダンジョン一儲け?」


ダンザは、桶の中で粘土をこねながら言う。

「俺たちタヌキ族は、あまり戦闘向きじゃないだな・・・。

力、素早さ、魔力・・・そういったもんで、秀でる物が無いだ。

深く潜るとなると、問題は前衛だーな」


「でもさ、ダンザ、お前には盾の才があるし、

マメダもハチムも弓とヤリの才がある。

俺達でPT組んで、どうにかならないもんか?」


ダンザは、扉の固定に取り掛かった。

「才がどれほどのモノか判らない上に、盾の才?

俺にそんな才能があっても、何の役に立つだな?

前衛に向く、元々防御力も体力も高い他種族の前衛には、

多分敵わないだーな。

バイロンさんを見たら判るだな」


バイロンさん・・・、

ギルドマスターの、闘牛ガッハッハじいさんか・・・。

確かに、バケモンだったな。


「ダンザ・・・、

お前はダンジョン一儲けには、乗ってくれないのか?」


ダンザは、扉の固定作業をやめ、こちらを向いて言った。

「低層・・・。

10階のボスやその先までは、

たぶん俺が前衛でも鍛えれば行けるだな。

オーラスさんの子らもやってただ。


でも、20階のボスやその先は・・・、

俺ではたぶん無理だーな」


前衛は、タヌキ族ではきついのか・・・。

ダンザ、お前はプロレスラー並の体格だが、

ダンジョンの前衛は、そんなお前でもダメなのか?

盾の才があっても無理なのか?


「・・・盾の才で、前衛が勤まる様なら、

その先も付き合って貰えるかい?」


ダンザは、扉の固定作業に戻り、

しばらく考えてから、ぼそっと言った。

「・・・勤まるならな・・・」


俺達は黙り込み、

黙々と扉の固定作業を続けた。


種族による、向き不向き・・・か。

確かに、バイロンさんを見るに、

前衛は、前衛向きの種族でないとキビしいのか?


俺が、前衛を出来るようにしてくれれば良かったのに・・・。


扉の固定作業が終わると、ダンザが言った。

「これで乾けばいいだな」


「ありがとう、ダンザ」


「桶やら余った粘土やらは、倉庫に置いとけば良いだな」


「了解、俺もアイテム収納してるもん整理しとくか」


「ああ、適当に自室と倉庫に置いとけば良いだーな」


俺達は、倉庫に向かい、

扉固定の後片付けと、アイテム収納の整理をする。

「ダンザ、虫毒草も出しちゃっていいかな?」


「うーん・・・日持ちはしないだが、

良いでないかな」


倉庫には、壷や木箱や棚があり、

色々な物が収納されている。


あれは糸か・・・虫糸ってヤツだな。


俺は、手頃な空箱を指差し、ダンザに尋ねる。

「この空箱でいい?」


「うん、空箱や空の壷は、適当に使っていいだーな」


俺は、アイテム収納していた、

粘液やらなんやら細かいもんを、

適当に倉庫に保管した。


ダンザは、倉庫の入り口で、

俺の整理が終わるのを待っていてくれた。

「さて、広場に戻って昼寝でもするだか」


「うーん、自室に置いておきたいもんもあるし、

ちょっと考えたいから、俺自室に行くわ」


「ん、判った。

・・・アルファ、あんまり考え過ぎるなよ。

のんびり、まったり、ゆるゆる行くだーよw」


ダンザは、笑みを浮かべ、

俺を倉庫に残し外に向かって行った。


倉庫に一人残り、

俺はそこらのものを見ながら考えていた。


前衛無し、僧による回復無し・・・。

山神様、中間管理神様・・・、

もうちょっとなんとかなりませんでしたか?


異世界言語、特殊鑑定、

2tアイテム収納、土魔法、Lv5・・・。


これだけじゃ、俺たちは、

普通の冒険者になれるか、さえ怪しいもんっす。


荷車無しでダンジョンに潜れる?

まともにダンジョンに潜る事さえ、

出来無いかも知れないのに?・・・アホか。


岩でも収納しといて、上から落とす・・・、

ダンジョン行くまではそんな事も考えたっす。

でもね、そんな事は机上の空論っすよ。


遠距離で一方的に攻撃できるザコなんかに、

岩落としなんて必要無いし、

一瞬で敵は突っ込んで来る、動いてるんす、

岩なんか当たるかい!


岩落とし当てる為に敵を止めるには、

前衛が耐えられなきゃ話にならん。


その前衛が居ないんすよ。

たぶん深い階層の魔物には、ダンザは耐えられないんす。


その上、敵が止まっても、

前衛にだって岩は当たっちまうかも知れないし・・・。


俺達じゃ、低層?

20階弱が関の山だって、ダンザは言ってたな。

オーラスさんの子らも、そうだって。



アルファは、倉庫から自室に向かって歩きだした。


ダンジョンの事、魔物の事、自分の能力、

タヌキ族の事、色々な事を考えながら・・・。

さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。


いいねやら、感想やら、ブックマークやら、レビューやら、

星5やらw頂きたいっす。


反応無いと、便所の落書きだものねw


まぁゆるゆる行くさ

って、俺!話は進めろ!!w

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