第二十五話。虫毒草採集と石運びとダンジョンの意思
アルファ達は、ゲンコツダンジョン一階層殲滅を終え、岐路に着く。
ゲンコツ山を下り、湖畔に着くとドラカンが指示を出した。
「アルファ、あそこらへんの草むらだっただな。
魔力探知で虫毒草を探してくれるだか?」
俺は、魔力探知を使い言った。
「はい、あそこの草むら・・・奥に5つはあったっす」
「どの草が虫毒草になるのかは、さっき見て判っただで、
どれが虫毒草かダンザとマメダに言えばいいだ」
俺は、先ほど虫毒草を探知した方に向かって進み、
草むらに入る。
ダンザは、無言で付いて来た。
マメダは、付いて来ない・・・。
「えー、それこそ虫に刺されちゃいそうよ」
オーラスさんが、少し茶化すように言う。
「まぁ良いじゃないか、荷物が無い分、楽なんだからw」
俺とダンザは、マメダを置いて草むら深くに入った。
「あ、あった。
あれ、ダンザ、あれ判る?」
先に進み、俺が杖で差す虫毒草を掴んで、ダンザが答える。
「これだーな?」
「そそ、それ虫毒草。
その先のヤツも」
草むらは、山裾の森で終り、
奥に深くなかったが、山と湖畔との間に広がっている。
アルファとダンザは、丸木橋方向に草むらを進み、
虫毒草を2人で採取して行く。
ドラカン、オーラス、マメダは、
横に進むアルファ達を追って、湖畔を進んだ。
草むらが細くなり、湖畔と森が隣接する所まで、
アルファとダンザは採取を続けた。
ダンザが、先に草むらの切れ目まで到達し、
両手一杯に持つ虫毒草を、
追いついた俺に渡しながら言う。
「結構あっただな」
俺は、渡された虫毒草を、アイテム収納しながら言った。
「うん、2人で40チョイあったな。
この種類の草が群生してたから。
その内、1割程度が、魔力を溜め込んでたっぽいね」
湖畔を歩き、俺たちと合流したオーラスさんが言う。
「ダンジョン近くは、ダンジョンに地脈から汲み出されるからか、
魔力が濃い事が多い。
薬草や毒消し草は無かったか?」
「無かったっす」
ドラカンさんが、先を歩きながら言う。
「薬草や毒消し草は、
ダンジョンから出た魔物が、取ってしまうだな、たぶん。
それに野生動物も食べてしまうだー」
「ふむふむ、ダンジョン周りに薬草になる雑草を植えても、
収穫は出来ないか・・・」
マメダが、少し不思議そうに言う。
「虫毒草は、なんで残ってるのかしら?」
ダンザが、丸木橋に続く森の道に入りながら言う。
「たぶん、動物も魔物も要らないと思うだな」
「むぅ・・・動物にはマズい雑草。
魔物は・・・なんでっすかね?」
オーラスさんが、少し考えながら答える。
「うーん、ダンジョンにとって、使い道が無いから、か・・・?」
俺達は、森の中の道を下りだした。
「ゲンコツ山より先にも、
湖畔に似たような、草むらがあったっすよね?
あっちにも虫毒草あるっすかね?」
ドラカンさんが、言う。
「たぶんあるだな。
それに、今採った草むらにだって、
また生えるだな・・・と言うだか、
別の草が魔力を貯めて、虫毒草になるだー」
「ふむふむ、どのくらいの期間で、
草は魔力貯めるっすか?」
「それは、判らんだな。
魔力の濃さや、草の種類、状態にも寄るだ・・・まぁ草だ、
数年て事は無いだな。
しかし、草をいくら採っても、
荷物にならんのは、楽でいいだーな」
マメダが、笑いながら言う。
「ホントよ。
もう何でも運んじゃえばいいのよ」
オーラスさんもダンザも笑って居た。
「いやいや、冗談じゃないっすよ。
俺、その先の川原で、石とか砂利採って、
持って帰ろうと思ってるっす」
ダンザが、振り返り俺を見て言う。
「石と砂利を持って帰るだか?」
「うん・・・ちょっと、使えるかも、と思って」
マメダが、不思議そうに言う。
「何に使うのよ?」
「うーん・・・ダンジョンの戦闘・・・」
オーラスさんが、ちょっと考えながら言う。
「土の魔法使いとは言え、出来るのは石つぶてだろう?
砂利はともかく、石は何に使うつもりだい?」
「うーん、石の加工は出来そうなんすよね、
土の魔法で・・・。
投げ易い大きさとか、尖った形にしようかな、と思って」
ドラカンさんが、考えながら言う。
「お前さんのアイテム収納を使えば、魔力を使わず、
投石がほぼ無限に出来るだーか・・・悪くないかも知れんだ」
「はい。取り合えずっす・・・。
何もしないよりは、マシかと思って」
一行は、山道を下り川原に着いた。
アルファは、川原の石を採集する。
何の事も無い。
そこらの石や砂利を、手当たり次第に、
アイテム収納するだけの事である。
2t弱の石の採集は、数十秒で終わった。
一行は、丸木橋を渡り、
対岸の川原から、また山道を登り、湖畔を目指す。
湖畔に出ると視界が開き、正面に東の大山と、
右手に集落のあるドラカン山が見える。
俺は、なんとなく安心した。
子供達じゃないが、ダンジョンのあるゲンコツ山は危険なのだ。
ダンジョン・・・。
魔物を生み出しドロップ品を用意している・・・、
不思議な物だ。
地脈に寄生する魔法生物・・・か。
俺は、疑問に思う事を口にした。
「ダンジョンってのは、結局なんなんすかね?」
ドラカンさんが、のんびりと言う。
「んー?ダンジョンだぁ?」
オーラスさんものんびりだ。
「結局何、と言われてもなぁ」
「魔物と倒すと、ダンジョンが飲み込んでましたよね?」
オーラスさんが答える。
「うむ、何か不思議かね?」
ダンジョンが、魔物を飲み込む事を不思議に思わないのか・・・。
この世界では、魔物の死骸を回収する事が、
当たり前すぎるって事か。
「あれ、なんで飲み込むんすかね?」
「ああ、そう言う意味か、
魔法で石や水を作れないのと同じように、
ダンジョンが魔物を生み出すのに、材料が要るって事だろう」
「魔物の材料として、肉や骨が要るって事っすか?」
「うむ、ダンジョンの事だから正確には判らんが、たぶんそうだ」
ドラカンさんが、補足をする。
「ダンジョンが魔物を生み出すには、たぶん、
材料、魔力、邪気が要るでないかと考えられてるだ。
肉や骨は動物から、魔力は地脈からだーな。
ここらは、ライツにしては何故か邪気が濃いだ。
それでダンジョンが生まれただーな」
「ダンジョンが、薬草や毒消し草を生み出すのはまぁ判るっす。
近くの雑草を取り、魔力を込めるんでしょう。
でも、瓶やらポーションとなると、なんと言うか、
人の作る物と言うか、自然のものじゃないじゃないっすか」
オーラスさんが、答える。
「うむ、だからダンジョンは、
魔神か魔族に作られた魔法生物ではないか?と言う事だ。
レンガの壁や床や扉、ポーション、瓶、それらは人の文化だ。
つまり人の後にダンジョンは作られた。
たぶん、人を誘い込む為に・・・」
ダンザも、疑問を口にする。
「夜に魔物が外に出るのは、
ダンジョンが扉の開閉をしてるだーか?」
ドラカンさんが答える。
「うむ、夜にダンジョンに潜っていると、
部屋や階段の扉が、勝手に開く事があるだ」
オーラスさんが、補足をする。
「ダンジョンの魔物は、
ある程度ダンジョンから指示を受けていると考えられて居る。
それほど細かい指示と言う訳でも無いと思うが・・・、
魔物自体の知能も低いしな。
それでも、外に出て狩りや、
持ち場を守ると言った行動は出来ているのだろう。
ダンジョンの魔物は、ダンジョンと繋がっている、
ダンジョンの一部と考える事も出来るな」
「ふむふむ・・・」
そういう物か、この世界、ダンジョン。
自然や偶然ではなく、意図的なダンジョン・・・。
ダンジョンには、意思があると思って挑むのが安全か?
アルファは、この世界の事、自分が持つチート、僧無しでの戦闘方法、
タヌキ族の繁栄、色々な事を考えながら、
集落のあるドラカン山に向かい、湖畔を進んだ。
時刻は夕方前。
湖畔を進む一行を、雄大な東山が静かに見守って居た。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
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星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
帰ろう帰ろうw




