第二十四話。くだらない戦利品とくだらない階段とショボイ稼ぎ
アルファは、集落から一時間程度のゲンコツダンジョンで、
ダンジョンと魔物との戦闘を、
ポーションを握り締め、PT最後尾から見学させて貰っている。
入ってすぐの広間から、3本の脇道の先にある部屋で、
2度の戦闘をし、7匹の魔物を倒していた。
一階層の殲滅をするべく、一行は先に進んだ。
広間に戻り、本道を進み、脇道の先の部屋を掃討する。
本道を進み、脇道の先で掃討。
また本道に戻り、また脇道の先で掃討・・・この繰り返しである。
階段に辿り着くまで21部屋を探り、
9回の戦闘をし、32匹の魔物を倒していた。
最後に回った部屋には、魔物が湧いて居ない。
ダンジョンに入ってから、35分が経とうとしていた。
ドラカンが、一息付き、のんびりと言う。
「この部屋が一階層、最後の部屋だっただ。
後は脇道を戻り本道に出たら、階段まで行って帰るだー」
マメダが、言う。
「階段まで行かなくても、いいんじゃないの?」
ドラカンさんが、答える。
「アルファに階段を見せておくほうが良いだな。
集落と変わらんが。
集落でも階段までは行ってないだな?アルファ」
「はい、集落でも見てないっす」
オーラスさんが、言う。
「まぁ、集落で見ても同じだが、
扉を開けて階段を確認するぐらい、して行けばいいさ」
「扉が付いてるっすか、階段」
ダンザが、答える。
「ああ、両開きの扉。入り口のとほぼ同じだーな」
ドラカンさんが、全員を促す。
「まぁ見れば判る事だ。行くだー」
ダンザを先頭に、俺達は本道に戻り、
その先の階段に向かった。
階段には、ダンジョン入り口とほぼ同じ木の扉があり、閉まっていた。
「この扉っすか?」
ドラカンさんが、答える。
「そうだー。
それを開ければ階段があるだー」
扉の奥に、魔法探知に掛かる物は無かった。
「扉の先、何も無さそうっす。
開けていいすか?」
ダンザが、扉を開けながら言った。
「ああ、中がどうなってるか見ればいいだな」
俺は、開けられた扉の先を、ライトの魔石で照らした。
「階段っすね・・・幅、高さは見た感じ通路と同じ・・・、
案外急じゃないすね。
先に見えてる床は、踊り場っすか?
2階層目っすか?」
ダンザが答える。
「2階層目の床だーな」
「短くないすか?階段。
大して降らないもんすか?」
1階層と2階層の床の高低差は、
3メートルも無いかも知れない。
そんな程度の短い階段だった。
ダンザが、ハチムが前に言った事と、
今俺が言った事を鸚鵡返しする。
「1階層目の真下に、2階層目がある訳じゃない、
だから、大して降らないだな」
ドラカンさんも、鸚鵡返しで言う。
「そうだーな。大して降らないもんだー。
さて、2階層目をうろつく魔物が寄って来ても何だ。
扉を閉めて帰るとするだ」
特にもう階段に用は無い。
俺は階段の扉を閉め、皆で来た道を戻り出した。
帰り道もダンザが先頭、俺が最後尾だった。
「掃討したっすけど、隊列は組んで行くんすね?」
ドラカンさんが、答える。
「うむ、念の為だーな」
「もう魔物が生み出されているかもっすか?
魔力探知切れそうっすけど、
重ね掛けした方がいいすか?」
「いや、魔物が生み出されるのは、しばらく先だー。
ゲンコツは、2時間ほど掛かるだな」
「ダンジョンにより、魔物が湧く時間に差があるんすか?」
オーラスさんが、横から答える。
「大抵どのダンジョンも1時間から3時間。
遅くても半日以内に、魔物は生み出されるな」
「時間差は、何が原因なんすかね?」
「正確には何ともな・・・。
ダンジョンが蓄積している、
瘴気邪気の濃さ量が、関係しているのでは?
と言われているが」
ふむふむ・・・瘴気、邪気の濃さと量か・・・。
「ここいらは、瘴気邪気が濃いっすか?
大体、北に行くほど、魔物は居ないんすよね?」
オーラスさんが、答える。
「うむ、北ほど瘴気邪気が薄く、南に行くほど濃くなる。
元来、ライツのここらにダンジョン等、出来る訳無いのだが・・・、
何故だかこの一帯は、昔から瘴気が濃いのだ」
「だからこの辺りに、人が住んで無いっすか」
「うむ・・・まぁ未開である理由は、
山であるからも大きいだろうが」
「耕作に適してないからっすか?」
「うむ、そうだな。
その上ライツにしては、魔物が出るとなるとな」
「なるほどっす」
俺達は来た道を戻り、
魔物に遭遇する事も無くダンジョンの外に出た。
階段から外に出るまで、五分と掛からなかった。
広場の中心で、小休止を取る事となった。
「階段から外まで、案外近いっすね」
ドラカンさんが、戦利品を数えながら言う。
「そうだーな。
殲滅でなければ、階段まで15分掛からんだー」
オーラスさんが、補足する。
「うむ、深く潜るのなら、
避けられない戦闘を3~4戦と言った所か」
俺は、握り締めていたポーションをアイテム収納し、
水入りの瓶を出し、皆に配りながら言った。
「ふぅ・・・ポーション、結局使わなかったっす」
ダンザが、少し笑いながら答えた。
「一階層殲滅ぐらいでポーション使ったら、赤字だーな。
最悪、薬草でも食べるだな」
ダンザのMAXHPは55、食らったダメージは13だった。
ドラカンさんはMAXHP120から減ったのは15ほど、
HP100を切っていない。
後衛のマメダ、オーラスさん、俺は攻撃をされていない。
結果、ポーションどころか、
薬草さえ使わずに、一階層殲滅が済んでいる。
ドラカンさんが言う。
「まぁ、一階層ならそうだーな。
オーラスも俺も居るだから、防御力、攻撃力とも問題ないだー」
ドラカンさん達にとって、低階層は簡単なもんか。
「現役の頃ドラカンさん達は、
どのくらいの階層まで潜ってたっすか?」
ドラカンさんが答える。
「俺もオーラスも、どうにか20階のボスの先、
30階ボスは挑んでも居ないだな」
オーラスさんが、補足する。
「ああ、10階ボスの先で稼げれば、その辺りが適性なんだが、
いい狩場は、クランの連中に占有されて居てな・・・。
20階ボスを倒すのは危険だったが、
その先で稼ぐしかなかったんだ」
ふむ、いい狩場はクランが占有か・・・。
僧が居なかったり、クランに誘われなかったり、
占有されてたり・・・。
冒険者にも、格差があるんだな。
ドラカンさんが、戦利品を数え終り、皆に伝えた。
「魔石32、薬草8、毒消し草3、ラットの歯4、
粘液は幾つだっただー?アルファ」
「粘液4っす」
マメダが、言う。
「粘液は、戦利品に数えなくて良いじゃないの」
ダンザが、茶化すように言う。
「アルファの初戦だな。
持って帰る訳だし、戦利品だーな」
ドラカンさんもオーラスさんも笑って居た。
「今日の戦利品は、どの位の価値のもんっすか?」
ドラカンさんが、少し笑いながら答える。
「Lv3、4の魔石は、3つで大銅貨1枚と言ったとこだーな。
薬草、毒消し草は、1つで大銅貨1枚行かない程度だー。
歯と粘液は、値が付かないだーな。
少なくとも、全部で小銀貨1枚大銅貨5枚と言った所だー」
ダンザも、少し笑いながら言う。
「歯は、加工すれば矢尻になるだな。
薬草や毒消し草は、聖水があれば低級ポーションが作れるだな。
そうすれば、もう少し価値が上がるだーな。
なんせ、薬草も毒消し草も・・・マズいだな、雑草の味だw」
ドラカンさんが、指示を出した。
「さて、アルファの初戦も終わった事だし、
虫毒草を拾いながら帰るだー」
俺は、水入りの瓶と、
ドラカンさんダンザの盾を、アイテム収納した。
マメダが、機嫌良く言う。
「荷車も荷物も無いのは、楽で良いわね」
皆、少し笑って居た。
んーと、小銀貨が1万だから、1万5千円・・・。
おいおい・・・5人が命を掛けて、
ダンジョンで魔物を倒しても、一人3千円?
まぁ一時間も潜って無いが、
6時間潜っても6倍、9万円・・・一人2万弱。
安全に、力仕事でもしてた方が、マシじゃないか?
さすがに、低層じゃなくなれば、大儲けも出来るか?
深く潜るには・・・やはりLv上げだよな。
何か、何かダンジョン攻略に向けて、手を考えねば。
生き返りはしないこの世界で、
僧のヒール無し、支援魔法無しで・・・。
ふぅ、ゆるゆる行くさ、まだ2日目なんだ。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
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星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
外の空気は美味しいねw




