第二十二話。気絶と魔法触媒とHPのレクチャー
ゲンコツダンジョン脇道の先、2部屋目にて、
Gラット、Gマッシュ、Gスラッグ2匹、
計4匹の魔物の群れを倒したドラカンPT。
PT全員が部屋の中に入り、扉を閉め一息付いている。
アルファの初戦。
アルファ、魔物との初遭遇であった。
アルファは、ナメクジの死骸跡に向かい、
粘液入りの瓶をアイテム収納した。
「まぁ・・・とりあえず、
初の戦利品、記念品という事で・・・」
ドラカンさんが、俺を観察しながら言う。
「大丈夫のようだだな。
魔物を見て気を失うものもおるだが、これでもう大丈夫だー」
ダンザが、少し笑いながら言う。
「ああ、タヌキ族は驚くと気を失う事が多いだが、
アルファはタヌキ族じゃないし、大丈夫だっただな」
気を失う?
猟師に遭遇すると気を失う、タヌキ寝入りってヤツか?
それを心配して、パニックを起すな、
見てるだけって事だったのか・・・。
「緊張してましたが、大丈夫だったっすね。
ウサギよりちょいデカいネズミ、
同じくらいでかい、歩くキノコ、
もうひとまわりデカい、ナメクジ。
・・・あれが、魔物か・・・」
部屋の正面奥、
キノコのドロップした魔石を回収したマメダが言う。
「キノコとナメクジは、気配察知し難いのよ。
部屋に入って、すぐ近くに居ると厄介なの」
オーラスさんが、補足する。
「うむ、魔力探知で、先に居場所が判るのは、
危険が減らせていい」
「キノコは、なんもせず一撃でしたが、
攻撃範囲に入っちゃうと胞子玉が来るっすね?
胞子玉はどんな感じっすか?」
「俺のファイヤーボールみたいな感じだ。
胞子玉が割れると、毒を含んだ胞子がしばらく宙を舞う。
無味無臭だが、いくらか吸い込むと毒に侵される」
「少しなら、毒に侵されないっすか?」
「そうだな、量によると言った所だ。
大量に吸い込めば、それだけ強く毒が効いてしまう。
ダメージもそうだが、吐き気や眩暈、痺れなどもおきかねない」
「なるほど・・・胞子玉を食らうと状態異常もあるっすね。
あと、あの魔法は、ファイヤーボールだったっすか」
「うむ、触媒の要らない風魔法が、冒険者の間では人気だが、
俺は相性が良くなかったようでな。
まぁ火の相性は悪くはなかったから、俺は火属性を使う」
「んーと、触媒ってなんすか?」
オーラスさんが俺に近寄り、腰の袋から何かを出しながら言う。
「俺の場合はコレ、炭球だ。
これを触媒にファイヤーボールを飛ばす」
渡されたモノは、まさに炭・・・。
ビー玉ほどの炭の玉、炭の欠片だ。
「触媒・・・。
魔法を使うには、触媒が要るっすか?」
少しびっくりしたような、
困惑した顔で、オーラスさんが言った。
「ああ、まぁ触媒無しで火を出す事も、出来なくは無いが、
まぁ効率が全然違うな。
というか、アルファ・・・、
お前さん石つぶてを撃つ時、まさか石を作っているのか?」
「まだ一発しか撃ってないすけど、小石は拾いました・・・」
そうか、触媒が無いと魔法は・・・
ふむふむ・・・そういう事か。
「火ならまだしも、石を作るとか、水を作るとか、
魔法で出来る事じゃない、って事すね?」
「ああそうだ。
驚いたぞ。
神の使いの魔法は、まさか石を作るのかと」
「石作り・・・試してないすけど、たぶん出来ないっす。
風属性の魔法は、空気があれば、
触媒を持ち運ぶ必要が無いから、人気って事すね?」
「うむ、そういう事だ」
そういう事か、そりゃそうか。
そういう世界か・・・漫画なんかじゃ、
手から水をじゃーっと・・・。
まぁそうか、魔法で無から石を作るだの、水を作るだの、
そっちのがおかしいわな。
出来るんなら、金や銀を作れば良いw
金を作れるなら、金の価値はゼロな世界になるかw
鉄が高価な世界だもんな、
金属どころか石も水も、無から魔法で作れるもんじゃ無いのか。
マメダが、弓をイジりながら退屈そうに言った。
「そろそろ次行かない?」
ドラカンさんが、マメダに向かいおだやかに言った。
「いや、まだだー。
アルファ、俺のHP見えるだか?」
HP?
「はい。
あ、3減ってるっすね」
MAX120を超えるドラカンさんのHPが、3減っていた。
棒グラフでは、ちょっとすぎて気が付いていなかった。
消化液を盾で防御したが、ダメージを食らってるのか。
ドラカンさんが、続けて言う。
「盾で防御はしただが、ダメージは食うだ。
もっと防御力が高ければ、ダメージ無しもあるんだろうがな。
さっきのをお前さんが食らえば、
たぶん10近くはダメージを受けるだー」
俺のHP50だから、4~5発食えばやばいのか・・・。
ダンジョン一階層でも・・・やっぱ怖いな、
一人なら死んでるかも。
俺が低Lv過ぎるだけか?
ドラカンさんが続ける。
「剣や矢、魔法なんかで攻撃を、体に直接受ければ、
ダメージの数値より酷い目に会うだ。
肉が裂け、出血し、骨が折れるだ。
手や足を落とされる事だって、ありえるだーぞ?」
ん?どういう事だ?
数値より酷い目に会う?
さらに、ドラカンさんが続ける。
「落とされても、ポーションや魔法でつながるだが、
HPに頼っていると危険だー」
わからん・・・あれ?
えーと・・・なんだ?HPって。
ダメージってなんだ?
あれ?
現実的にダメージとHPについて考えると、
頭がこんがらがって来た・・・。
「あー・・・ちょっと、良く判らないっす・・・
えーと、HPってあれ、ヒットポイントとかヘルスポイントとか、
あー・・・なんか、体力と言うか、命と言うか・・・」
ドラカンさんが、やはりという顔で言う。
「うむ、やはりそうだか。
良く判ってない人も多いだが、アルファもそうか」
ダンザが言う。
「HPは、命の値みたいなもんと言えばいいだな?」
命の値・・・わからんって・・・。
オーラスさんが、補足をする。
「うむ、HPは体の中の命の値だ。
0になれば死ぬ。
しかしHPが高い状態でも、骨は折れ、血は流れる。
頭や心臓に矢が刺さったり、首が折れたり、
頭を割られたりだってありえる。
そうなれば、HPが何百あろうと一気に減る。
いきなり0になる事もありえるのだ。
0になる前にポーションやヒールを使えれば、体も直せるのだがな」
ん?わからん・・・。
HPが、いきなり減る?
クリティカルみたいな話か?
即死攻撃?
オーラスさんが続ける。
「防御力が高ければ、切られたり、折られたり、割られたり、
ダメージを受けづらくなるが、HPを過信してはいかんのだ」
「んんーと・・・致命傷みたいな傷を負うと、
HPなんかいくらあっても、意味が無いって事すか?」
ドラカンさんが答える。
「まぁそういう事だーな。
こればっかりは、体験するしか無いだかな・・・
どうにも説明が難しいだな。
言いたい事は、さっき3ダメージを食っただが、
俺は何でも無いと言う事だー。
120あるHPの内、40くらいまで減っても何でも無いだ。
それ以下になると、体調に影響が出てくる。
20を切ると、もう死にそうな体調になるだ」
ん?どう言う事だ?
まただ・・・。
またこんがらがってきた・・・。
オーラスさんが、補足をする。
「HPが少し減ったが、怪我をしている訳じゃないという事だ。
怪我をしてる訳じゃないが、体の中の命の値、HPは減った状態。
このまま怪我無くHPが減り続けると、
怪我はしてないが体調が悪くなる。
大体、体調が悪くなり始める目安は、MAXHPの3割辺りだ。
一割近くなると、もっと体調が悪くなる」
むぅ・・・判ったような判らないような・・・。
「兎に角、HPは体の中の命の値。
体の怪我とは、比例していないと言うか・・・、
怪我の状態を表してる数値じゃない、
って事っすか・・・ね・・・?」
一同、アルファの方を向き頷く。
俺は、自分の頭の中を、整理するように続けた。
「体が大怪我をすれば、命の値、HPは一気に下がる。
いきなりHP0になるような、致命傷もありえる。
逆に、体はなんとも無い、怪我してる訳じゃないが、
命の値HPが3割ぐらいまで減ると、
体に影響が出る、体調が悪くなる・・・」
一同、また頷く。
ドラカンさんが、言った。
「まぁそんな感じだーな。
さて、そろそろ行くだか?」
マメダが、ドラカンさんにドロップした魔石と、
薬草を渡しながら答える。
「次ぎ行きましょう。
こんなにモタモタしてたら、
殲滅が終わる頃には、日が暮れちゃうわ」
ダンザが、少し笑いながら扉に向かう。
「いいだな、殲滅しなくても。
今日はアルファが、ダンジョンと魔物が、
どんなものか経験すればいいだけだな」
オーラスさんも、笑顔で言う。
「まぁ、昼から来たとは言え。
折角来たんだから、一階層くらいは狩っていくさ」
「すみませんね、手間取らせちゃって・・・」
ドラカンさんが、俺の肩を軽く叩き、笑顔で話しをしめた。
「なーに、アルファは昨日神の使いとして、他所から来ただ。
何も知らないで当たり前だーな。
ハハ、2日目なのに、一仕事した後、もうダンジョンまで経験しただ。
まぁ、ダンジョンの中は気を抜かず。
外では、ゆるゆる行くだよ」
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
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星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
いくらか現実的なお話。
かったくるて済みませんですw




