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第十四話。朝から厳しい世界~気弱な槍使いと僧侶の都合

「アルファ兄ちゃん居たー」「アルファ兄ちゃんまだ寝てるー」

「アルファ兄ちゃんー朝だよ」「朝ー」「起きてー」


朝から、騒がしいを通り越して、痛い。


寝てる俺の腹の上にドンて座るな・・・。

ゲフってなったじゃないか、

起きるから・・・起きるから・・・。


仰向けから、腹ばいになって逃げるが、無駄だ。


頭の上に座るなよー・・・

お尻アタックしないで・・・

ストンピングしないで・・・

背中に何人も乗らないでー、

起きるから、助けてー。


「アルファ兄ちゃん起きた?」「朝だよー」「起きてー」


「ぐぅぅー、オギルガラー」


「起きた?」「朝だよー」「起きてー」「朝だよー」「朝ー」


顔を毛布に埋めて逃げるが、犬が耳を舐めて来る。

「あぁぁ・・・小上がりに犬上げないでー、

くぅぅ・・・犬めぇ」


俺は、あきらめて上半身を起した。


「アルファ兄ちゃん起きたー」「起きたー?」「おはよー」

「朝だよー」「起きたー」

「ぐぅぅ、おはよー・・・ちびどもめ・・・犬降ろして・・・」


もー・・・朝から騒がしいなぁ、

大家族恐るべし、朝のチビッコは暴力だな。


新入りの珍しい兄ちゃんとして大人気なのは嬉しいが、

居るから・・・居なくなって無いから・・・

寝てるから、他に行くトコ無いから、

朝から確認に来なくていいから、

朝からあっちむいてほいしないから・・・。


とりあえず、俺の部屋に扉を付けて貰おうか。


一番のおチビをオンブし、

他のチビ達と犬を引き連れ、広間に向かう途中、

ダンザとハチムの部屋を覗いて見ると、

ダンザはグースカ寝てやがる。


おチビに大人気は辛いな、

俺だけか、起されたのは、嬉しいけど辛いな・・・。


しかし、朝と言われてもこのダンジョン跡じゃ、

ライトの魔石が無けりゃ真っ暗だ。

朝感がまったくない。


トイレに寄って、キッチンに顔を出すと、

朝ごはんの支度を、女性陣とハチムがやっていた。


俺は、皆に朝の挨拶をした。


特にリリーには、念入りに挨拶した。

「おはようリリー」

「おはよう、アルファ」


朝からリリーは美しいな・・・目が覚めるような美人とはこの事だ。


トンバーさんが、話しかけてきた。

「おはようアルファ良く寝れたかい?」

「はい、お陰さまで」


「朝から子供達が悪かったねぇ」

「へへへ・・・明日からは勘弁して貰いたいっす」


「ふふふ、そこで顔洗って、

ついでにトイレの水を補充して貰えるかい?」

「あい」


朝から、人使いが荒い・・・。


洗顔していたら、リリーがタオルを渡してくれた。

「はい、アルファ」

「あ、ありがと」


嬉しい・・・超嬉しい・・・

超優しい・・・超美しい、最高の朝だな。


タオルをリリーに返し、さて、トイレの水補充をするか。


見ておれチビッコ達よ、アルファ兄ちゃんの水芸を。


ほーら、湧き水が、湧くそばから消えていくぞー。

トイレの桶に出すトコも面白いぞー。


・・・ホントに俺って、神の使いなんだろうか?


トイレの水補充を終えキッチンに戻ると、

トンバーさんが言う。

「ご苦労さん、朝ごはんの準備はまだだから、

外の朝の光を浴びて、目を覚ましておいで」


「あいっす、チビ共行くぞー」


「ハチム、あんたももういいよ、アルファと外行ってきな」


俺は朝から、チビ達と犬にハチムまで連れて、外まで大行進だ。


途中、広間には、誰も居なかった。


広間を抜け、詰め所に入ると右手が明るい。

扉は開いている、外の光だ。


オーラスさんが、詰め所でまだ寝てるのは、

遅くまで起きて番をしてたからだろう。


おチビ達も犬も騒がない・・・。

起さないように、気を使ってると見える。


くそぅ・・・俺の部屋に扉を付けねば・・・。


魔石入りのビンを、詰め所の机に置き、俺たちは外に出る。


ダンジョン跡入り口近くの椅子に、ドラカンさんが座っていた。

広場奥では、ニックさんとマメダが弓の練習をしている。


近場のドラカンさんに声を掛ける。

「おはようございますっす」


「おーアルファ、おはようだ。

チビ達に襲われただな」


「はい・・・朝から厳しい世界っす」


「ふふん」


「マメダは弓の練習っすね」


「そうだー、アイツは双剣にこだわっておったから、

弓は初めてなんだが、上達が早い、本職のニックも驚いてだた」


「才の力は偉大なんすね、超向いてるって事なんすかねぇ」


後ろから来たハチムに、俺は話しを振った。

「ハチム君も、ヤリの才があるんだから、練習っすね」


「いやぁ・・・僕はいいですよ、

冒険者は向かないと思うなぁ」


「昨日もそんな事言ってたっすね?」


プロレスラーダンザとは比べ物にならないが、

ハチムだって俺より背が高いし・・・180cm弱?か、

ひょろひょろでも、太っても居ない、

細マッチョと言った感じなんだがなぁ。


ドラカンが、代わりに答える。

「コイツはちょっと気弱だで、狩りより家事を好むだ」


ふーむ・・・この金髪長髪イケメンは、

料理が得意なんだったな。


「そうは言っても、これから先ずっと家事じゃ、

食っていけないんじゃないっすか?

折角、生まれ持った『才』があるんだから、

まずはヤリの訓練してみりゃいいっすよ」


「うーん、僕は料理人になれればいいんだけどなぁ・・・」


「おー料理人、いいじゃないっすか」


「いや、なれればと思ってるだけで、

アテがあるとか、計画があるとかじゃ、無いんですけどね」


「ほーう、じゃ、こんなのどうっすか?

冒険者で一儲けして、自分の店出しちゃう計画」


「いやー、どうなんでしょう、

僕は冒険者向かないと思うなぁ」


まぁーた、同じ事言ってらぁ、気弱イケメンめ。


「ははは、まぁ漠然と思ってても、しょうがないっすよ。

冒険者にならなくたって、やってみりゃいいんすよ、ヤリ。

幸い?ダンジョンが近くにある訳だし、

強くなる才があるなら、試してみるのがいいっす」


「ヤリで一儲けして、自分のお店持つ計画ですか・・・」


「なんもしないより、なんかの足しにはなるっすよ」


ドラカンさんが、やんわりうながす。

「細ヤリなら俺の部屋にあるだ、

基本の持ち方、突き方ぐらいなら、教えられるだよ」


おチビ達が、はやしたてる。

「ハチム兄ちゃんヤリの才があるんだよねー?」「ヤリが得意なの?」

「ヤリは儲かる?」「お店なーに?」「ご飯のお店だよねー」


ハチムは、ニコリと笑って、子供達に答える。

「ヤリの才能があるらしいから、

一儲けしてご飯のお店出しちゃうか?」


ハチム君は、ヤリを取りにか、洞窟に戻って行く。


いいぞ、チビ共、いいんじゃない?ハチム君。

俺のダンジョン一儲け計画に、一役買って貰いたいからなぁ。


前衛ダンザは良いとして、後衛、俺、マメダじゃ3人だからな。


前衛、斧盾ダンザ、ヤリハチム、

後衛、魔法使い俺、弓マメダ。

後は、この手のゲームじゃ回復役が居るものだが、僧侶が居ないな。


「ドラカンさん、回復役の僧侶って,

冒険者ギルドで募集するもんすか?」


ドラカンは座ったまま、マメダの弓の練習を見ながら答える。

「ん?回復役の僧侶だか?・・・募集しても集らんだな」


「集らないとは?」


「そりゃお前、回復が出来るだで、冒険者になんかならないだな、

教会や、治療院でも開いて食っていけるだな」


「?

僧侶は冒険者にならない・・・」


「正確には、冒険者を続けないだな。

ある程度レベルが上がるまで、Lv15程度だが、

教会の手引きで、ダンジョンには潜るだ」


「ダンジョンで訓練はするが、

治療で食っていけるくらいになったら、もう潜らない・・・」


「アルファ、お前が僧侶ならそうしないだか?

命の危険無しで、食って行けるだで」


「そう言われればそうか・・・。

あ、あれ?!

ターク神父はLv高かったっすよ」


「ああ、あの方は特別だー。

ライツ教会では珍しい類だーな」


「ほう」


「あの方は、ライツ教会の

『力は持っておくべき』と考える派閥の方だ」


「僧侶で、冒険者を続ける派閥の人はマレって事っすか・・・。

じゃ、なかなか僧侶を募集しても集らないんすね」


「なかなかじゃ無いだな、ホボゼロだー。


低レベルで訓練したい若いのは、

教会の手引きで、中レベル冒険者に出来るだけ安全に鍛えて貰うだ。


そこから先、力を得ようと言う方は、

大手、実力のある有望なクランに行くのが普通だーな。


クランにも入れて貰えない、戦闘向きでもないタヌキ族と、

PT組んでくれるライツの僧など、ホボゼロだ」


「・・・?

じゃぁドラカンさん達は、回復どうしてたんすか?」


ドラカンが、マメダ達の方から、アルファに向き直って言う。

「アルファよ、俺もお前もアイテム師だー」


マジか・・・僧侶無し・・・。


ターク神父鑑定したから知ってるぜ。

支援魔法も、不死系への攻撃魔法も、確かにあった。

面倒な敵への攻撃、PTの防御力を高めるのも僧侶の役目だ。


アイテム師なんて・・・薬草、毒消し、

ポーション、聖水・・・そんなもんだろ?・・・。


「ライツ教以外の僧侶は、居ないんすか?」


「南には獣神ゼンツの僧侶もおるが、あれは僧侶とは言えないだな。

なにせ回復が弱い・・・防御支援など無いに等しいだ。

PTメンバーと、自身の攻撃力を上げる役回りだー」


マジか、ゼンツ教・・・。

回復防御を捨てて、攻撃支援と自身の攻撃かい!

全ツッパかい!!


「・・・他に宗教は無いんすか?」


「各地に、ちょこちょこ土地神様が居る様だが、

あまり有名ではないだな。

それに、その土地神様を信仰する僧侶でも、

ライツの僧侶と同じ事だーな」


ハチムが戻り、広場中央でヤリの練習を始めた。

ドラカンは、椅子から立ち上がり、ハチムに基本を教えに行く。


それを見ながら、ぼんやりと立ち尽くすアルファ。


おいおいおぃ・・・マジっすか神様。


僧侶無しでダンジョン攻略とか、何の冗談っすか?

どんな世界っすか、ハードモードっすか?


蘇生無し、死んだら終りは、それが現実ってもんだと、

ゲームじゃないんだと受け入れました。


しかし・・・その上、僧侶無し?

嘘でしょ?

つーか嘘だよ。


どうなってるんすか?

この世界の他の冒険者達は、どうやって生きてるんすか?


こいつぁ・・・やべー・・・,

2t荷運びと便所掃除のが、マシな気がしてきた・・・。


ポーション頼みで、ダンジョン一儲けより,

よっぽどマシかも知れない。


朝から厳しい世界っすね。


まいったなぁ・・・おチビ達・・・

アルファ兄ちゃん、ダメかも知れない。

さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。


いいねやら、感想やら、ブックマークやら、レビューやら、

星5やらw頂きたいっす。


反応無いと、便所の落書きだものねw


朝はつらいね


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