第100話。押し黙る盾と無邪気な双剣
アルファは、新たなPTメンバーを得た。
冒険者ギルド長バイロンと、ゼンツ教高位神職者ダフリーの孫娘、
猫族の獣人、ラリーサである。
ラリーサの年齢は、リリーとマメダの間、17歳である。
Lvもアルファ達と、ほぼ同Lvであった。
いつもニコニコと明るく、子猫のように少し幼いところもあるが、
冒険者として、肝は据わっている。
ラリーサは、前衛、軽戦士、双剣使いであり、ゼンツ教の神職。
ただの前衛では無い、PTの攻撃力を上げる役回りでもあるのだ。
リリーのPT防御力UP魔法、シガラキの笠と、
相性がとても良いと言えた。
アルファ達4人は、冒険者ギルドでダフリーからの、
情報収集を済ませたところである。
一同は、ハーネ商会に向かい、
シュンツは、集落から出る時点で、大体の値を付け終わって居たが、
ハーネが、集落から持って来た売り荷の査定をする。
その間、俺と、シュンツ、ラリーサは、
空の荷車を曳いて、仕入れに向かった。
本当は荷車など要らないが、街中、人目のあるところで、
俺の異常なアイテム収納量を、さらす訳にはいかなかったのだ。
麦芽糖の材料、市場にあるだけの片栗粉、
数十kgと、数kgの麦の種。
ラリーサを始め、集落の女性陣が絶対に仕入れて来いとうるさかった、
サツマイモも、荷車に乗るだけ仕入れる。
さすが、瘴気が薄く、畑が広く取れる農業国ライツであり、
極東街道の宿場町イーハンだ。
農産品が、大量に簡単に手に入った。
ハチムリクエストの、大きな銅の鍋を1つと、
大きめのフライパン2つも、水飴造り用に仕入れ、
油や調味料、こまごまとした日用品と、瓶類も買出した。
素晴らしいのは、イーハンだけでは無い。
さすが、商才を持つ商人シュンツでもあった。
ドラカン集落注文の色々な品を、
馴染みの商人から、次々と安値で買い上げていく。
俺達は、仕入れを終え、山積みの荷車を曳いて、
ハーネ商会の倉庫に戻った。
倉庫に戻ると、ハーネさんの査定は終わって居た。
ハーネ商会が仕入れてくれていた、瓶類等と、
荷車満載に仕入れた品を、人目につかぬ様に俺がアイテム収納し、
空の荷車を曳いて、4人で南門に向かう。
南門外の獣人キャンプで、ドラカンさん達と合流した。
街中の情報を、ハーネさん、シュンツ、俺で、ドラカンさん達に報告し、
集落からの売り荷と、買出しの差額を清算する。
これで、ドラカンさん始めみんな一安心であり、売買も済んだ。
イーハンの町に異常は無い、
ドラカン集落の危機は、去ったと言って良いだろう。
夕方近いので、さっさと帰る事とする。
ハーネさんは、今度からは、
片栗粉を仕入れて取り置いてくれるそうだ。
シュンツは、また今度の機会に、レベル上げをお願いと言うw
マメダが、今度は金を取ると絡むが、
シュンツは、シガラキ教の雑費として処理すると言って、
はぐらかしていたw
皆、晴れやかな表情で、別れを告げ、
俺達6人PTとドラカンさんは、
空の荷車を曳いて集落への帰途につく。
俺は帰り道でもう一つの報告、
ラリーサが、正式に聖女PTに加入する事になった事を伝えた。
リリーとマメダは大喜びで、ラリーサと抱き合い、
ハチムとドラカンさんも、ラリーサの歓迎会をせねばと張り切っていた。
たった一人、ダンザの様子がおかしい。
なんか、無口で大人しいのだ。
俺は、ダンザにチョッカイを掛けるが、なんかモジモジしてやがる。
どうもダンザは、ラリーサを意識してるっぽいなw
その時俺に、天啓が降る!!!
全ての事が、一本の糸で繋がっている事に、
気が付いてしまったのだ。
・・・それでか!?
リリーとマメダは、とっくにダンザの事に気が付いてて、
ラリーサをPTメンバーに・・・。
ラリーサに、頼れる前衛を・・・?
マメダは、双剣の才持ちのラリーサを気に入り?
リリーは、シガラキ教とゼンツ教の架け橋として?
とにかく、ダンザと、ラリーサをくっつけようと・・・。
いやいや、全部後付の理由だな?w
リリーもマメダも、人の恋路で、ワクテカしてやがるだけなんだろww
まったく・・・女性陣は・・・そういうの好きねぇ。
シュンツが言ってたろ?
冒険者PT崩壊の原因ナンバー1は、色恋だってw
・・・リリーが、次の聖職者を生み出せれば、俺の仕事は終り。
そこで、俺は、リリーを嫁に貰う!
・・・こっちはこっちで色恋だし、
まぁ、人の事をとやかく言える立場じゃないなw
しっかし、ダンザは、どうやらラリーサにベタ惚れだな。
なんだ?訛ってるのがハズかしいのか?
大人しくなりやがって、この金髪ジュニアヘビー級プロレスラーがw
盾バカめw
盾でそのニヤけたツラを隠してやがれww
そんな事を考えながら、隣村近くで空の荷車をアイテム収納から出し、
ニボガッツさんから食料品を買い、荷車に載せる。
隣村から見えなくなると、荷車ごとアイテム収納して、
身軽になった俺達は、スイスイと集落に向かって進んだ。
俺達は、夕方前にドラカン集落に着いた。
町の情報を簡単に集落のみんなに伝え、一安心して貰う。
俺とドラカンさんとダンザで、
イーハンや隣村で仕入れて来た品を、倉庫に出し整理をする。
ハチムは、倉庫の整理もほどほどに、
ラリーサの歓迎会だと、張り切ってキッチンに向かう。
リリー、マメダ、ラリーサも、キッチンについて行った。
倉庫の整理をしながら、俺はダンザに言った。
「お前、昨日から妙に大人しいよなw
あれだろ?ラリーサだろ?」
ドラカンさんも、荷物の整理をしながら、茶化す様に言う。
「あの子は、町でもそうそう見ないベッピンさんだー。
お前みたいな、田舎もんが見たら、
見惚れてしまうのもしょうが無いだーなw」
ダンザが、俺達に向かって言う。
「なんだーな、普通だーな。
見惚れてなんてないだーな」
俺は、さらにイジる。
「まぁ隠すなよ。
あれだぜ?
頼れる前衛の、お嫁に行くって行ってたぜ?」
ドラカンさんも、追撃する。
「あんな嫁さんが貰えたら、お前も一人前だーぞ?」
ダンザが、少しアセって言う。
「何を言ってるだーな。
ラリーサは、PTメンバーだーぞ?
俺達とゼンツ教との架け橋だー」
俺は、ニヤニヤしながらトドメを刺す。
「だからさ、お前の奥さんになれば、一番良いんじゃないかw
聖女の兄となら、バイロンさんもダフリーさんも、文句無いだろ」
ドラカンさんが、〆た。
「まぁ、ダンザ、お前が頼れる前衛かどうかって話だー。
バイロンギルド長とは行かないまでも、
あの娘が頼りに思うかどうかだーぞ。
しっかりやるだーなw」
ダンザは、何を言ってるんだと、ブツブツと言いながら、
俺達を無視して、倉庫の整理に逃げ込んでいた。
ダンザよ、リリーもマメダもたぶん、
お前とラリーサを引っ付けようとしてるぜ?
俺も応援してやるから、面白半分でw
当たって砕けろよ・・・ラリーサはそうそう居ない美人さんだ。
神の導き、運命ってヤツだよ。
たぶんなww
ドラカンさん、俺、ダンザは、倉庫の片付けを終え、広間に向かった。
おチビ達は、まだ外で遊んでいるようで、広間はガランとしている。
ドラカンさんは、長椅子で一寝入りすると言って、外に向かった。
隣のキッチンでは、ラリーサ歓迎会の準備に、ご馳走を作っているようだ。
俺とダンザは、キッチンを覗きに行く。
キッチンでは、ハチムと女性陣が、料理を作っている。
正確には、マメダとラリーサ以外の女性陣が、だw
俺は、料理の手伝いをしている、マメダとラリーサに声を掛ける。
「倉庫の整理終わったよ。
ラリーサは、料理しないの?」
ラリーサは、笑顔で答える。
「私はいいの、冒険者だから」
マメダも言う。
「いいのよ、私も冒険者だし、木工担当だから」
ダンザは、俺の後ろでダマって居る。
まったく、しょうが無いな。
いっちょ、機会を作ってやるか。
俺は、ラリーサに向かって言った。
「明日から、ダンジョンでレベル上げしようと思ってるんだ。
俺達は、10階ボス倒したくらいなんだけど、
ラリーサも、10階ボス前後だよね?」
ラリーサが、答える。
「うん、11階からレベル上げしてたんですよ」
「そうか、丁度良いね。
どう?ここの地下で、ちょっと戦闘訓練しとかない?」
マメダが、食いつく。
「あら、良いじゃない、行きましょうよ」
料理中のリリーも食いついた。
「あら、私も行こうかしら」
俺は、ハチムも誘う。
「ハチムも行く?」
「いや、僕は料理してますからいいですよ」
俺は、ダンザに向かって言った。
「じゃ、ハチム抜きで、ちょっと訓練しとこう。
ラリーサに、防御壁見せておきたいし」
ハチムを除く聖女PTは、
ドラカン集落地下に向かい、戦闘訓練を行う。
ドラカン集落への危機は去った。
ゼンツ教から、ラリーサと言う新たな住人を向かえ、
集落の雰囲気は、明るく華やかなものとなっていたのである。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
いいねやら、感想やら、ブックマークやら、レビューやら、
星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
ひと段落っと。
平和に行こうぜ平和に。
もう一本書き溜めたい!
週の中頃には出せるかもかもw




