第九話。集落へ2~ダンジョンとウサギ狩り
村から離れ、森に入るとドラカンが言った。
「アルファ、荷車収納してくれるだか?」
「はい」
村で買った荷を乗せた荷車をアイテム収納し、
また一行は進みだした。
さて、残りは・・・集落まで一時間強の山登りだ。
「そういえば、ここまで魔物に遭遇していないっすね。
こんな感じで居ないもんっすか?」
マメダが、バカにしたように答える。
「アタシは、2匹見つけてはいるのよ。
アンタが居るから狩りに行ってないだけで」
「見つけてた?何をっすか?」
「魔物かどうかは判らないけど、たぶんウサギね。
イノシシじゃないと思うわ」
「見た訳じゃない・・・動物の気配はあったけど、
魔物かどうかは判らない?」
ドラカンが説明する。
「野生動物が魔物化する事が、
ダンジョンの周りや、もっと南の方では良くあるだー」
「ふむ・・・ここらでも野生動物が魔物化する事が、
まれにあるんすね」
「魔物化した動物は、大した問題じゃない。
強い個体、凶暴な動物と思って貰っていいだ」
ダンザが言う。
「面倒なのは、魔物化したオオカミが率いる群れだな」
リリーも付け加える。
「魔物化してなくても、オオカミは怖いわ。
見た事も無いけど熊はもっと怖いわ」
「熊にオオカミか、そりゃ魔物じゃなくても怖いっすわ」
「だらしないわね、アンタ。
そんなんでホントに神の使いなの?」
俺は、マメダを無視して尋ねる。
「狩りはどうやってやってるんですか?」
ダンザが答える。
「三~四人組みと犬で、山を探って行くだな。
狩りをメインに行くのではなく、
他の用事で行った時に居たら狩るだな」
リリーが続ける。
「でもここの所、魔物化した動物が増えて来ていたし、
この前はゴブリンが出たのよ」
「ゴブリンっすか?」
「ゴブリンは小鬼だー。
一匹だっただが・・・たぶんダンジョンから出てきただー」
「それで心配になって、
山神様にお守り下さる様にお祈りをしていたのよ」
「そしたら、夢に『俺が来る』とお告げがあったのか」
「そう、言葉ではなく、
アルファが草原に現れて、私達を助けるイメージの夢よ」
「なるほど・・・ん?
『ダンジョンから出てきた』?」
ドラカンが、困ったような顔で、ハゲ頭を撫でながら言う。
「ああ、集落の近くにダンジョンがあるだー」
「マジっすか?
ヤバいんじゃないんすか?それ」
「うーん、ここいらライツじゃ、ダンジョンは珍しいが、
南のゼンツではそうでもないだ。
それにダンジョン周辺の魔物は、
ダンジョンから遠くまで離れんだし、そう危なくないだ」
マメダが、得意げに言う
「父さんは元冒険者だし、集落には他にも元冒険者が居るのよ。
私達も、駆け出し冒険者くらいには鍛えているから問題無いわ。
アンタだって魔法使いでしょ?
何をそんなにビビッってるのよ」
ダンザが、困ったような顔で言う
「問題はそこじゃないだな。
ダンジョンが集落の稼ぎの一つであるのに、
ダンジョンの存在が他所にバレれば、
たぶん潰されてしまう事だな」
リリーも、ちょっと困った顔で言う。
「魔物もダンジョンも無いほうが良いに決まってるけど、
それでは生きていけないのよ」
「ふむ・・・ドラカンさん達が、
山奥に集落を作ってる理由はそこっすか・・・」
ドラカンが、ニヤリとしながら言う。
「まぁ、そればかりが理由と言う訳でも無いんだがな」
「他にも理由が?」
「まぁ着けば判るだ」
ドラカンさん達は、ちょっとニヤニヤしていた。
リリーだけが、ちょっと困ったような、
申し訳なさそうな顔をしている。
出合った草原が、森の先に見える所まで来ていた。
集落が山奥にある別の理由を、聞こうかと思った、その時。
マメダの真剣な声が、頭の中に響いた。
「まって・・・草原に何か居るわ・・・ウサギだと思う」
「よし、狩るだか・・・魔物化していたら襲ってくるだ。
アルファ、後ろで見てるだ」
「了解っす」
俺は、小石を右手に一つ出して皆の後ろに回った。
ドラカンさんが半弓を、
ダンザは斧を、
マメダは双剣を、かまえた。
リリーは、犬を押さえて俺の後ろに・・・。
おい、リリー!!
貴女様も何もしないおつもりですか?
女神様が殺生をなさらないのは判りますが、
魔物かもですよ?
襲われるかも知れないんすよ?
なんかあるっしょ、
魔物と遭遇するかもなんすから、
なんか準備と言うか備えと言うか。
俺は、アイテム収納から、
もう一本の杖を出してリリーに渡した。
ドラカンさんを先頭に、
ダンザとマメダが森の中の道をジリジリと前に進む。
「父さん・・・見つけたわ、道の右側・・・わかる?」
「まだだ、もう少し寄るだ。
森の切れ目まで・・・」
俺にも、まったく判らん・・・。
マメダには、膝下ほどの草の中に隠れている、
ウサギが気配で判ったのか?
ソロリソロリと一行は草原に進む。
森の切れ目、草原の端に到達したドラカンが言った。
「どこだ・・・道の右・・・」
「木立の20mくらい手前よ」
「居ただ・・・ウサギだな」
俺には、まったく判らん。
木立まで100m弱あるんじゃないか?
その手前20m・・・80m近く先のウサギが判るのか?
「気付かれるまで、このまま進むだ」
ドラカンさんが腰を落とし、そろそろと道を進む。
俺達も腰を落とし、その後に続く。
木立まで50メートル程、ウサギまでは30メートル程か?
ドラカンさんの弓が、突然、ヒュっと音を立てた。
ダンザと、その後ろからマメダが、
放たれた矢を追うように、
道から外れ、膝下ほどの高さの草原に、突っ走った。
リリーの手から離れた犬も、
ダンザとマメダの動きが合図であったかの様に、
草の中に飛び込んで行く。
マジか?
俺には何にも判らん。
一瞬の出来事だ。
ダンザとマメダを追い抜いた犬が、
草むらの中で吠えている。
ダンザが、二番手で目標に到達したようだ・・・、
ゴッと言う、斧が何かにぶつかる音が聞こえた。
マメダが、双剣を上に振り、草原の中から俺達を振り返って言う。
「ただのウサギだったみたい」
「おじさん、足にギリギリ当たってただーな」
「ん、そうだか」
「良かったわね、魔物じゃなくて」
ダンザが、ウサギを草より上に持ち上げ、道に向かって歩き出した。
「ほら、ギリギリだーな」
「もう少し寄りたかっただが、
気付かれた気配がしたもんだで、とっさにな」
「アルファが、気付かれたんじゃないの?」
「俺っすか?すみません」
「冗談よ冗談」
「がはは・・まぁいい。
土産が一つ増えただ」
「アルファさん、コレありがとう」
リリーが、ニコリとして杖を差し出す。
「いえいえ、なんの役にも立たなかったすね。
杖も俺も」
道に戻ったダンザとリリーを追って、犬も戻って来た。
「さ、草原を抜ければもう少しで、湖が見えてくる」
「湖っすか?」
リリーが、犬を綱につなぎながら言う。
「湖のそば、こちらから向かって、湖の右側に集落があるの」
「じゃ、もう近いんすね」
「もう近いだな」
俺は、マメダの気配察知能力、
狩りの連携プレーにびっくりしながら、
もう集落が近いと聞き、やっと一息付けると思った。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
いいねやら、感想やら、ブックマークやら、レビューやら、
星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
集落に未だ着かないw
すみません、やっちゃいけない、
話がいつまでも動かないってヤツやっちゃいました。
40話、ワレポン辺りに飛んで、先に進み。
気になるようなら、頭に戻る事をお勧めします。




