~陸幕:国家~
ルーシアには古から言い伝えがあった。女神が誕生した時、6つの螺子がこのルーシアの各地に散らばると。そしてその6つの螺子を揃えた人間は世界の王となり、女神すらも従わせる圧倒的な存在になると。
しかしコレはよほど学を志している者でなければ、知りえない伝記であった。それでもそれを知りえた血筋がある。それがデュオン、ラベルス、そして世にも少ないネイマーロ。この3家は大世界トリスの全権支配を担ったデュオン公国の礎を築いた御三家と名高い。
この6つの螺子は世界の果てに浮かぶ3島、カトロス・マドロス・サウロスのそれぞれにある金庫を開ける螺子になっていると言う。そしてその3つの金庫の中には「創造」「破壊」「再生」の光が収められていると謂われる。だが、誰もその島の存在を発見した者はいない。
コリン・アーミーは様々な情報漏洩と女神アヴェーヌの圧倒的な力を以てしてアルハ高原での再戦で惨めな敗北をみせた。その戦場にかつてコリン将軍たちと同盟を組み、クレーマリン王国の開拓に携わった暴君・ベルセルクにそっくりな男が老婆の魔女と幾千もの魔女や騎士たちを蹂躙してく光景が戦場に居た兵士の脳裏に焼きついたと後の伝記に濃く記されている。
その男、レイジン・ロビエルスはローズマリー・ガルベスと共に5つの螺子を集めルーシア地方にロビエルス帝国を築き上げた。デュオン公国傘下とは雖もレイジンの強さは常軌を逸していた。そしてその国威を最高のものにするが為、幻3島の発見とイデオール・ネイマーロ捕縛を2大国家プロジェクトにまで定めた。
しかし2人の野望は虚しく失敗を重ねるうちにロビエルス帝国が次第に分裂をし始め、ウッソ国王率いる新制デュオン公国の侵攻と圧制を受けて崩壊を迎える事にまでなった――