6.備前統一
「殿!ただいま帰りました!」
「どうだった。」
「見事、左衛門尉を頂いて来ましたぞ!」
「よくやった。これから私は一宮 左衛門尉 義武と名乗ろう。」
「殿、立派です!」
左衛門尉は格別高い官位というわけでは無いが自称~が多いこの時代、正式な官位というだけでも相手への印象はかなり違うのだ。
「よし、北を攻めるぞ!」
「殿、お待ち下さい。ちょっと前に戦をしたばかりではありませんか。もう少し待った方が良いのではないですか?今はちょうど収穫時期ですし…」
「違う、収穫時期だからこそだ。我が軍の強みはなんだ?」
「いつでも戦に動員できること…」
「その通りだ。我が軍は今どれくらいだ。」
「三、四千ほどですが。」
「三千連れて行く、用意せよ。」
「そんなに!?戦をするのは大変だってのに…ブツブツ」
義武が出陣した先は備前の北方。これといった大名はいないが有力国人の吉井家や長井家を中心に国人達が団結して独立を守ってきた土地だ。しかし一宮軍の敵では無かった。
「ふん、簡単だったな。」
国人達が団結してといっても戦はバラバラ装備も練度も一宮軍とは比べものにならない。
「吉井家や長井家の主だった者は切腹させよ。あとは取り込め。」
大きな戦もなく一宮家はここに備前統一を果たしたのだ。