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7周目 答えを見つけた

 俺はまたジェシーを殺した。

 そしていつも通り今回は始まりの村で過ごしている。


「黒服?知らないなそんなの」


 盗賊の村では既に聞き込みを行っていたがみんなやつの居場所を知らなかった。

 となると、と思い始まりの村で聞き込みを行っているが芳しい返事はない。


「何でもいい。黒服について何か知らないか?」

「黒服?知らないわね。それより聞いた?旅人さん」

「何をだ?」

「向かいの息子さんついに結婚するんだって。いいわよねー」


 どうでもいい話をするな。

 次だ次。


「黒服?」

「そうだ。黒服だ。何か知らないか?」

「んー、黒服かぁ。すまないな。分からないな」

「そうか」

「あーでもな。この鎧を買ってくれたら思い出せそうなんだが」


 なるほどな情報料ってわけか。


「ほら」


 記載された金額を払う。


「あ、悪いな。今喉まで出かかったんだがな、そっちの武器も買ってくれたら何か思い出せるかも」

「ほら」

「毎度あり。でよ。黒服だっけ。確か西の洞窟にそんなやつがいるとか、どうとかという話を聞いたことがあるな」

「西の洞窟?」


 ここに来てようやく有益な情報がでてきた。


「あぁ。何でもとんでもなく強いって噂だぜ。懸賞金がかけられてるくらいだ」


 とんでもなく強い………か。

 たしかに盗賊達との話とは一致するところもあるが。


「挑もうってのか?やめといた方がいいぜ。旅人さんでも勝てるかどうかは、なんせあの剣聖ですらまだ尻尾もつかめていないからな」

「いや、行こう。情報提供感謝する」

「話を聞いていたのか?まぁ構わないがこっちこそ毎度ありな。装備してくかい?」

「いや、要らない。情報料だと思ってくれ」


 そう口にして言われた通り西の洞窟とやらに向かうことにした。



 紫色の洞窟があるのは知っていたがここに来るのは初めてだ。

 特に来る必要も感じなかったから。

 だが何日かここで張り込んででも帰ってきたところを殺せれば襲撃イベントは発生しないはずだ。

 後は俺とフィアお互いを治療すれば問題ない。しかし


「………友好度足りるだろうか」


 俺がこの村に来てから一定時間彼女と一緒に過ごす必要がある。

 その時に友好度が足りなければ最後の夜にフィアを誘えずに俺は死ぬ。

 今回も情報収集に時間を使っていたからフィアとは仲を深めていない。


「気にしたって仕方ないか」


 とにかく首を横に振り中に入ることにした。

 とにかく今回で少なくとも盗賊襲撃イベントの発生を回避できるかは最低限調べなくてはならない。


「いないか」


 中には誰もいなかった。

 だが生活しているような感じはあるからここをねぐらにしているのだろう。


「まぁいい。黒服だって暇じゃないんだろう」


 そもそも今日は何日も待つつもりで来たのだ。こんなところで音はあげられない。


「やってやろうじゃないの」


 1人ただ座って待つことにする。



 待てど暮らせど黒服は来なかった。

 ループ終了1日前になって俺は村に戻った。


「こりゃ………死亡確定だな」


 仕方ないが。

 しかし一つ分かったことがある。

 黒服には他の手段で接触しなくてはならないだろう。

 あのまま待って接触出来るとは思えない。


「あの、大丈夫ですか?」

「あぁ。問題ない」


 フィアに声をかけられたらしい。

 仲は深めていないがとりあえず今回も声をかけておいたのだ。


「隣いいですか?」

「もちろん」


 フィアが俺の座るベンチに座ってきた。


「顔色悪いですけど大丈夫ですか?」

「問題ない」

「そんなことないですよね?分かりますよ。いつもはそんな顔してませんし」


 そう言うと俺の肩に頭を載せるフィア。


「貴方とは何だか運命のようなもので結ばれてるようなそんな気がします」

「っ!」

「やっぱりそうなんですか?最近夢に見るんです。貴方が何度も何度も死んでいる夢をです」


 まさか………俺のことを知ってるのか?こいつ。

 でも何で、この世界がループしているのは俺しか知らない。


「また死ぬんですよね?ルートは」

「………明日だ」

「嫌ですよ。そんなの」

「俺が生存すればお前が死ぬ。それじゃだめだ」


 黙り込むフィア。


「次の私はこのことを覚えていますか?」

「どうだろうな。今のフィアみたいなこと初めて言われたから分からない」

「いえ、きっと覚えていますよ」


「………」

「だって私はルートの事が大好きですから。この気持ちは想いはどれだけの時間が経とうと………いえ世界を超えてもきっと忘れません」

「フィア………」


 何故フィアが俺のことを知っているのか分からない。

 でも現実は変わったような感じだ。

 進むべき方向は間違えていない、ということか?

 今までこんな変化は起きなかった。




 夢の中1人考えることにした。

 結局俺は死んだ。

 そして盗賊の襲撃イベントは無くならなかった。


「頭の言葉ではあの後に黒服が何らかのアクションを起こしたと考えられる」


 あの後どうしても金が必要になり焦って盗賊に村を襲撃させた………ということか。

 繋がってきた。


「黒服にどうやって会うか………だが」


 ふとあの時の光景を思い出す。

 黒服の存在を初めて知った時のことだ。


『ジェシー………良い奴だったのにな。どうして………全部あいつの………』

「はっ!!!!!」


 俺は今まで何をしていたんだ。

 答えは目の前にあったんじゃないか。

 多分これなら………黒服と接触出来るはずだ。


 それに………何なんだよ。

 何が全員救ってやるだ。

 俺は大事なもんを………救えてなかったじゃないか。


「………いいさ。分かったよ。全員救ってやる………」


 何が全部試した、だ。

 俺はなにも試していない。

 それも最初にできることを俺は今まで1度も変更してこなかった。

 分かった。


「ここからが俺の反逆だ。運命よ。俺は抗い続けるぞ」


 これで未来が変わるはずなんだ。

 任せたぞ次の俺。






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