自殺は決して実行してはならない
朝、教室に着いた私はいつものように窓を開けようとした。上から信じられないものが降ってくる。まるでスローモーションをみてるような感じで呆然とした。恐らく私がいる3階の教室より上の階の4階から女生徒が降って来た。ドサリ、と音がした。女生徒は地面に叩きつけられて辺り一面に血があった。彼女は自殺したのだ。
これは私の能力の一つで予知。今回は数十分前を視たのだ。なんで自殺なんかするんだ!!怒りがこみ上げてきた。彼女を霊視してみる。
彼女の名前は谷中真理さん。私より年下の高校1年生、前日に親御さんと喧嘩をしたらしい。そんな映像が視えた。このままでいくと彼女はここに縛り付けられる地縛霊になるだろう。もう既に地に縛り付けられようとしている。ここで半永久的に自殺を繰り返す事になるのだ。どうやら衝動的に自殺をしたみたいだけれど、邪霊に取り憑かれているようだ。今の子は安易に自殺をする傾向があると思う。親子関係、友達関係、学校関係、バイト関係等々少しでも嫌な事があれば死んで逃れようとする。どうやら浮遊霊と波動が合ってしまったようだ。その浮遊霊も自殺するつもりはなかったけれど、死にたいと常々思っていて邪霊に取り憑かれ衝動的に死んだようだ。そう彼女と同じだ。結果的に自殺となった訳ですね。死で終わりだと思ったらそうではない。自殺は地獄への始まりなのだ。
この世は修行の場所。だから辛いことが多くて当たり前なのだ。死ぬ前は霊界で取り決めして誕生してくる。生まれるとそのことを、すっかり忘れるからこうして嫌なことがあると自殺するものが後を絶たないのだろう。自殺したものは自分の死を認めることができなくて自殺を繰り返す。何千回何万回と繰り返す。そのうち何かおかしいときが付くころには、地獄界に行くことになるのだ。彼女もこのままでいくとそうなるだろう。浮遊霊と同じように波動が合う者に取り憑いて自殺させるのだ。それを繰り返すのだ。
私は彼女の自殺をやめさせないといけない。同じ高校でも他人のようなものだけど乗りかかった船だ。4階の教室に行き、今にも飛び出して行きそうな彼女に声を掛けた。
『何しているの。』
彼女の腕を掴む。どうやら間に合ったようだ。驚嘆した彼女が振り向くと人はいなかった。私は恩着せがましい事はしたくないのですよ。廊下から彼女の様子を見て大丈夫そうだと思った。ついでに浮遊霊は払った。
時計を見ると7時45分だった。朝早いからあまり人は登校していない。朝練がある部活はまだ来ないし隠蔽するならこれくらで良いかな。私は咄嗟に自分の力を使った。時戻しをする。彼女には自殺したらこうなる映像を見せておいた。決して自殺してはいけないよときつく言っておいた。今回はたまたま私が居合わせたから、出来た事だけど、次回はないからね。これで自殺しないでくれたら良いんだけどね。
私の名前は山田菫。17歳の何処にでもいる普通の女子高生。だと自分では思っている。見えないものが視えたり、予知をしたり、邪霊を払う事もある。これが通常の一つです。