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マスターの秘密聞きました

 今日は休みではありません。

 コアちゃんの修行はどうしたのかと思いますが、コアちゃんは魔力の操作からできていなかったのでそれを教えてあげました。

 それだけで一日が終わってしまったのでその日の修行は終了。

 というわけで、今日は喫茶店で働きます。


 「マスター、店内の清掃は終わりました。」


 「ご苦労様。それにしても、今日は人が多いね。」


 「そうですね。」


 今日はいつもと比べても三倍くらいのお客様が来ている。

 マスターに尋ねてみたのですが、


 「僕もよくわかってないんだよね。こんなことこの喫茶店を開業して初めてのことなんだよね。」


 と、このように、マスター自身も理解していないのです。

 ………お客様の一人に尋ねてみましょうか?

 そう思ったのですが、


 「レーヴァンさん!ここにメモを置いておくから書いてあるものを買ってきてください!」


 マスターからお使いを頼まれました。

 

 大きなバスケットをを持ち、私は買い物に出かけました。

 …買い物の最中に八百屋などの店の人に喫茶店に人が多く来る理由を聞いてみましょう。

 八百屋に行き、喫茶店についてのことを聞くと、


 「あぁ、そのことか。実はこの町一番の料理屋の店主が、その喫茶店で料理を食ってから料理に対して興味がうせたようになってんだよ。」


 肉屋に行くと、


 「喫茶店の料理に負けたとか言ってるんだよ。あの料理屋の店主は。まったく、男はホントよくわからないわぁ。」


 「あの、店主もおと「ああ!?」す、すみません。店主は女性でしたね。」


 最後に魚屋に行くと、


 「料理屋は今、閉めてるみたいでよぉ。昼とかどこで食えばいいんだよって話なんだよなぁ。」


 と、このことから、喫茶店が賑わっている理由は、料理屋、レストランが閉まっているからです。

 はぁ~マスターにこのことを教えてあげましょう。

 喫茶店についた私だったのですが、


 「な、なんですか?これは?」


 喫茶店の入口の横には山のように積み上げられた厳つい男たちがいました。

 店内に入った私はマスターにそのことを尋ねると、


 「そのことですか。つい先ほどのことなのですが、」


 マスターは語り始めた。

 






 一時間前





 「今日は本当に忙しいなぁ。」


 僕は急いで料理を作り上げ、お客様に運んでいく。

 そんな時、


 「ここがきっさてん?とかいうやつか。」


 「いらっしゃいませ!何名様でしょうか?」


 店内に入ってきたのは身長約二メートル、顔は厳つく、傭兵という職業の人たちであることが分かった。


 「何名ねぇ。俺たちが来たのは料理屋の店主について聞きたいからここに来ただけだ。」


 「レストランの店主ですか?僕はどのような方のか、知らないのですが…」


 「嘘をつくな。俺たちはあの店主が喫茶店の店主に負けたと聞いてきたんだよ。何に負けたかは知らねぇが店主の仇を取に来たんだよ。」


 傭兵たちが武器を手に取った瞬間、僕は、


 「店内での戦闘は禁止事項です。もちろん、剣を抜く、または武器を構えるなんていう行為もダメです。ということなので、店から出て行ってもらいましょうか。」


 僕は手始めに傭兵たちのリーダーと思われる男の腕をつかみ、剣を取り上げ、鳩尾を殴り、外に放り出す。

 この作業を二十回ほど行いました。

 なんということでしょう。

 店の外に人の山ができてしまったではありませんか。


 「さぁ仕事に戻りましょう。」


 









 「………マスター、あなたはいったい何者ですか?」


 「喫茶店のマスターだよ。ほら、手に持っているバスケットを渡してくれないかな?お客様たちが怖い目で見てくるんですけど!」


 「はぁ~分かりました。話はあとで聞かせてもらいますが、今は仕事をしましょう。」


 「その通り。だから、頼むから注文の品を持って行ってくれませんか!」


 「はっ!?今すぐ持っていきます!」


 私とマスターはとめどなく来るお客様をさばいていき、


 「はあああああああああああ!やっと終わった!」


 「そ、そうですね。ふううううううう」


 閉店時間になった。

 閉店時間ぎりぎりまで店内にいた人もいたが、何とか帰ってくれました。


 「さて、じゃあ僕たちは後片付けをしましょう。」


 「そうですね。」


 ………そういえば、何かを忘れているような?


 「ん?どうかしましたか?」


 「いえ、何か肝心なことを忘れている気がして、こう、なんといいますか、もどかしい感じがします。」


 本当に何を忘れてしまったのでしょうか?

 

 私は後片付けをするため、厨房に入ると、


 「やばいやばいやばい、どうしよう…」


 「…マスター?」


 「レ、レーヴァンさん!?」


 「どうかされましたか?」


 私がそう尋ねると、マスター慌てた様子で、


 「な、なんでもないよ!そ、それより、早く片づけをしないと!あはははは!」


 「………思い出しました。マスターに聞きたいことがありましたね。確か内容は、マスターが何者かについてでしたね。」


 「うっ………言わなきゃダメですか?」


 「もちろんです。私、嘘つきは好きではありません。」


 「はぁ~わかりました。話をする前に片付けを先にしましょう。」


 「片付けの後に必ず、教えていただきますよ。」


 私とマスターは片付けを始め、一時間くらいで終わった。

 ということで、


 「マスター、話を聞かせてもらいますよ。」


 マスターを椅子に縛り上げ、動けないようにしています。

 これで逃げられる心配はありません。


 「こ、こんなことしなくても逃げないし、話すよ。だから、この鎖を解いてくれませんか?」


 「ダメです。マスターほどの実力者であれば、鎖を解いた瞬間、扉に向かって走り出したと見せかけて、窓から逃げ出す。なんていうことをする恐れがありますから。」


 「さ、さすがにそこまでしないけど…」


 マスターが引いています。

 ふむ、一般的な人はこのようなことをしないのでしょう。

 私、学びました!


 「では、質問に答えていただきますよ。マスター。」


 「どうぞ。」


 「まず、マスターはどうしてそんなに強いのですか?」


 「鍛えたからですよ。鍛えなければ、ここまでの力を手にすることはできませんからね。」


 「その通りです。鍛えなければ強さを手に入れることはできません。努力なくして、力なしですね。」


 「何その言葉?」


 「私が今作りました。次の質問です。マスターは昔、どこかの組織に所属していましたか?」


 この質問にはマスターも顔をしかめましたが、


 「所属は~~~してたね。」


 「何処の組織ですか?」


 「聞いたら後戻りできないよ。」


 「後戻り?マスターは犯罪組織に所属していたのですか?」


 「違うけど、似たようなものだね。………今から言うことは他言無用だよ。」


 「はい。」


 「僕はね。帝国の皇帝陛下直属の暗殺組織に所属していたんだ。」


 「………想像はつきますが、どのようなことをしていたのか教えてもらえますか?」


 「この組織は、皇帝陛下が邪魔だと思った人たちを暗殺するといういたって単純なことをしていたんだ。ただし、暗殺するのはターゲット本人だけではなく、家族がいれば、その家族も殺す。こういう仕事を引き受けていたんだよ。まぁ暗殺する相手は国家転覆を狙った貴族たちだったけど、その子供まで殺していたからなぁ。」


 「では、最後に聞きますが、マスター、いえ、クレドウさん、あなたはなぜ暗殺業から手を引いたのですか?」


 「………そうだね。教えてもいいけど、気分が悪くなるよ。」


 「かまいません。」


 「あれは、五年位前だったかな?ある貴族の当主だけを暗殺するという珍しい仕事が入ったんだ。貴族の当主は無事に暗殺できた。だけど、そのあとが問題なんだ。その貴族の娘に現場を見られてしまったんだよ。そして、こういわれたんだ。」


 『絶対に殺してやる!お前ら全員殺してやる!』


 「僕は怖くなって…殺したんだ。その子を………それからというもの、暗殺というものに恐怖を覚えてしまって、結局、仕事を辞めたんだ。これが僕の昔話だよ。感想は?」


 私はクレドウさんのもとに近づくと、


 「え?」


 「ごめんなさい………このようなつらいことを聞いてしまって…本当にごめんなさい!」


 抱き付いて、泣いてしまった。

 無神経にもこのような過去の傷まで抉るようなことを聞いてしまった自分に腹が立った。

 なによりも、このような過去を一人で抱え込んでいたクレドウさんに同情してしまった。


 「き、気にしていませんから!だから、泣き止んでください。」


 「ほ、本当に…き、気にしていませんか?」


 「はい。安心してください。」


 「う、うぅぅぅぅぅぅ…」


 私は許してもらえたことに安心してしまい。

 そのまま寝てしまった。


 ………起きたらまた謝ろう。
















 「はぁ~寝ちゃったかぁ。」


 僕は鎖を自力で解き、レーヴァンさんを部屋まで運ぶ。


 「さすがに女性の着替えまで手を付けるのはおかしいからやめておこう。」


 レーヴァンさんをベッドに寝かせて、僕は部屋を後にする。


 「レーヴァンさんって優しいなぁ本当に。」







 「僕の事情に巻き込まれないようにしないとね。レーヴァンさん、あなたは僕が必ず守りますよ。」


 そう思わされた僕だった。






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