時の階~立ち尽くす者~主婦ひととき、番外編二 協同生活1日目
協同生活一日目
夫候補の
砂刃琉(さはる、通り名、とうる)
軽凪波(かなぎは、通り名、さなみ)
一勇(ひとたけ、通り名、ゆう)
夫を選ぶための手合わせから、
10日が過ぎ、私は夫候補との四人での修行は終わり、
私)は自分のタマシイ半身だと
確信した一勇(ひとたけ、(ゆう)
との修行に入っていた、
日をおうごとに息も合ってきて、
まるで二人は舞踊を踊るがごとく
流れるように剣をあわせている
始める時は誰も居なかったのに、
終わる頃には、周りに人垣が出来ていた
一緒に修行していた、とうるとさなみは
お婆様の推薦する、十人の乙女から妻を見出だした、
どちらの乙女も、私と違い巫女の素養あり幼い頃から、
巫女の家で見習いからはじめて、
巫女をしている私の同じ歳の従姉妹達だ。
私) 心の声((あー、今日も一日良く修行に励んだな))
それにしても昼間の内に使用人によって新たに内装を調えられた、新居に引っ越しされていたようで、
今日の終わりにゆう、と組み手をしていた道場に、
祖母が迎えに来た
祖母)「 屋移りが終わり、部屋も調いましたよ、食事の前に
湯殿で汚れを流しておいで」
私) 「はい、お婆様、にしても何故お婆様が、自らお知らせ下さったのですか?」
祖母) 「今日は特別な御膳を用意させましたゆえ楽しみで待ちきれぬのじゃ、」
私) 「では、何時ものように皆でお風呂に行きますね」
祖母) 「いや、今日はゆう、(一勇と共に行って教えてやるが良い」
私) 「解りましたお婆様、では」
一勇) ((えっ、何が解った?、何を教えてやれと?)) 「いやいやどうしろと?」((ではって、何?)) ((え~え~))
私) 「どうしたのだ、 ゆうさあ行こう、」私は放心する
(ひとたけ)の手を引いて湯殿に向かった、
そして二人とも今日はゆうが放心しているため、
使用人に防具をはずすのを手伝ってもらい、
脱衣場で一糸纏わぬ姿になった、
そこでようやく(ひとたけ)がどうにか、戻って来たようだ
ひとたけ)((だーー、なっ何、何、何、))
「どうなった?何、何、」
私)んっ、んっ、うなずく私にますます、
焦ったような (ひとたけ)に
私)「落ち着いて、ねっねっ、」
肩に手を置き、とりあえず落ち着かせようと、話しかける、
私)「何時もはお祖父様やお婆様に、
孤児になってしまった
一族の子供達と一緒なんだよ、
皆で輪になって前の人の背中を流したり
頭を洗ったり自分の手足や腹側を洗ったり、
最後にお湯に入って
温まってから上がるんだ!、」
私)「ひとたけ、落ち着いた?、
とりあえず、座って、」
私はひとたけの後ろに立ち
背中を流しながら話しかける、
「ひとたけは、家族が多いから
詳しくしらないかもしれない、」
「二親ともキャラバンに出て
帰って来なかった子供達の世話は、
お祖父様とお婆様で手厚くされている、」
「お祖父様が以前仰っていたけど、」
お祖父様)「どこの町にも他所から悪い人が回ってきて孤児になった子供を騙して拐っていく輩がいるのだそうだ、よそ者に拐われてひどい目に合わないように」と、
私)「お祖父様もお婆様も、
とても気をつけて見守り育て上げ、
その子に合った仕事に付ける様にいろんな事を教えながら、時をすごしている」
「お祖父様は皆な兄弟のように過ごすのだよって
仰ったのよ」
私)「少しでもお手伝いが出来たら良いなと、私は小さな子供達と舞踊の稽古と体力作り、」
「上と中の兄さまは読み書きと算術を、」
「下の兄さまは武術の形の基本を、
あとは皆で畑に出て作業したりと」
私)「兄さま達と一緒に子供達のお世話をして居たの、今は上の兄さまはキャラバンに出るようになって中々ご一緒出来ないけど、あとは皆でお風呂に入って
流しっこして、夜は雑魚寝して、」
紅昂の心の声((でも今日から、二人だ、あっ、耳の裏もしっかり洗らって上げよう))
私)「ひとたけ、前は洗い終わったか?
では今度は私の番ね、」
ひとたけ)((えー、何て、何て、今、
何て言った、体洗ってくれと?何、))
私)「どうした?何で、した向くの?
つるぺただから、ひとたけの妹と変わらないでしょ。」
ひとたけ)「いやいや、妹の見たことないし」
私)「も~、打ち身とかあったら、
薬つけないとだし」
ひとたけ)「は~、分かったよ、ほら、
ここ、ここにこい」
私)「うん、おねがいします、」
((なんか、ひとたけのがうつったみたい、急にどきどきしてきたよ~))
ひとたけ)((んっ、これは、稽古の時の、やはり当たっていたのか、三ヶ所も痣になっている…
痛いだろうに、肩と背中と脇腹に、
腕を上げて頭を洗うのは結構いたそうだ))
「そうだ、頭も洗ってやるからな」
私)「うわ~ありがとう、お願いします」
ひとたけ) 「わっ、分かった」
湯船で一息付いたとき、
私はお婆様に言われたことを思いだし、
(ひとたけ)につたえようと
目を会わせるために正面に向き直り
私)「ひとたけ、屋移りが終わり
正式に婚姻の契りがすむまで、
私は、今よりどんな怪我をしたとしても、
キチンとした医者でない限り
肌をさらすことは、許されない」
「これは、
これから起こるかもしれない、
様々な承諾しがたい事柄の、
(ひとたけ)にとっての
私と長の家からの
操の証と思って欲しい、
どうかこれからも私の事を
宜しくお願い、いたします」と
勢い良く頭を下げた、
お湯に浸かって居ることも忘れて、
私)(ブク、ブク、ブク)
ひとたけ)「んっ、紅昂、こうこう、溺れてしまうぞ、
顔を出せっ」
私は、 (ひとたけ)に肩をつかまれ
お湯の上に持ち上げられた、((バカだ、
焦って居たとはいえ、
場所も考えられなくなっていた))
恥ずかしさに、固まっている内に、
ひとたけは私を小脇に抱えて
湯から出た、固まったままの
私の体に布を掛けくるんで、
頭を拭いて乾かしてくれていた、
ひとたけ) 「紅昂、解ったから
無茶はするな此れから
俺はお前だけを守り、
お前だけの為にあり続けよう、
それから、紅昂
二人の時は (こう)と呼ぶから
お前も俺を (たけ)と呼べ」
私)「んっ解った… たけ 」
緊張が溶けかかった私は
思わずへたりこんでしまった、
こうして、どうにか、
風呂から上がり着替えも済ませて、
特別に作られたと言う
膳が列べられた部屋につれていかれた、
私)「これは、」
家族が皆集まって、とうるやさなみや従姉妹達もいた、
お婆様)お婆様がそっと私に耳打ちしてくれた
「此れから長の家の者として困難な事や、
大変な事があると思うから、
せめてものささやかな御祝いだよ、」
皆からの温かい言葉が、とても嬉しく
同時に責任の重さに、気持ちが引き締まって、皆の役に立てるよう修行に精進しようと思った
ゆう、私)「ありがとう皆様(二人で皆に何度もお礼を言った)」
祝いの宴も終わり
やっとの思いで新居にたどり着いた、
私)「たけ、疲れたね、もう寝ようか」
たけ)「いやその前に、膏薬を貰って来たから塗らないと、
明日が大変だぞ」
私)「えー、もう 眠いよ~」
たけ)「良いから、上の着物を脱げ」
私)「眠いのに~」
私は、上の着物を脱ぎ (たけ)に
背かを向けて座った、
たけ)「やはり熱を持っているな、
少し染みるが我慢しろ、なっ」
私)「うん、解った、んっ… 痛~い」
染みるし、(余りの痛さにおもわず声に出してしまった)
その後 (たけ)に着物を着させてもらい、
それぞれ、自分の部屋を確認して、寝ることにした、
私)「おやすみ、たけ」
たけ)「おやすみ、こう」
眠りに落ちると共に、辺りが濃い霧に包まれた
ク~ン、ク~ン、
あぁ~私を呼ぶ声が聴こえる