時の階~立ち尽くす者~主婦のひととき、第二話~東屋に踞る女
物語の根元の始まりの話し長くなりますが、お付き合い下さい
私は今日もまた 何故か 霧の中をさ迷っていた
以前は極たまに断片的に
フラッシュバックのような感じで
目の前に映像が映るだけだったのにこのごろは
霧の中に引き込まれて山のなかをさ迷い
そのまま少し進むと霧が晴れてきて
階が見えてきた
暫く階を進むと東屋に女が踞っていた、
私は女に声をかけた(大丈夫ですか)
まるで聞こえていないようで反応が無い
もう一度話しかけながら肩に手を添えようとした、
その手が女をすり抜け頭がぶつかる瞬間
私は女の中に吸い込まれるように重なった
意識だけが 女の体の中に閉じ込められて
私は体の自由が利かない
眼で観ているだけで焦たっし
恐怖を感じて叫んだ
((どうしてこんなことに))と思いながら
「出して 誰か助けて」と何度も
声の限り何度も叫んだ
そして 疲れて声も枯れかけた頃
女の心が私に語りかけてくる
(貴女は私、私は貴女、思い出して、お願い……)
頭の中を何かがグルグル廻る
そして私の眼だけが
女とリンクした
考える事も自分で動く事も出来ない
女の記憶だけを観ている存在に
そうだ
確かに私はこの女だった事がある
始まりは、大陸・・・私たちの住む町はキャラバンで栄えてた、
町は東西、南北に進むキャラバンの中継地点になっていて、補給地点にもなっていた、
一族は祖父(先見の巫女の恋人武官の生まれ変わり)の出た家と、
祖母(先見の巫女の生まれ変わり)が出た家と、
それに連なる十五家族と使用人で構成されている、
後は流れてきて其のままいついた者達だ、
私の父は一族の長で、
これは、祖母の出た家の秘密とされているが、巫女の家は
先見巫女を祖としてる
母は、祖母の姪で先見の巫女の血を受け継ぐ者だった、
その昔先見の巫女はあらゆる事の先を見通す力があり、
その力を利用しようとした時の権力者に、協力を強いられた
先見の巫女は武官をしていた恋人に助け出され、
どうにかにか逃げて、隠れた、
しかし放たれた追っ手は執拗に追いかけて迫ってきた、
先見の巫女は恋人を救うため、死を覚悟し、
自分の霊と力を三つに分けて、
恋人に(必ず生まれ変わり再び戻る、どうか貴方は逃げて…
生き延びて…)と告げて力を使い果たした先見の巫女は…
眠る様に亡くなった、
タマシイとなった先見の巫女は、
恋人が寿命を終えるのを幾年も待ち、
共に生まれ変わり
そして又タマシイが引かれ逢う様に出逢い、
(武官の生まれ変わり)の祖父は、
若い頃から旅のキャラバンの護衛をしながら情報を集めて、
(先見の巫女の生まれ変わり)の巫女をしていた祖母に教え、
巫女はその情報と占いをを日々の糧とした、
村の外れにあった巫女の家は
情報と占いが当たると評判になって、
やがて村の中心になり、やがて町となった…
祖父は自分でもキャラバン隊を率いて商売をするようになり、
巫女は男の子を産んだそれが一族の始まり 元となったのだ、
人数が増えると祖父は、自分の身を自分で護れる様にと
一族の者に武術を教えた、
男も女も武術と共に自分の特技を生かして、
情報収集に役立てるため、
商人や、踊り子や、楽団や、キャラバンの用心棒になって、
町を行き来するキャラバンと共に旅をした・・・・・。
あぁ~… また目の前が霧に包まれる…
何かが私を呼んでいる…
ク~ン、ク~ン、ク~ン
かわいいちゃん) お母さん、お母さんてば、お母さんドンッ
(うっ、ごほっ) わき腹に痛みを覚える どうやら又白昼夢を見ていたようだ、(ごめんねかわいいちゃん、今ご飯あげるからね)
それにしても、すっかりらんぼうちゃんになってしまったね…かわいいちゃん…… 家に来たばかりの時は歩くのにもヨタヨタして
走れなかったのにねぇ、今はすっかり丈夫になって……
お母さん嬉しくて、泣いちゃいうよ
「かわいいちゃん、がんばれ」 の歌歌ってあげるからご飯食べてねぇ
(♪かわいいちゃん♪がんばれ♪がんばれ、がんばれ♪かわいいちゃん♪がんばれ♪がんばれ、がんばれ♪クッション♪けりけり♪クッション♪けりけり♪がんばれ♪がんばれ)
(♪ご飯♪カリカリ♪ご飯♪カリカリ♪がんばれ♪がんばれ♪カリカリ♪ご飯美味しいねぇ)
いっぱい食べたねよかったね~、
こんな感じで毎日ご飯タイム
家に来たばかりの時に食も細くて、体が弱く、
甘やかして育ててしまったので、遊びながらじゃないと食べない子(犬)になってしまった。
三話目に続く
人物紹介が出来てなかったので、番外編その一と言うことで書かせていただきます。