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祖父との記憶

そんなことを考えていたから

雨が降りだしていたのに気づかなかった。

買ったばかりのカメラを濡らしてしまわぬように

鞄にいれ急いで傘をさした。

いきなり降りだした雨に打たれ桜が散り始める。

私は急ぎ足で森の獣道を降りていく。

広げた傘に散ってしまった桜がへばりつく。

たまたま傘がビニールだったのでその桜たちを

私は目で見ることができた。

ばしゃばしゃと走るたびに泥がはね

私のベージュ色のジーンズに飛んで

元からそう言う柄っぽくなる。

散る桜の上を踏みつぶしながら

私は次にどこへ行くか考えた。

だが何も思いつかないのだ。

仕方ないから、どこかの場所で

雨が止むまでまとうか。

そして雨がやんですっきりとした青空に

なって太陽が出たらまたどこかへ行こう。

私は走り続ける。

そのたびに鞄につけた鈴がりんりんと

鳴り響く。

ここの森は熊がでるからといって

昔に祖父からもらったお守りである。

もらった頃からずっとつけているから

今にもひもがちぎれそうでそして

黒く色が上げてきている。

元は綺麗な銀色でキラキラしていたんだが

今だ音だけは現役だった。

少し横の小さな自然溝は雨水で土が削られ

徐々に幅が広がっている。

何を思っていたのかわからないが、

私は一度立ち止まり後ろをみた。


さっきまで、綺麗な森が恐ろしいように見えた。


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