さんっ!――「俺モテ男化作戦。」
照りつけるような朝日が一瞬にして俺の部屋に充満する。
頭がガンガンする。眩しい。
「眩しいよ……」
「カーテンを締めてくれないか言美。もうちょっと寝させてくれ。」
俺は少しこめかみにのあたりに怒筋が浮かびあがる。
流石に休日にの朝六時に起こされると世の中の健全な男子高生ならみな怒るだろう。俺だって同じだ。いくらシスコ……。妹を大切にしているからって睡眠を邪魔されるのはね。
「だーめ! 今日は約束したでしょ! お兄ちゃんをモテ男にする作戦の日だよ!」
こいつは勉強はできるが賢くはないようだ。昨日約束したばかりだろう。
『午後からモテ男作戦な。』と。
しかも昨日は五回も言ったはずだ。
ついでに言ってくとモテ男作戦とは俺の『モテたい!!』という声を聞き入れてくれ、恵と妹がやってくれている活動だ。高一の夏休みからスタートしてモテ男要素も揃ってきたというのになぜかモテない。しかし、ここで諦めるのは勿体無いきがするし、妹が俺以外の生物と協力をすることなんて例外なくないのからだ。勿論俺が翻訳はするが。
「俺は午後から行くって昨日五回も言ったんだけど?!」
「まさか。覚えてないなんてことないよね?」
俺は顔のいたるところに濃い怒筋を浮かべながら声を振り絞る。
昨日、いつまでもやらず溜めていた課題をやれと担任に激怒された。
うちの学校では学校から至急される問題集があり一ページには文字と文字の間に隙間がほぼないといってもいい程の文字が敷き詰められている。その問題集を一冊やったのだ。勿論、朝までかかり遂に任務を終了し二時間前に床に入ったというのにもう起こされたのだ。
「うーん…… 覚えてない!」
「それをよりおはようのキ、キスはないの?」
こいつは何を勘違いしているんだ。
実の兄にこんなことをいうことができるなら普通に他の奴らとはなぜ会話ができないのかと毎回疑ってしまう。
「アホか! 兄妹でそれは冗談がキツイぜ。」
「とりあえず俺は二度寝するからな。おやすみ。」
もう一度布団に潜り込んだ。布団でまぶたを閉じた瞬間……言美が衝撃の一言を言ってきた。
「もう恵さん呼んじゃったよ。もう家に来るって。」
睡眠の神はことごとく俺の味方をしてくれないようだ。
俺は睡眠をこよなく愛しているというのに睡眠の神への愛は一方通行というのか。
……それよりいま衝撃的な発言を聞いてしまった。恵を呼んだ?そんな馬鹿な。言美が会話をできるはずがない。ましてや自分から恵を呼び出しただなんて、どういう風の吹き回しだ。
「それよりお前いきなり成長しやがったな。恵を自分から誘ったのか凄いじゃないか。」
「ううん。違うよ。お母さんの呼んでもらったの。」
ん?自分の友達を親に呼んでもらう子も子だがそれに応じて子の友達を呼び出す親も親だろ。
いくら恵が幼馴染で事情をしっているからってそりゃないぜ、マミー。
うちの女性陣はどうかしているようだな。
「おかしいだろ!」
そんなくだらない会話をしているうちにチャイムの音が聞こえてきた。朝六時に呼び出されて本当に恵は来た。
申し訳ない気持ちと行動が一体化し、早足に歩き勢い良く玄関のドアを開ける。
「恵ごめん。言美がこんな時間に呼び出したみたいで。」
だが恵は男とは思えない天使のような笑顔で。
「全然大丈夫。」
「それより将直は昨日夜更かしをしていたね? しかも、課題関係とみたっ!」
恵はまたしても天使のような……いや天使の笑顔でこちらを見つめてくる。俺にはホモの素質も少しはあるのかもしれない。
「説明しよう! なぜ将直が夜更かしと課題をやっていたのかを……」
「聞かんぞ。」
言っておくが恵は小説が大好きだ。ライトノベルから純文学まで幅広く読んでいるのだが、どうやらそれの影響か推理ごっこを始めると物語仕立てにするので長くなるのだ。
「へ…… 聞いてよぉ!」
「ごめん。ちょっと支度を整えなきゃな。恵とのデートだもんな!」
言美がめっちゃ見てくる。それも魚が死んだ時の目のようなあのどす黒い目で。俺はなるべく目を合わせないように下を向きながら洗面所に向い、買い物に行く準備をした。
「おーい。」
おれは二人がまっているリビングに向かった。
言美と恵の二人は以前しゃべらない。母が朝飯を作り、恵は朝飯を食べていなかったようなので言美と母と一緒に朝飯を食っている。
しばらく待ってから俺は遠慮気味に聞く。
「食い終わったか?」
「うんっ!」
「う、うん。」
恵と言美がほぼ同時に返事をした。同じ返事でもイントネーションによってこんなに感じ方は変わるのかと驚愕した。今日一番の発見になるかもしれないレベルにね。
「じゃあ、買い物に行きますか。」
これからが「俺モテ男化作戦!」の一本番だ。