5話 エルフ?
「しばらくの目標は安定した生活と人里探しかな…あと情報。」
何をもってしても情報は大事だ。
私は主に定期テストによって情報の大切さを痛感させられたのはいい思い出だ。
赤点と引き換えにだったが……(泣)。
「それに今日の寝床を得るために洞の部屋も掃除しないと。」
樹からもらった実を食べ終わると洞の部屋に向かう。
へやに入ると掃除道具がないか探す。
本当はすぐに部屋を調べて情報を得たいけど今は掃除の方が先だ。
「あ、あった、あった。」
探し始めると比較的早くに掃除ロッカーっぽいやつは見つかった。
バケツと雑巾を持って外に向かう。
「あ、そういえば水どこだろ….水道なんてあるわけないし..」
この世界の技術レベルは知らないが場合によっては人里に下りてもとんでもない生活かもしれない….
「やばい…私この世界でやっていけるかな….」
「いけない、今近こと考えても仕方がないし、掃除、掃除!」
頭を振って考えを振りはらう。
水は思っていたより近くにあった。
樹から15メートルほど離れたところに澄んだきれいな小川が流れていた。
この小川だけ少し周りの地面よりへこんでいたのでとうやら見えにくかったみたいだ。
「むかしここに人が住んでいたのなら近くにあって当然かな。見つかってよかった。」
近くに来てみるとよくわかるが川底が見えるほど住んでおり小魚も見かけることができた。
「すごい….。こんなきれいな川見たことない…。」
水の音を聞くとなんだか急に喉が渇いてきた。
「そういえば、生まれてこのかた一度も水飲んでないや。」
「あと、どんな顔に生まれたかも見ておこうっと。」
「あんまり、高望みはしないけどやっぱり美人さんがいいなー。」
前世では、ゲームなら女子中学生Dぐらいのごく普通の容姿だったので、転生したからにはやっぱり期待したくもなる。
これからの一生を付き合っていく顔であるだけに自然に川を覗き込むのが慎重になっていく。
ゆっくりと…それでいて少しづつ覗いていく。
川の水面に写ったその姿は、水の流れで多少ぼやけていたものの
そこには、
「きれい…」
金髪緑眼の美少女が写っていた。
水面に写った少女はピンと横にとがった長い耳を持っている。
私か瞬きすると、写っている少女も同じように瞬きを返す。
この写っている姿が自分自身だというまぎれもない証拠だった。
「耳が…長い…」
ためしに耳を触ってみる。
当然ながら手がすり抜けるわけでもなくしっかりとしたつかみ具合と触っている感覚が伝わってきた。
「本当に…ある。」
まさか...
「エルフ?」
これは、あのファンタジーで代名詞のエルフなのではないだろうか。
あぁ...どうやら私の新しい生は、人間じゃないものに生まれ変わったみたいです。
私が水を飲もうとしていたことなどすっかり忘れてしまっていた。
やったーーーーーーー!やっとエルフ的なのを出すことができました。長かった...
これからもがんばってまいります!
※4話でお伝えしたのと同様で不定期は変わりません。