3話 洞
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チチチチチチチとなく小鳥の鳴き声で目が覚めた。
もそりと実の中から顔を出す。
もしそこでこの光景を見た人がいたのならさぞかし笑ったのだろう。
しかしここは森の中。
周りには人工物どころか人っ子ひとりいないのである。
「やっぱり、転生したのかー……..」
実から両手をだし、顔にかかった髪の毛をどける。
よけた髪の毛はまさに10年以上切っていないかのように長く、もしたてば余裕で地面についておつりがくるだろう。
そしてその髪は輝くような金髪をしていた。
空を見上げるとはるか遠くにドラゴンが勇ましく飛んでいるのが見えた。
「それも異世界か….どうしよう…いや、今はそれより服だ…」
転生して視力が上がったようである。
野生児とはこういうことをいうのだろうか。
前世と違いメガネがいらないのは新鮮だ。
もし必要でもメガネなんてあるはずもないのだが。
実から両腕を半分ぐらい出して巨大な樹の幹を伝って移動してみる。
この方法だとこの樹の幹の周りしか移動できないし、実は巨大な樹につながっているのでさらに行動範囲は狭くなる。
それに手だけだして芋虫のよううに動いているのですごく手が疲れる。
もうほとんどぼろぼろにも等しいが文明人としての誇りが実からでるという選択肢を消去してくれた。
今のところだが…..
何メートルか幹にそって移動するとつたで隠れて少し見にくかったが洞を見つけることができた。
「つ、疲れた。負けるな!私の文明人のプライド!」
何かあるかと淡い期待を抱いて蔦を少しづつはぐっていくと中にはなんと古びた机といくつかの箪笥と棚があったのである。
「や、やったーーーーーーーーーーーーーーー」
うれしさのあまり思わず叫んで実から飛び出し洞の中に入り込んだ。
洞の中はかなり広く、机の上にはたっぷりの埃がたまっていた。
もう数十年、下手すれば数百年は使われてなかってのだろう。
こんなところに住んでいてくれた先の住人に心から感謝した。
私は意気揚々とクローゼットを開ける。
中にはいくつかの種類の服が入っていた。
私は無難に白のワンピースを選んだ。
ついでに一緒にクローゼットの中にはいっていたひもで床に擦れるほどの長い髪をまとめて腰くらいの長さにした。
「はぁ….やった…やっと服をきれた。」
私はついにたぶん文明人に返り咲いたのである。
もしゲームだったのならファンファーレの効果音がついたに違いない。
しかし勢いで勝手に着てしまったが服をもらっていっていいのだろうか。
この放置されていた部屋の状況からして(埃の積り具合とか)最低でも数十年人がいなかったと思う。
少し心が痛むがこの樹の洞の部屋を使わせていただくことにする。
背に腹は代えられない。
手をあわせて「ごめんなさい」と謝っておく。
そうと決まればまずここを人の住める環境にしなくてはいけない。
だが、ここでおなかの自己主張がなり、朝から何も食べていなかったことを思い出した。
すみません。朝起きてから洞を見つけるまでの状況画写するのが難しく、読みにくくなってしまいました。もっとわかりやすい表現が見つかったら訂正していきます。