1話 転生
暗い
周りは見渡す限りの黒、黒、黒
それ以外に何も見ることができない。
ただわかるのは私がなにかの液体に浮かんでいるということ…
苦しくもなく、寒くもなく、そしてどこかあったかい気がするような
そんな不思議な感覚だった。
自分の手足の間隔はわかる。
何気に手を伸ばそうとしても、手は全く動かなかった。
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いったいどれくらいたったのだろうか。
あれから私は、意識がなくなったり、戻ったりを繰り返した。
何回繰り替えしたのかももうわからない。
そして目覚めるたびに自分の手足が少しづつ動かせられるようになってきた。
しばらくたつと何か丸い物の中にいることもわかった。
またしばらく時がたった。もうだいぶ窮屈になってきた。
手足もだいたい動かせられるので私を包んでいる丸い物体を壊してみようとも思ったが手が壁につくとまだ出てはいけないといわれているような気がして外に出れなかった…解せぬ
もういいかげん意識もはっきりしてきた。
正直言ってこれ以上この中にこもるのは狭すぎる。
こんな強制引きこもりはそろそろ脱却したい。
そんな気持ちでまた手を伸ばす。
手が壁に触れるとおいで、おいでと言っている気がしてこれまでより少し力を入れておしてみた。
すると、いとも簡単にかべが破け、中から私と一緒に中にはいっていた水のようなものが外に出た。
私が長いこと待った外の景色。
一面黒一色の世界から色がある世界への期待。
そんな私は新たな人生への一歩を踏み出し………
吐いた
吐いてしまった….
こうして私の新しい人生の第一歩は盛大な嘔吐によって始まったのである。
誤字などありましたら教えていただけると幸いです。