何と愚かなことなのでしょう
戦争は嫌い 壊すものだから嫌い
生み出しもするけれど嫌い
歴史ある建物や文献は炎で焼かれる
古きものが、壊される
あたしの好きなものが壊される
あたしのいとしき世界は戦禍にのまれ
その姿を消していく
残るは、消し炭
元の美しい姿は跡形もなく
愛しき彼も、あたしを愛してくれた家族も
戦禍にのまれその姿を消してゆく
この世界のどこをさまよっても
彼らの姿を見つけることは永久にかなわない
戦争は、疲弊していくことを知りながら
ほんの小さな目先の富のために
本当に価値ある未来の可能性を
食らいつくす獣
時の流れは残酷で
あの苦しみやかなしみのすらも流しさってしまう
忘れてはいけないことを忘れ
あたしたちは、また罪の物語を繰り返す
あぁ、何と愚かなことなのでしょう
いつまでたっても学習しない
抗うことすらできず
ただ時の流れに流されて
力ある者の意志に流されて
己の意志を飲み込まれる
戦争のときは人々は平穏な生活を望み、平和の時は人は争いを望む
目の前の幸福にも気が付かず、争いを望むことがどんなに愚かなことなのでしょう
この世界に生まれたことの奇跡
誰かとつながれる奇跡
地をかける足のある奇跡
言葉を発せられる奇跡
たくさんの奇跡が集まって、今のあたしは存在している
当たり前の幸せに
日常の幸せに
たくさんの選択肢を与えられている幸せに
どうか気がついてほしいと祈る
その祈りを聞き届けるのは神か魔王か、それとも人か
祈るだけでは何も変わらないことを知りながら
何かにすがり祈るあたしもまた愚か者なのでしょうね
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