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ルール1、ジョブファイトを勝利するためには3つの条件の内どれかを達成しなければならない。
1、相手を戦闘不能もしくはギブアップさせる。
2、技もしくは魔法魔術を使い相手のジョブボールを全て使えなくする。
3、両プレイヤーに一つずつ与えられている拠点にある旗を相手の拠点から自分の拠点まで持っていく。
ルール2、十分毎にジョブチェンジし別のジョブにならなければならない。ただしジョブを一つしか持っていない場合はこれを無視してよい。
ルール3、特殊な技、魔法魔術には称号による特殊なアビリティも含む。
ルール4、相手への攻撃の攻撃力は、選んだジョブの対応科目の点数とする。
ルール5、ライフは最高5千とし、初期値は1千とする。
ルール6、ライフは拠点でのみ回復、増幅する事が可能。ただし拠点に入ると相手に拠点の場所がわかってしまうものとする。
ルール7、相手の位置は常に支給されるフィールド地図に表示される。
ルール8、ジョブボールのライフは対応科目の点数とする。
ルール9、攻撃をガードする事でダメージを半分にできる。
ルール10、相性によりダメージは倍もしくは半分になる。
基本はこんなだったはずだ。だからサーシャの狙いはおそらく
「「マナマスターの魔法によるジョブボールへの直接攻撃!」」
僕とユーキはたがいに答えだと思うものにたどり着いた。
「けどなぁ。ハイスペッカーの技はライフとジョブボールに同時に半分の攻撃力分のダメージをあたえよる」
ユーキが言った。
そうなのだ。
サキのハイスペッカーは攻撃力を半分にしてジョブボールにもダメージをあたえられる。
しかも
「サキの持つオールラウンダーのアビリティは同点数の数×10だけ攻撃力をプラスできる」
今度は僕が言う。
サキの同点数の数は10科目中8つだ。
そしてサキのハイスペッカーの元の攻撃力は93。
つまりサキの攻撃力は93+80で173。
半分にしても86。
しかも相性により倍になるため346もしくは172。
つまりサキが圧倒的有利と言うことになる。
「それに魔法は発動まで動けない。魔方陣から出たら魔法発動がリセットされちゃうからね」
「そんなんは相手も百も承知やろ。なら何でわざわざ相性が悪いんを選ぶ必要がある?」
ユーキの疑問はもっともだ。けど魔法以外にこのジョブでやれることなんて……。
「はぁっ!」
その時サキが気合い一閃、サーシャに飛びかかった所だった。
・・・
・・
・
私は怒っていた。
彼女の自分勝手さに。
彼女の傲慢さに。
私の目指しているカッコいい女の理想に近い彼女の姿に。
そしてなによりザジの幼なじみという事が嫌だった。
ずるいと思った。
だから
「だから、私はあなたを倒す!!」
気合い一閃私は彼女に攻撃を仕掛ける。
「フフッ。」
瞬間彼女が笑った気がした
・・・
・・
・
「フフッ。」
思わず私は笑っていた。
何故なら彼女があまりにも思い通りに動いてくれたから。
先ほどのように挑発すれば、必ず怒って「戦」属性で攻撃してくると思っていた。
実際その通りになり笑っていたのだ。
でも少し不快な事がある。
私の方が先に出会い先に約束をしたのにザジは彼女の側にいる。
それが少し悲しくもあり怒りでもあった。
だから彼女を完膚なきまでに倒す。そしてザジを振り向かせる。
「フフッ。」
だから私は笑顔で迎えうった。自分の勝ちは決まっていたから。
・・・
・・
・
「はぁっ!」
「フフッ。」
二人が交錯した。
瞬間。
勝負が決まっていた。
・・・
・・
・
サキのサーシャへの攻撃が当たった瞬間。サーシャの攻撃もサキに当たっていた。
「!?!?」
やられたのはサキだった。攻撃がサーシャに当たったと思った次の瞬間にサキのライフが0になっていたのだ。
『ウィナーイズサーシャ。イッツパーフェクトゲーム』
審判役のロボットから勝者が告げられる。
「!?!?」
「あなたの負けですわ」
理解が追い付いていないサキにサーシャが言いはなつ。
「あなたは負けましたのよ。あっけなくね。これでザジは私の物ですわ」
「っく!」
「あっ、何処行くねん」
瞬間。
僕は走り出していた。
幸いバリアは消えていたのでバリアを破る必要はなかった。
彼女の元へ行くためならためらわなかったが好都合だ。
・・・
・・
・
「ソノミ!」
俺は彼女の元にたどり着いた瞬間叫んでいた。
「「ザジ!」」
二人が驚いた顔で僕を見る。
「あなた! なぜここに!?」
「バリアはもう消えていたからな。走ってきたのさ」
「ザジ……」
サキが泣きそうな顔で俺を見る。
「負けちゃった・・・。負けちゃったよ・・・・・。ザジぃーーーーー」
彼女が泣いている。
彼女が泣いている。
彼女が泣いている。
誰が泣かした?
誰が泣かした?
誰が泣かした?
「誰がサキを泣かせたァーーーー」
瞬間俺は俺にかわっていた。
「あら? あなたのお出ましですか。これは怖いですわ・・・。しかし、勝負は勝負。決まり事ですわ。約束通りあなたは私の物」
「うるさい! 少し黙ってろ!」
俺は彼女を睨み怒鳴った。
「サキ? 大丈夫か? 何が起きた? 何をされたんだ?」
「わからない。一瞬だったから。何も出来なかった……」
「っくぅ! 大丈夫。お前のかたきは俺がとってやる」
サキを慰めてから再び俺は彼女に向き直り
「俺と勝負しろ! 俺が勝ったらこの勝負は無しだ!」
彼女を指差し力強く言いはなった。
「面白くありませんわね。今、私からお誘いしようと思っていましたのに・・・。良いですわ。お相手しま」
「ちょっと待った」
「「「!?!?!?」」」
その場にいた全員がその声に驚く。
「僕がかってな事をしたね。今のは無しだサーシャ。僕は君とは戦わない。」
「「ザジ……」」
二人が同時に呟く。
(ちょっと待て俺。今俺がアイツを倒そうと……。)
(少し待って僕。このままだとサーシャのペースで話が進む。)
(だからって)
(それにまだ彼女のアビリティがわかってない。サキがどうして一瞬でやられたのかも。)
(でもよぅ)
(はぁー。まったく君はサキの事になるとバカになるな。普段は冷静で僕より頭良いのに。)
(っしょうがないだろ俺。俺はアイツの兄でアイツは俺の嫁なんだから・・・。)
(わかってるよ。だからこそここは僕にまかせて。)
(わかったよ。頼んだぜ俺。)
(頼まれたよ僕。)
この間約一秒。
僕達は心の中で会話した。
「さて、少し落ち着くために……。チャラララッチャラン。マイフェイバリットフード&ドリンクー」
僕は口で効果音を言いながらバックからあるものを取り出した。
「な、なんなんですの!? それは……」
「ん? これ? 特屋のようかんだよ? サーシャも食べる?」
「いりませんわ……。っではなくてそちらの飲み物ですわ」
「これ? これはサイダーだよ。ハバネロサイダー」
「ハバネロサイダー? なんですのそのゲテモノは」
「失礼な。これはとってもおいしいんだよ? このようかんとよくあうんだ」
「ありえませんわ! 食べあわせで考えて・・・。あなた、味覚がおかしくなったんじゃありませんの?」
(よしっ。こっちのペースになった。)
「ところでサーねぇ。サキの事一瞬で倒してたよね? どうやったの?」
「サーねぇ! 私の事昔の愛称でよびました?」
「うん。サーねぇ。サーねぇはサーねぇだもん。」
「はうぅぅ」
「ねぇ? サーねぇ教えてってば。どうやったの??」
「そ、それは・・・。私のアビリティを使いましたのよ。クロスカウンターをね。」
「クロスカウンター? 何それ? サーねぇの必殺技?」
「えぇ。必殺技ですわ。なんせ相手の攻撃を無効にしたうえでその攻撃力に自分の攻撃力を足した数値の二倍のダメージを、相手の攻撃が当たった瞬間相手へあたえますの。」
「ふーん。だから一撃だったんだね。」
「えぇ。世界一になった者にあたえられる称号。カウンター使いによるものですわ。」
「ありがとう。教えてくれて。サーシャ。」
「は!? 私は何でしゃべってしまいましたの? ザジに。」
「じゃあ改めて、サーシャに勝負を申し込むよ。僕が勝ったら転校は無しね。」
「い、良いですわよ。勝つのは私ですもの。クロスカウンターを知られたってモーマンタイですわ。」
「じゃあ3日後だ。3日後に今日と同じこの学校で!」
「えぇ。よろしくてよ。その勝負うけましたわ。」
(さて、どうするか……。)
僕はもうサーシャに勝つための方法を頭で考え始めていた。
「ザジ……」
「大丈夫だって。なんとかなるさ。だから今は家に帰ろう?」
「でも、私……」
「だから大丈夫だって。何事もナンクーナイサーだよ」
(さてと、どうしよう?簡単にはいきそうにないや。)
僕は再びサーシャの攻略法を考え始めた。




