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 僕は捨て子だったらしい。

 よく覚えていないからわからないが、物心ついた時には施設にいた。

 そこでの生活は苦しかったが楽しかった。

 何故なら僕と同じHの名をを持つ彼女が居たからだ。

 僕がいた施設はジョブファイトのエリートを育て上げるための施設だった。

 そのため毎日きついトレーニングをさせられた。

 そして週の終わりに実戦として男女でチームを組んで仲間と戦わされた。

 その時同じチームだったのがサーシャ。

 それが出会いだ。

 僕達は常に一緒だった。

 そして助け合い支え合っていた。

 しかし悲劇は突然訪れる。彼女がある研究の実験体に選ばれたのだ。

 そしてその実験のせいで彼女は記憶を失った。

 僕の事を思い出せなくなったのだ。

 さらに僕の顔を見る度に記憶が混濁し頭をおさえて倒れるようになってしまった。

 僕にはそれがたえられなかった。

 だから施設を出た。

 彼女が別の相手と組むところを見たくなくて。

 彼女と戦いたくなくて。

 そしてサキに拾われた。

 それが五年前の事。

 友達も詳しくは知らない僕の秘密。


・・・

・・


 「彼女は今何処に! 何処にいるんです!?」


 僕は激しく動揺しサキに掴みかかっていた。


「何処にいるんです! 何処に!?」


「少し落ち着けや?」


 動揺してサキに掴みかかっていた僕をユーキがなだめた。


「どないしたっちゅうねん。いきなりそないなって」


「落ち着きなさい」


「だいじょう……ぶ?」


 そんな僕を三人が心配してくれた。おかげで少し頭が冷えてくる。すると幾つか疑問がうかんできた。


「サキ。サーシャはここに僕を訪ねて来たのか?」


 一つ目の疑問。

 なぜ彼女に僕の居場所がバレたのか。

 そして


「彼女は僕の事を幼なじみと言ったんですね?」


 これが二つ目の疑問。

 僕との記憶をなくしたはずの彼女がなぜ僕を幼なじみだと言ったのか。

 そして


「サーシャは僕をどうしたいと言っていましたか?」


 これが三つ目。

 僕がここにいると知った彼女が僕に何を求めるのか。


「サキ。どうなの?」


「そんないっぺんに聞かれても困っちゃうわよ。もう少し落ち着きなさい?」


 確かにその通りだ。


「あぁ。わかった。少し待ってくれ。今落ち着く」


 そう言って僕は目を閉じてから大きく深呼吸をしゆっくりと目を開けた。


「よし。落ち着いた。……それで、僕の質問への答えは?」


「えぇ。……まず一つ目だけれど、ここにはあなたを訪ねて来たわけじゃないわ。今度のジョブファイトの相手としてうちの学校を指名に来たそうよ。そしたら学力テストの順位表にあなたの名前があったのを見てきいてきたのよ」


「じゃあ僕を訪ねて来たわけじゃなく、偶然という事だな?」


「えぇそうよ。偶然。……二つ目だけれど、確かにあなたの事を幼なじみだと言ったわ。だって、私がきいたんだもの。彼との関係は?って。そしたら彼女が幼なじみです。って答えたのよ。笑顔でね。」


「笑顔で? 僕の事をちゃんと覚えているようでしたか??」


「えぇ。昔一緒に暮らしていたんですって? 楽しそうに話してくれたわよ?……最後に三つ目だけれど、とりあえず会いたいから連れてきて下さい。って言われたわ。会って話をしたいそうよ。なにか聞きたい事があるみたい」


 そう言って笑うサキは少しさびしそうだった。


「わかりました。とりあえずその場所に連れてって下さい。僕も……会いたいですし」


「わかった。彼女は今校長室にいるわ。私についてきてね? ユーキも来る?」


「あぁ。俺も行こう。会ってみたいしな」


 そうして三人で行こうとすると


「行く。・・・・・一緒」


 トオカが服を掴んで来た。


「わかった。トオカも一緒な?」


「・・・・・うん」


 こうして僕達は校長室に向かった。

 それぞれ期待などを胸に。

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