表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

EP 3 異世界転職、メスガキカフェで労働革命を見届けた件

いよいよ始まる、メスガキ社長ケシと顧問パネンの"飲みと革命"編!

お酒、策略、スタッフ攻略、そして資本主義を叫ぶ労働者たち……

社内政治とブラックジョーク満載の第3話、どうぞお楽しみください♡

(今回はパネンのメンタルが本当に削れます)

それは、酒と票と革命の夜だった


「今日は麻辣湯マーラータンとナス炒めを食べるの♡」


ケシはストレス発散だと言いながら、中華料理をがっつり堪能していた。彼女が案内した『中華飯店チュングオハングオ』は、こってり味が大好きなおじさんたちにも大人気らしい。


「それと、高粱酒も絶対飲まないとね♡」


まるで校長先生を接待するかのような気分になりながら、私は彼女に付き合った。


「……ケシ、そろそろ控えようか」


ベロベロになったケシを見ながら、私は少し心配になった。


「ねぇ、顧問さま♡ ウチに来て、ラーメンでも食べてかない?」


ビクッとした。


「……まさか美人局つつもたせで取り込んで、給料絞り取る気じゃないだろうな?」


酔ったフリをしていたケシが、ハッとした顔で答えた。


「……な、なんでバレたの?」


「このビッ……いや、翡翠みたいに尊い社長さんよ。素直に帰りなさい。私は騙されない!」


背を向けて帰ろうとした私に、ケシは叫んだ。


「顧問……じゃなくて、ゴミ野郎! 入り込もうとするあんたが一番悪いわ!!」


浴びせられる罵声に、教育者人生の誇りがガラガラと崩れる音がした。


(……まあ、顔が無理とかじゃないんだけど、俺、男を雑に扱う女は好みじゃないんだよな)


そんなことを思いながら、私は泥のように眠りについた。


翌朝、カフェに出勤すると、スタッフたちは朝から清掃や在庫整理に励んでいた。


「おはようございます。みんなすごいですね」


「うちの給料、超いいからね♡ 頑張ってもらわないと!」


ケシが胸を張る。確かに、これだけ給料が良ければやる気も出るだろう。


そのとき、帳簿を整理していたスタリナがこちらを見た。


「おはようございます、顧問さん。昨日、ケシと歓迎会してたそうですね? 私も行きたかったな」


思い出して苦笑いする私に、スタリナは耳元で囁く。


「次は……私とも、一緒に♡」


……正直、寒気がした。


(こいつら、全員ロマンス詐欺師か?)


浮かれたら負けだ、と自分に言い聞かせた私は、まず仕事に集中することにした。


「スタリナ、今日2号店を見に行こうと思ってるんだが、いいかな?」


「もちろんです♡ 顧問さんに来てもらえるなら、こんなに嬉しいことはありません。それに……本店の運営についてのご感想も、ぜひお聞かせくださいね♡」


試されている気がした。私は慎重に言葉を選んだ。


「回転率も売上も素晴らしい。これだけ席が埋まるのも納得だ」


スタリナは嬉しそうに微笑む。


「本店はケシが、レニア姉さんから教わったノウハウをしっかり活かして作り上げたんです」


レニア、どこかで聞いた名前だ。


「ただ、スタッフ間で運営方針にズレがあるのは感じました。それが離職率にも影響しているかと」


私の指摘に、スタリナは一瞬だけ目を見開いた。


「もし、顧問さんなら、どう改善しますか?」


スタリナが意味深に距離を詰めてくる。私は軽く身を引きながら答えた。


「明確なプランができたら、改めてご提案します」


「ふふっ……次は、二人きりのときに♡」


(絶対に油断するな……!)


私はケシを倉庫に呼び出し、そっと耳打ちした。


「スタリナ、情報を引き出そうとしてるぞ」


「むっき~~~!! あの官僚主義の犬め、カミンテルンを汚す気か!」


怒りをあらわにするケシ。


「落ち着け。まずはスタッフの心を掴め」


「……どうすればいいの?」


私は静かに眼鏡を押し上げながら答えた。


「昨日、ロリとボッチュにヒアリングした。ロリは給料の高さと、自由な労働環境を何より重視してる。そして、ボッチュは……君そのものを尊敬してると言ってた」


「ふんふん……!」


ケシは目を輝かせた。


「なら、今回の提案は“売上目標達成時に全員ボーナス支給”だね!」


「待て。あんまりポピュリズムに走ると、カフェが潰れるぞ。バランスは大事だ」


「大丈夫♡ 私、年商10億円クラスのカフェオーナーだよ? 計算なら任せて!」


(このカフェ……逃げ時を見誤るとヤバいかもな)


そして、決議案発表会が始まった。


「それでは、まずスタリナ社長からご提案をお願いします!」


拍手喝采のなか、スタリナが堂々とプレゼンする。


「第3号店の2期オープンを提案します! 上位成績者には店長ポストも用意します!」


スタッフたちは盛り上がった。


次に、ケシの番。


彼女は仕事着のまま、堂々とマイクを握る。


「すべてのカフェ労働者に告ぐ!!」


スクリーンにスローガンが映し出される。


「カミンテルン労働者たちよ、団結せよ!」


「売上目標達成時には、全員にボーナス支給! お金こそが正義だ!」


スタリナは絶叫した。


「な、なんて資本主義の悪魔……!」


ケシは無表情で告げる。


「仕事は、金のためにやるんです♡」


スタッフたちは大喝采!


そして投票開始――結果は、ケシ8票、スタリナ4票!


勝者、ケシ!!


「労働者は勝つ!!!」


スタッフたちは拳を突き上げ、叫んだ。


(……この社長、絶対ただの小悪魔じゃない)


私は心の中でそっと呟いた。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

ケシ社長、まさかの労働者革命成功!?

顧問パネンはこの狂気のカフェで生き残れるのか。

次回はさらに混迷するカフェ運営と、新たな火種が巻き起こります!

コメント・お気に入り登録がパネンの生存確率を上げますので、応援よろしくお願いします♡

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ