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1章 出会い 3 お師匠(5)

  ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 遅い……。まだ、師が来ない。


 確かに夜半と、そもそも晩い時間を指定されていたのだけれど、もうすでに()(こく)(午前零時)をとうに過ぎている。


「姫さま、今日はもういらっしゃらないようですから、お休みになられたらいかがでしょう」

 お(けい)が重いまぶたを必死に持ち上げて言った。


「そうねぇ、うーん、もう少し待つことにするわ。師がいらっしゃるのに、初めて会う弟子が寝て待っていた、となっては末代までの恥だわ。師も(あき)れて帰ってしまうかもしれないし、ね」


 志麻(しま)は火鉢の炭を突つきながら答えた。

 十一月も下旬となると、いくら温かい駿河(するが)といえ、夜の冷え込みは体に応える。


「わかりました、姫さま。もう少し待ちましょう」

「お(けい)、無理して付き合わなくてもいいわよ」


 懸命に眠気と戦うお(けい)に、今日、何度目かの言葉を掛けた。


「いえ、お供します」


 お(けい)の言葉は、眠気で呂律(ろれつ)が怪しくなりつつある。


 それから一時(いっとき)(二時間)が経った。

 お(けい)はすでに体を横に崩し、(かす)かな寝息を立てている。

 志麻(しま)(かろ)うじて意識を保っていたけれど、今にも意識は坂を転げ落ち、深い眠りの奈落(ならく)に落ちそうである。


――眠ってはダメよ。


 必死に睡魔に(あらが)う。


――せっかく待ち望んだ師を得る機会なのだから。


 気持ちとは裏腹に、眠気は強まるばかりである。


――志麻(しま)頑張(がんば)るのよ。あなたには果たしたい夢があるのだから。


 そう、心の中で叫びながらも、志麻(しま)の意識は漆黒の眠りの中に滑り落ちていった。

 すでに(とら)(こく)(午前四時)に達していた。


  ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 お読みいただき、ありがとうございます。


 夜雨雷鳴と申します。


 応援、感想など頂けたら嬉しいです。画面の前で滝のような涙を流して喜びます。もしかしたら、椅子の上でクルクル舞い踊るかもしれません。


 誤字脱字もあったら教えてください。読み返すたびに必ず見つかるんですよね。どこに隠れているんでしょう?


 では、次のエピソードにて、お待ちしております。

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