閑話2
これはこれは。
……面白がってはいけませんが、頬が緩む。
いけませんね。
主人のことを笑っては。
……今主人でなければどんな目に遭うことでしょうね。
我が主人は、感情がない。
正しく言うと、ないのではなく、消し去った。でしょうね。
幼くしてご両親を亡くされ、厳しい先代当主に育てられ。
心休まる時などなかったようです。
だからこそ。
この方は自分にすがった。
……これも正しく言うと、すがるという心情により自身を守られている。
心から自分を思っているわけではない。
ただの背もたれ。
ただの肘おき。
ただの杖。
我が娘のように、愛されるということを知らない。
そんな方が、愛に包まれている方を愛そうとは。
……本心なのでしょうね。
守りたいという想いも。
幸せにするという想いも。
でも、それはきっと、我が息子が願う誓いとはズレている。
きっとこの方なら、もちろんだと。それはできるというでしょう。
誓うでしょう。
そして、そのとおりにされるでしょう。
たとえ、人が一般的に考える形でなかったとしても。
まあ愛するという形に決まりがあるわけではないでしょうから。
どんなものであっても、当事者がいいのであれば問題はない。
物事の基準も価値も全部。
その人目線のものでしかない。
だから。
だから。
この方たちが幸せになるのであれば。
この方たちの思う形で。
だから愛している。
我が主人を愛している。
あの子の「愛しているか」の問いはなかなかに厳しいものでした。
とても核心をついている。
ああ、血を引く子であると納得した。
私たちの子です。
ちゃんとあなたたちの子です。
愛されているかどうか。
あの質問にはいつかきちんと答える。
それが親としてするべきこと。
お仕えする方としてするべきこと。
子供たちを愛しているあの方のために。
「……なにを笑っている?」
気づかれましたか。
「いえ。我が主人の思うがままに」
そう。
願うは、この方の幸せを。




