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私の真実は

 ずっと書庫にいる。

 その自覚はある。

 

 「ふぅ」

  

 目眩がする。


 この書庫は、辺境伯様のすべてのお屋敷の書庫につながっているとか。

 だから読んでも読んでも新しい本が並べられている。

 

 「ここまで読んだけど……」


 壁一面の本棚。

 ところ狭しと並べられている。


 手元にあるのは変わった子が家を出た先でのこと。

 もちろんそれは家にもあったけれど、ここまでこと細かく丁寧な記載はない。

 どうやってこんなにも記録ができるのか。

 「クラメン様だからできること?」

 「進捗はいかがでしょうか?」

 バッとふりかえる。

 「お飲み物をご用意しました」

 机に並べられているお皿には美味しそうなクッキー。

 「休憩されては?」


 どうしてここに?


 「……ありがとうございます」


 今日は辺境伯様とお出掛けのはず。

 1日不在にされるという話だったはず。


 「移動などあってないようなものなので」


 ……そうだ。

 さらっと言われたけれど、この方にはそれができる。

 どこにいても、なにをしていてもなんだってできる。

 馬車の出来事がそうである。


 「お食事を忘れられていると思いまして」

 「……ありがとうございます」


 クッキーをつまむ。

 「……おいしいです」

 読み終わった本は、ひとりでにあった場所に戻っていく。

 続きの本がふわふわ。

 「どうでしょうか? 面白いものはありましたか?」

 ……。

 言われてから気づいたけれど、お父様と空気が似ている。

 「どれも面白いです。というと不謹慎でしょうか」

 

 興味深いのは事実。

 でもきれいなことばかりではない。

 

 文字からは感情は見えないけれど、おもわず目をそらしたくなることもたくさんある。

 

 迫害された変わった子。

 神と崇め奉られた変わった子。


 その力を表だって使用はしていないのに。

 それでも他者と違うことは、ばれている。

 

 教えで、目立つことはしないのが鉄則。

 

 私たちは取り扱い注意なんだ。


 「不謹慎など思わないでください。あの子のことです。きっと、笑ってくれることのほうが嬉しいはずです」

 

 あの子。

 ……初代当主。

 家の始まり。


 文献でしかどんな人かわからないけれど、父親がいうのであれば、そうなのかもしれないけれど。


 「きっとあの子が接触したことをしれば、驚くと思います。家を出るように。この北の地から追い出したのですから。そうまでして、関わりをたち、自立するとこを願ったのに、耐えられず伸ばしてしまった」


 こちらに向けられた手のひら。


 ……そっと重ねた。


 「ふふふっ。暖かいです。あの子そうでした。どうですか? 他人に同情される人生より、面白いと思われるほうがよっぽど、意味があると勝手に思っています」

 「それは。……長年のものですか?」


 不老。

 永遠の時間。

 私たちが知ることも見ることも理解することもないことを、この方は受け止めてこられた。

 そんな人が思ったこと。


 人生は、笑われる方がいいだなんて。


 「晒し者にされる。バカにされる。というのは違うでしょうが、学びになるのであればいいと。たくさん、学んできましたので」

 まっさらな青年。

 勤勉な青年。

 そうとしか見えない。


 ……なのに、見える感情はとても複雑。


 「お聞きしても?」

 「はい。なんでしょう?」

 

 嬉しい感情が見える。


 「あなたがお仕えする主人は、あなたを愛していますか?」

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