表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ゆらなゆら【WEB】

作者: 雨澤 穀稼

挿絵(By みてみん)

デザインワークス:アホリアSS様


   ゆらなゆら


 わたしはゆらなゆら。

 まだ、名はないのです。

 正確にはゆらなゆらと名付けられし者となる者です。

 母のお腹の中でくるくるしながらね。

 神様だと思うのよ? がね、がね、がね、おっしゃつてましましたのよ!

 わたしがね! わたしがよ! 救世主(めしあ)

 違う違う違うのよ? わたしが救世主(めしあ)じゃなくてね? わたしがね! このわたしがよ! 救世主(めしあ)を産んじゃってねお育てできるんですって!

 ななななな! なんてなんてなんて光栄なことなんでしょう! まいあがっちゃいますわよ!

 だって直接聞いたんだもん!


 そなたの産み育てし子、めしやとなるであろう!


 そんでもってそんでもって、いろいろあってね。

 わたしは無事に、この世にオギャア致しました。

 わたしは今、心臓に穴が空いているらしくて……保育器に入っています。

 いきなり大大大(だいだいだい)大ピンチなのです!

 毎日母が心配そうなゆらゆらな顔と瞳で、保育器の透明でゆらゆらな牛乳の底みたいなぶあつい壁の外から見つめてくれてます。

 母よ! 父よ! はやくわたしにゆらなゆらと名付けて下さいませな。

 わたしは白馬の王子様と恋におちて、世界を救う救世主(メシア)を産み、立派に育てなければならないんですから。


 時は経ち……わたしは白馬(おしらま)の養鶏農家さんの後継ぎの飯田さんと夫婦(めおと)となりました。

 毎日毎日鶏につつかれながら、玉子の出荷に大忙しです。

 そしてさらに時は経ち……息子は立派な恰幅(かっぷく)に育ちました。

 そして、世界の飯屋(めしや)の店主をしています。

 異業種の方たちと七色騎士団だったかしら? を、結成し、世界に生きる(すべ)をお届けしているみたいです。

 わたしは88歳で卒業して、ゆらゆらな世界から見つめて応援してます。

 ふあいと! がんばって世界を救うんだぞ!

挿絵(By みてみん)

デザインワークス:島猫。樣


挿絵(By みてみん)

デザインワークス:なないろかめれおん

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 拝読しました。 なんとも目まぐるしいほどの展開! メシアと飯屋……な、なるほど。 保育器に入っていた子が、中略ながら恐らく健康に育ち、世界に轟くフードチェーン店(?)を経営する恰幅の良い…
[良い点] 不思議と惹きつけられて、一気に読んでしまう作品ですね。 飯屋という発想がすごいです。
[良い点] メシアは救世主ではなくて、そんな職業とは発想が面白かったです。 救世主の母であってもなくても、お母さんはいつまでも息子や娘を応援するものなのでしょうね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ