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超獣戯画Ⅰ  作者: m-u-t-o-i


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第六十八話 龍

グラントが声を殺して待ち構えていると、球体に4本の足がついたような状態の生物が

ゆっくりとグラント達が潜む茂みの横に歩いてきた。

グラントはこっそりと合図を出すと、球体の周りを隊の全員で囲い始めた。

そして、グラントが合図を出すといっせいに傭兵達は球体を襲い出した。

だが球体は攻撃を予期していたのか、グラント達をかわして、瞬時に囲いが空いている方向に走って逃げた。

グラント達は動じずにそれを追う。

それと同刻、レンドと対峙したエルは唸り声を上げると、咆哮を出し一気に瘴気を自身の体に収束させて黒い雷をレンドに向けて放った。

間一髪でレンドはそれを交わした。

それをエルはじっと見ていたが、また咆哮すると、今度はレンドに向かって突進を始めた。

レンドが重砲に使っている3つの金属の塊を瞬時に組み替えると、重砲の先端から刃が飛び出してきた。

リコは初めて見るレンドの本格戦闘に高揚感を抑えきれなかった。

レンドによると重砲と重剣は金属を組み替えれば瞬時に形態を行き来できるということだった。

エルとはまだ距離がある中で、レンドは重剣を体全体を使って、一周真横にブンとふって、そのままその遠心力を使ってまるで剣に引っ張られるようにエルが向かってくる方向に飛び跳ねた。

そして、着地すると同時に突進してくるエルにタイミングを合わせて、重剣をもう一度真横に振り始めた。

エルはまだレンドとは3パル(約5m)の距離があったので重剣が自分には届かないとふんで、そのまま突進したが、その瞬間、レンドの振った剣の刃の部分がエルの目の前でグンと伸び、ちょうどエルの上の口を真横に切り裂いた。

エルはそのまま切られた方向に倒れ込み、痛みに悶え苦しんだ。

この光景に街の人々は大いに盛り上がる。

「なんだ今の動き」

「すげえ、一発で倒した。」

領主はこの光景を見てフンと息を吐いた。

「これくらいやってもらわねば、高い金をはらっているんだからな」

すると、レンド達が戦っている丘に、クンクラの森の茂みから足の生えた球体が、飛び出してきた。そしてその後を追うようにグラント達も現れた。

レンドは事前にグラントに必ず丘の方向に球体を誘導するように調整していた。

その決め事があったのでグラントは球体が戦いの場所に抜け出せるようにあえて囲いの一部に誰もいない穴の部分を作っていたのだ。

グラントの誘導がうまくいったことをレンドは確認すると、いっきに倒れこんでいるエルに重剣を振り下ろした。

エルはのたうち回るが、次の瞬間、動かなくなり今度は瘴気を振り撒き始めた。

エルの状態を確認するとレンドはちらっとグラントを見やる。

グラントは頷いて、動き回る球体を隊で囲んでボウガンで総攻撃をしかけた。

球体に、いくつかボウガンの矢が突き刺さる。

すると球体は動きを止め、こちらも真っ黒な瘴気をあふれ出させはじめた。

レンドはそれを確認すると。重剣を瞬時に重砲に組み換えて、天に向かって一発はなった。

一方街の外れにある祠はレイル達がレンドの作戦通りに、合図を待ち構えていた。

そしてレンドの重砲の一発が空に打ちあがったのを確認すると、長く重い一本の鉄の槍を隊のレイルを含めた5人ほどでもち、祠の下の地面めがけて一気に突き刺した。  

地面はそこまで固くなく、槍はスムーズに地面に突き刺さっていったが、ある地点で槍を持つレイル達の手に柔らかい今までとは違う手応えがあった。

グラントはレンドにやれたか、というように目で確認するが、レンドはまだわからないという表情だった。

獣とレンド達の戦いを見ている街の人々の間に、小さい子連れの男が1人いた。

その男こそ、エルと龍を今の姿に変えた『製作者』ことリマだった。

リマは連れてきたルブーに話しかける。

「大したものだ。おそらくさっきの空に打った弾が合図だとすると、もう一つの心臓部まで気付いてるということか。これが銀の爪なんだな」

ルブーは心配そうに男を見上げる。

男はそれに気づくと笑って、男の子の頭を撫でた。

「大丈夫だ、まだ彼は死なないよ」

レイルは深く祠の地下に槍を突き刺しきると、仲間に発煙筒をつけるように指示した。

空に発煙筒の煙が出るのを見ると、グラントは成功したことを知って少しほっとした。

だがおかしいことに、球体からの瘴気は減るどころかますばかりだった。

グラントがレンドの方を見やると、レンドのほうにさっきまで倒れていたはずのエルが襲いかかってきていた。

間一髪でレンドはエルの口に重砲を突き立ててそれを防いだ。

だかエルはゆっくりとそのまま、光線を打つ構えになった。

重砲にかみついたまま光線を打とうとしていたので、レンドは重砲をエルから離すのではなく、一度金属塊の接続部分の留め具を瞬時に外し、それに合わせてエルを蹴り飛ばして離れた。

重砲は三つの金属の塊にばらけ、エルの周りに転がった。

エルは蹴り飛ばされた反動でレンド達より少し上に光線をはなった。

その後、今度は丸腰になったレンドにエルがおそいかかる。

レンドは交わしながらばらけた三つの金属塊のうちの一つを拾ってエルと距離を取る。

グラントが、エルから離れたレンドに駆け寄る。

「どうする。なぜ奴は死んでいない」

レンドは厳しい表情を浮かべていた。この光景を丘の上でリマは満足そうに見ていた。

「さあ、どうする。おそらく、二つの心臓部を追い詰めて、三つ目に押し込む作戦だったんだろう…たしかにそれは効果的だが…エルの能力はそれだけじゃない」

レンドはエルの突進を避けながら、エルの外観の変化を感じ取っていた。

――さっき俺がつけた傷が塞がってる。そして心臓の拍動の音はエルの本体から聞こえる…か

グラント達が囲んでいる球体の方にも変化があった。

瘴気が心臓部の全てを包みこみ、大きな丸い瘴気の塊になった。

そして一呼吸おくと黒い瘴気のなかから、一匹の白い龍が現れた。

グラント達は驚いて、龍に攻撃しようとするが、レンドがそれを止める。

「やめろ!そいつは囮だ」

グラント達はレンドの言葉に従って攻撃をとめる。これにはリマも驚いた。

「すごいな、あれを瞬時に見抜けるとは…。なにか見分ける能力でもあるのか」

レンドは持っている金属の取手を瞬時にまわすとそこから刃が飛び出した。

エルはレンドを残りの二つの金属塊に近づかせないようにそれらを背にしてレンドと向かいあう。レンドはそれを見て感心していた。

――頭がいいな。三つ揃わせないように動いている。

一方でグラント達は龍と対峙していたが、龍自身は自分から攻撃してくる素振りはあまり見せなかった。

それを見てグラントは今度はレンドに相対しているエルに攻撃を集中させようとしていた。

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