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超獣戯画Ⅰ  作者: m-u-t-o-i


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第六十二話 ある医者の不正

「どうやってここに入った」

グラントが答える。

「すまねえな先生、ちょっと静かな場所が必要でよ。レイルがここに地下室があるっていうもんだから使わせてもらった」

ブレストの憤慨は収まらない。

「勝手なことを…ここは私以外は立ち入り禁止だ。すぐに出て行ってもらおう」

そこにカルケルとデルムタが現れた。

「何の騒ぎかな…」

ブレストは驚く。

「先生!外で待っていてくれと言ったじゃないですか」

カルケルが答える。

「いや、大きい声がしたもんでついつい…にしてもすごいですね。先生の所にこんな地下室があったなんて」

ブレストは全員に外に出るように促す。

「全く今後、二度とここを無断で使うのはやめてもらおう」

するとデルムタが地下室に転がっている書類を見つける。

「おお、これは診療記録じゃないか…これがみたかったんだよ。やはりきちんと記録を取っているんだね。ここまでの量があるなら一緒に手伝おうか?」

ブレストが否定する。

「いえいえ、私が探します。先生たちもいったん外にお願いします」

ピントはカルケルとは知り合いだったので、カルケルに話を聞く。

「カルケルさんどうしたの?」

カルケルはピントを見つけて少し驚いた。

「デルムタ先生がメイの医療記録をみたいっていうもんでよ。ここまで付いてきたんだ。

おめえもなんでこんなところに?」

「それは…」

いいかけて、ピントは少し何かがつながった気がした。

――3年前、女の子、医療記録…。

「ねえ、カルケルさん。メイちゃんが亡くなったのって3年前だったよね…その時、メイちゃんって何歳?」

カルケルは答える。

「うん?たしか7歳だよ。ちょうど縁起のいい数字だったなあ」

――7歳…。

デルムタとブレストは記録について話していた。

「熱心な君のことだ。こういうのは助けになる。すぐ見つけるから、まあ任せなさい」

ブレストはまた大声を出す。

「いいから、全員出てください!」

大声にデルムタは驚く。

「どうしたんだ君らしくもない。」

そのタイミングでピントはよけていた記録を手に取ってデルムタに渡す。

「ねえ、デルムタ先生、メイちゃんの診療記録ってもしかしてこれ?」

ピントは他と区別するために、色がついてない診療記録だけを他と分けていた。

「うん?」

ブレストはデルムタが持つ記録を一瞥すると、一目散でデルムタの手からそれを奪い取った。

そしてピントを睨みつける。

「お前…なんでこれを」

といった。

デルムタがブレストの様子がおかしいのに気づいて話しかける。

「それを見せてくれないか。ブレスト君」

ブレストは動揺する。

「先生…これは・・・あ」

デルムタはブレストから記録を取り上げる。

くまなく見渡すと、デルムタがしゃべりだす。

「おそらくこれはメイちゃんのでまちがいないだろう。だがなぜ色がついていない?」

ブレストはこたえない。カルケルもその様子を見ている。

ブレストは視線にいたたまれず、思わず必至答える。

「これは違うんです。たまたま書き忘れていただけで、彼女の色は黒でした」

デルムタが反論する。

「君ほどまめな人が書き忘れるとは考えづらい、それに子供の死者なら検体として記録すべきだろう。なぜ名前を書いていない?」

カルケルが食いつく。

「先生どういうことです?メイは死んでしまったんじゃ?」

デルムタが続ける。

「死んだとき、カルケルさんはその姿をみていないのだろう。それが少しおかしいとは思っていたが…何があったんだ。教えてくれるか?」

ブレストは唇を震わせる。

「私は…何も悪くない…」

ブレストは膝から崩れ落ちる。

あの時、ブレストは流行の病の対応をしていた。

その途中に来たのが、メイだった。 

ブレストはリクソスの街の出身者を主だって診療していたが、その中に、領主もいた。

メイ自身は移住者の血が入っていたが、生まれはリクソスの街に当たるのでリクソスの民として分けられていた。

領主は妙な威圧感があったが、金払いもいいし何より有力者ため、ブレストも基本的には言うことを聞いていた。

領主の病室とメイの病室は少し離れていたが、メイがいることは当然領主も知っていた。

そんな中、メイは危ないタイミングに陥った。病気が悪化して、もうこれ以上は手の施しようがないほど悪化していたのだ。

何とかその旨をカルケルに伝えて、覚悟を持ってもらうように告げた。

そしてその夜。

メイはなんと一命をとりとめた。

ブレスト自身も看病はしたが、まさか命を取りとめるとは、と驚いた。

メイは一週間くらいすれば退院できるだろうとほっとしていると、比較的症状が軽症だった領主がブレストに話しかけてきた。


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