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超獣戯画Ⅰ  作者: m-u-t-o-i


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第六十一話 作戦

レンドはうなずいて話し出す。

「奴を特定の場所まで誘い出す。今心臓部がどうなっているかはわからないが、できれば心臓部を先に見つけて獣をおびき出せればいい。そこで俺とグラントで心臓部と獣をたたく。その間にレイルに祠の周りを固めてもらう。俺達が獣と心臓部を痛めつけた段階でおそらく獣は心臓をいったん祠に返すはずだ。そこでレイルにとどめを刺してもらう」

レイルは思わぬ指名にびっくりしていた。

「俺がとどめを?」

レンドはうなずく。

「そのためにわざわざお前を含めて話をした。実力は申し分ないだろう」

グラントもこれには驚いていた。

だがグラントが驚いたのはレンドの指名ではなくレイルの乗せ方だった。

彼は実力を褒められれば乗るタイプであることはグラントは長い付き合いで知っていたが

それを短時間でレンドは見抜き、利用しているのだ。

「もともと俺はお前たちの実力は疑っていない。だが間違った情報と報奨金を含めての状況がお前らを動かしにくくしていた。だが今は状況が変わって情報も多く柔軟に動けるはずだ。俺とお前ら、どちらが欠けてもおそらく奴は倒せない…。協力するか?」

グラントにとってもこれは願ってもない提案だった。

レイルもこれは受け入れた方がいいというようにグラントを見つめる。

「グラントさん!」

グラントは考える。

――こいつの思惑通りに進むのは不快だが現状これに勝る作戦はない。それにこいつを戦力としてつかえるならあいつを倒せる確率は申し分なく上がる。報奨金も俺達を推薦するというなら断る理由はない…か

「わかった。それに乗ろう」

レンドはうなずく。

「決まりだな」

グラントは作戦の詳細について尋ねる。

「だが、奴をどうやっておびき出すんだ?」

レンドはピントをちらっと見る。

「こいつに協力してもらう」

ピントは首を振った。

「誰が乗るかそんな提案、エルを殺すのに俺が協力するとでも?」

レンドが言う。

「協力するならここから無傷で出してやる」

ピントは首を振った。

「たとえ死んでも、俺はあいつを殺させたりしない!」

レイルが憤る。

「てめえほんとに死にたいらしいな…」

グラントがそれをいさめる。

ブレストの家の地下でそんな会話が繰り広げられている中、一方ブレストはそんなことは梅雨も知らず、家に入る途中だった。

するとそこにデルムタとカルケルが現れた。思わぬ二人の登場にブレストは少し驚いた。

「デルムタさん、それにカルケルさんも珍しい」

「昨日、ちょうど娘の命日でデルムタさんが墓参りに来てくれたんで」

カルケルが質問に答えると、デルムタがそれに続いた。

「そう、でその時少し、気になったことがあった。メイちゃんを最後に見てくれたのは君だったよな」

ブレストは恐る恐る答える。

「そうですね…」

デルムタが続ける。

「だがあの時、メイちゃんはそこまで、重症ではなかった。だから君に託したんだが…」

ブレストは少し声を震わせながら答える。

「ええ、でも私の所に来た二日後に急変して…あっという間でした。助けられなくて本当に申し訳ない」

デルムタが話す。

「よければその時の記録が残っていないかな。また冬に病が来るだろう。その時の情報は多い方がいい。カルケルさんもそうじゃないと浮かばれないしなあ」

カルケルも続く。

「せめて娘の死を無駄にしたくないんで、お願いします」

ブレストは途端に歯切れ悪くなる。

「しかし3年も前ですからねえ記録が残っているかどうか…」

デルムタが胸を張る。

「私たちも探すのを手伝うよ…当たり前だろう」

ブレストは渋る。

「いやいや先生の手をわずらわせるわけにはいきません。家の前で少し待っていてくださいすぐに探してきますから」

そういうとブレストは早々に家の中に入ってしまった。

デルムタとカルケルは顔を見合わせてなんだ?という表情を浮かべた。

「あんなに焦る顔は初めてみたが…」

2人が待っていると中からとてつもない大声が聞こえた

「貴様ら!何をしている!」

2人は大声に驚いて恐る恐るドアをノックする。

だが何も反応がない。

試しにカルケルがドアを開けてみると、ドアに鍵はかかっておらずスムーズに空いた。

「どうしたんですかね…」

二人は中に入ってみた。そして手分けしてブレストを探してみる。

だが診療用の部屋をいくつか見渡しても、なかにはブレストはいなかった。

「どこに行ったんだか」

だが声はどこからか聞こえてきていた。

「なんか下から聞こえないか?」

デルムタが声の出所に気づく。

二人は一つの診療室の前の廊下に開けるドアみたいなものが設置されているのを見つけた。

「ここから声がしてるな」

カルケルがドアを引っ張ってみると下に続く階段を見つけた。

二人がそこを下っていくと、下にはレンド達と憤るブレストがいた。


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