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超獣戯画Ⅰ  作者: m-u-t-o-i


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第五十一話 囚われる女

クレアはざっと手記に目を通した。

手記の記述で詩人とされているのがベルだとするともう一人の女の子が誰なのかがクレアにはよくわからなかった。

そして何より読んでいてクレアが驚いたのが、リクードが手記では雄弁に自分の意志を語っていることだった。

リクードから手紙をもらうことはあまりなかったが、普段と同様、あまり文面でも語らない印象があったので、それに少し驚いていた。

手記は全部で20枚ほどあり、すべて詳細に読み進めるのにはなかなか時間がかかりそうだった。

ざっと読む中でいくつか目をひく箇所があったので今度はそこに的を絞って読もうとしたその時、「何をしている」という声が後ろから聞こえた。

クレアが驚いて後ろを振り向くと後ろにはサルドが立っていた。

「ここで何をしている?」

サルドは冷たい恐ろしい顔をしていて、いつもの張り付いたような笑顔は消えていた。

「ごめんなさい、道に迷ってしまって」

クレアは苦しい抵抗をするが、むろんサルドは取り合わない。彼女の腰からかかっている鍵束に目をやると

「鍵束…私の引き出しから盗んだな。全く最初からこれが目的か?」

とクレアを睨みつける。

クレアはここで嘘を言ってもあまり意味がないと感じ始めたので、開き直ることにした。

「そうね。いくら聞いても教えてくれそうになかったから」

クレアは酒場でサルドに会うたびそれとなくリクードの事を聞いてみていたが、サルドははぐらかすばかりで何も教えてはくれなかった。

「あまりに急に態度が変わるからおかしいとは思っていたが、全く失望したよ」

サルドは悲しくそういった。クレアはここまで来たら仕方ないと今度は問い詰めることにした。

「これは何?なぜベルさんの詩がこんなところにあるの?そしてこっちはリクードの?」

サルドは答えない。

「ここまで来てまだ答えないつもり?」

サルドは半ばあきらめたような口調で返す

「君は知らない方がいい事と、そうじゃないことの区別がつかないようだ。」

クレアは怒る。

「リクードに何をしたの?彼を返して!!」

怒るクレアをサルドは牢屋の中に突き飛ばした。クレアは突き飛ばされて、牢屋の中に転げる。

「何を?」

「君は少しここにいてもらう。」

サルドはそういうと鍵束を取り、クレアの牢に鍵をかけた。

そして悲しい顔をしたまま、地下室にクレアを残して去っていった。


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