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超獣戯画Ⅰ  作者: m-u-t-o-i
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第三話 入れ墨の男と少女

カルケルはおびえながら振り返ると、後ろには入れ墨の男が立っている。

「そのガキと話がある」

と入れ墨の男は言った。

カルケルはおびえながら何かの間違いじゃないか、といってリコをかばったが入れ墨の男は

リコと二人で話をさせるようにカルケルを引き離した。

リコは大丈夫とカルケルに目で合図して、カルケルが離れたことを確認すると、入れ墨の男に向き直る。

「何の話?」

リコが返すと入れ墨の男が続ける。

「依頼状だ。お前が仕込んだんだろ?俺の前でこの手の小細工は通じない」

リコは言葉を慎重に選ぶ。

「どうして私がしたと思うの?」

「根拠か、直接お前が落とした直接の根拠はないが状況を考えるとな」

リコは問い返す。

「どういうこと?」

「一つは依頼状という単語、俺は今日この酒場ですべての会話を聞いていたが、依頼状なんて単語が出てきだしたのは、お前が店にやってきた後の時間に限定される。お前が来た後に店に入った奴もいるが、そいつらは全員、依頼状という単語が一回以上出た後に入ってきた客だ」

リコは驚く。

「あのお店の会話を全部聞いてた?」

入れ墨の男は当然のように返す。

「ああ、今日のあの店の俺が入った以降の会話はな」

リコはにわかに信じがたかった。店には大量に人がいたし、何よりそのすべての会話を聞くこと。そんなことが可能なのか?

「もちろんそれだけでは絞れないが、二つ目は依頼状が見つかるタイミングだ。依頼状が見つかった会話がされた直前で、起きた大きな出来事は一つ、お前が盛大にこけたことだ」

リコは問い返す。

「こけたのがあたしだってどうしてわかるの?」

リコがこけた場所は入れ墨の男からは見えなかったはずだからだ。

「こける音が完全に9から10の少女のそれだ、あの酒場にその年代の少女はお前しかいない。

まあ前後の『話しかけんじゃねえガキ』と男たちの笑い声まで足せば間違えようはない」

レンドの理論は論理が通っていたが、リコは負けじと反論する。

「だとして、私が依頼状を落としたことにはならないわ。ただこけただけじゃない。ほかの人が依頼状を落としたかもしれない」

入れ墨の男は微笑んだ。

「そうだな、だがその前後のお前の会話とお前の行動の矛盾でほぼ八割、お前だとわかる」

リコは思わず問いかける。

「矛盾?」

「お前は便所にいきたいとカルケルに言ったはずだ。だがお前は便所に行かずに男たちに自分から話しかけている。『何を飲んでいるの』ってな」

「それ…はたまたま珍しい飲み物があったから、話しかけただけで」

リコは必至に反論する。入れ墨の男は苦笑するが冷静に続ける。

「そうだな、だが奴らの飲んでいる酒はカルケルの飲んでいた物と同じものだ。

わからないか?エールだよ。ここの店のは特製らしい」



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