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超獣戯画Ⅰ  作者: m-u-t-o-i


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第二十七話 追いつめられる少年

レンドとリコが青年を問い詰めた翌朝、レイル達はバルガスをつれて、リクソスの村に訪れた。

バルガスは酒場で伝達役だった男を見つけるとレイルを引き合いに出して脅した。

すると伝達役は早々にピントの居場所をバルガスに伝えた。

バルガス自身は実際は情報元が少年であることは知ってはいたが、

それを最初から知っていたことはあえてレイル達には伝えなかった。

その後、バルガスは彼らをピントのいる塔の工事現場まで案内する。

バルガスは中の一人にピントはどこにいるか聞いてくると、レイル達にピントの居場所を教えた。

「あそこにいる奴らしい」

建設現場にいる青年たちは地元の村のものではないガラの悪い集団の登場に少しざわついていた。バルガスが指さす先にはまっすぐピントがいる。

ピントにレイルたちが絡む。

「お前か、俺たちに嘘の情報を流したのは」

ピントは答える。

「何のことか、俺にはわからないです」

レイルは不敵に微笑む。

「この期に及んでまだ言い逃れできるとおもってやがる。この情報屋にお前が情報を流したことはもうばれてんだ。観念してなんでこんなことをしやがったか話してもらうぞ」

ピントはちらっとバルガスを見るがバルガスは顔を合わせないようにしていた。

「何のことかわからないし、俺はこの人をしらない。」

レイル達はしびれを切らす。

「いい気になりやがって、ここでお前を殺すなんざわけねえんだ」

レイルがすごむと、周りの青年たちがレイルとピントの間に立ちふさがる。

剣を抜くと、レイルは青年たちに面白そうに言い放つ。

「こいつら丸腰でやる気かよ。」

ピントたちをかばった青年たちは恐怖で心なしか震えていた。

ピントはそんな周りをいさめ、

「場所を変えましょう。」

と提案した。周りの全員がピントに行かない方がいい、と忠告してもピントはがんとして聞き入れず、レイル達とともに塔を後にした。

レンドとリコはその出来事から数刻して塔にたどり着くと、バルアクと周りの青年たちが集まってその話をしていた。

「ピントがまずいです。あいつらに殺されちゃいますよ。」

バルアクは考え込んでいた。

「だがお前らが行っても奴を助けられるわけじゃあるまい。おれはここで働かせている間はお前らの親代わりだ。危険な場所に生かすわけにはいかん」

会話が紛糾しだしているタイミングでレンドとリコが彼らに話しかける。

「どうかしたの?」

とリコは近くの青年に尋ねる。

面識があるリコとレンドに尋ねられた青年は事情を説明する。

「かかった時間はだいたい1日というところか。やはり使えるな」

レンドはそういうと、悩んでいるバルアクのところへ行き彼に尋ねかける。

「彼がどこに連れ去られたか、目途はついているのか?」

親方は二人に気づいて答える。

「おお君たちか…わからんが、まだ奴らが出てからそこまで時間はたっていない。そう遠くへは行っていないはずだ」

レンドが提案する。

「俺がその子を連れ戻してこようか」

バルアクは願ってもない提案に喜ぶが、少しいぶかしんだ表情をする。

「本当か?そうしてくれるとありがたい、銀の爪が味方になるとあれば、奴らも引き下がるかもしれない。でもどうしてだ?あんたに彼を助ける理由はないはず…」

レンドはうなずく。

「そうだな、助けた彼をそのまま2,3日借り受けたい。もちろん一切危害は加えないと誓おう」

バルアクにとっては微妙な判断だったが、どちらにしよ選択肢は一つしかないことは明白だった。

親方やピントを心配する周りの青年たちに送り出されピント探しを始めた。

リコはレンドに聞く。

「どうするの?彼がどこに行ったかなんて何の手掛かりもないよ?。」

言われるとレンドは入れ墨に手を当てて耳を澄ます。

「距離は確かにそこまで離れていない」

「なんでわかるの?」

そう聞かれると、レンドは体の入れ墨を指さし、ピクピクとそれを動かして見せる。

「彼に入れ墨を?」

「重要な情報源だからな、グラント達が奴にたどり着くのは時間の問題だった。大事なのは最悪の展開を予想しておくことだ。どんな時もな」

リコはなぜピントたちがどこにいるかわかっていたのに一度バルアク達の元へレンドが向かっていたのかが気になっていたが、そこはあえて尋ねなかった。

レイルはピントとバルガスをグラントが休んでいる宿まで連れてきた。

ピントは逃げれないようにつながれ、レイルはピントに尋問している。

それをまだ体が回復しきっていないグラントは座ってみていた。

「なぜ、あんな情報を流した」

ピントは答える。

「仮に俺が情報を流していたとして、その情報は嘘だったんですか?」

バルガスとすべからく同じような返しをしてくるピントに対して、レイルはいらだちを隠さない。

「ふん、嘘じゃないからなおたちが悪い。あれは俺達が拡大型だっていうように勘違いさせるためのものだ。現に奴はいくら攻撃しても死ななかった」

ピントは少し考える。

そして、今にも剣を抜いて襲い掛かりそうなレイルをみて、覚悟を決めてしゃべりだす

「あれは確実に俺が飼ってた犬のはずです。右に三回首を振る癖があったはずだ。」

レイルは答える。

「やはりお前だったか、確かに、その癖は俺も見たが、そんなもんいくらでも後からでっちあげれる」

ピントは答える。

「もし俺がでっち上げてるとしたら、その理由は何です?飼っていたという話が嘘ならあの獣に俺が協力する必要はありません。」

レイルは言葉に詰まった。

確かに、もしピントの言うことが嘘ならば、ピントは何の思い入れもない獣を守るために獣狩りにウソの情報を流すというリスクを冒していることになる。

そこの点は確かにレイルも腑に落ちなかった。

ピントは訴える。

「あいつのあの癖はたしかに俺が昔飼っていた犬のものです。それに、犬がいなくなってから1,2週間して奴が現れ始めた…時間的にもぴったり合うんです。」

レイルは黙りこむ。

いろいろな可能性が頭に浮かぶが、どれも確実に真実を指示しているとはいいがたかった。

考えた末にレイルはある質問をする。




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