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超獣戯画Ⅰ  作者: m-u-t-o-i


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第二十三話 少年と銀の爪

その子はとてもめんくらった様子でレンドとリコを見ていた。

「何を言って…俺が飼ってたなんて一言も誰もいってないよ?」

めんくらった彼にレンドは名前を尋ねる。

「俺はレンドという、お前の名前は?」

彼は驚いてたが、恐る恐る答える。

「ピントだ」

レンドは続ける。

「ピント、俺が質問をした時、学校でも同じように聞いたが、聞いた中でもっとも動悸が激しくなったのがお前だ。おそらく情報屋に今回の獣の情報を伝えたのもお前だろう」

ピントは不可解な表情を浮かべる

「動悸?言ってる意味がよくわからないよ。変な言いがかりをつけないでくれ」

彼はもっともな返しをする。だがレンドは引き下がらなかった。

「具体的に答えたくないなら、別にそれでもかまわない。俺の中でもうお前があの獣に関わっていることはおよそ疑いがない。俺が知りたい事は二つある。お前はただその質問を聞くだけでいい」

レンドの有無を言わさぬ迫力にピントは物おじする。

レンドは逃げないようにピントのうでをつかむと畳み掛けるように質問をぶつけた。

「奴には製作者がいるな」

リコは製作者という耳なれない言葉が引っかかった。それは獣に対する製作者という意味のように聞こえるが、レンドの真意はわからない。

言われたピントは苦しそうにレンドから目を逸らしていた。

レンドは質問を続ける。

「心臓の位置を教えてもらったか?そいつから」

ピントは答えないが、レンドの顔を見れないくらいに動揺しているのはリコにも伝わった。

「お前がどう考えているかは知らんが、製作者の言うことが心地よく聞こえても、奴はお前のことなんか考えてはいないぞ」

この言葉にはピントは反応し、一転してレンドを睨みつけた。

レンドは欲しい反応が得れたのか、満足してピントを離した。

ピントはその場に倒れ込んだが、レンドに追及の意思がないとみると、その場を早急に立ち去った。

リコはどうしても製作者のことを聞きたかったが、レンドはそれを制してリコを連れて宿に戻った。

宿に戻るとリコはレンドに製作者のことを聞き始めた。

「製作者って何のこと? あの獣は誰かが作ったっていうの?」

レンドはゆっくりとリコを見ながら、製作者について話し始めた。

「俺たちの獣との闘いは少し昔にさかのぼる、普通の獣とは違う白と黒の獣が現れたのがちょうど200年前ごろになる。そして、俺たちの祖先、いや先代というべきか…が現れたのはそこから少し後だった。おそらくそこから50年は後か」

リコは獣の歴史については詳しかったのでレンドの話を黙って聞いていた。

「現れた当初の獣たちはおよそ、単純な構造だったそうだ。ただ普通の獣の特徴や能力が強化されただけのな、確かに普通の獣よりは手強いが、集まって戦えば、殺せない奴らではなかった。それが俺たちが今言う拡大型というタイプの獣だ」

レンドはそこで一呼吸おいてリコをみた。

リコにはそれがためらっているように見えたが、レンドは話をつづけた。

「だがある点から、それはちょうど10年ほど前になるごろから…新たな獣が急激に増えた。」

ここはリコが把握していない点だった。

記録師は記録を保管してはいても、それは主にただの事実の羅列でそこから何かを分析しすることは記録師の仕事の範疇ではなかったからだ。

「それまでも、いくつか普通の獣の形状と違う特徴を持つ獣は現れていたらしい。

だがここ10年でその出現率が急激に上がったんだ。

新たな獣は、本来の獣が持っている特徴とは全く別の姿形をしていた、奴らは本体に心臓がなく、そしてその多くが、地域に伝わる伝承に基づいた姿かたちをしていた」

リコは自分の記録の伝承型の記録をたどってみた。確かに、レンドの言う10年前よりさかのぼった記録に伝承型は多く存在しない。

「多くの人間はそれが神の使いだ、とかうちの地域の言い伝えは本当だった。と言い続けていたが、俺たちは、いや正しくは俺らの長はそう思わなかった。」

「長?」

リコはレンドに聞き返した。

だがここでレンドに逆にリコは聞き返された。

「なぜおまえは記録がたくさん残っているはずなのに、俺たちの記録がないんだ?」

リコは困った顔で答える。

「なぜか銀の爪の記録は少ないの、以前は記録師達もなぜか銀の爪には近づかないようにって言われていたらしいし…それがなぜか最近急に方針が変わったの」

レンドはあまり納得していないようだったが、話をつづけた。

「まあいい、俺達には長がいる、そもそも銀の爪は人間のもつ感覚を極限まで研ぎ澄ませたもの達の集まりだ、多くは五感に由来するがな、だが長は、五感に由来した能力を持たない。彼はただ俺たちを指揮し、だれがどの獣に向かうべきかや、獣の生態についてを調べている」

レンドは話しながらその時のことを思い出していた。

半年ほど前、長が珍しく銀の爪の全員を集めたのだ。


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