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五章之五 カラオケ会


 待ち合わせ場所、そこにはすでに、十人以上の二年七組の面々がいた。


「あっ♪きたきた」


「やっぽーい」


「じゅーりちゃーん」


 最初に気付いた三人組が、近づいてくる。


 樹理は嬉しそうに、三人と胸のあたりでハイタッチする。


 三人は蔵人と久也に気付いて、会釈する。


「山田瑠璃由でっす。配線が好きです」


「古里次郎進、精神年齢自称二百五十歳、最近精神科に通っています」


「吉川国松、前世は似顔絵師だったと自負しています」


 孝司がベンチから立ち上がり、挨拶に来る。


「相楽孝司、小学生の時に留年してるんで、先輩達と同い年です。さきほどは電話でのお誘いありがとうございます」


「あ、いやいや。よろしく」


 一彦が挨拶。


「山内一彦です。趣味はお昼寝と情報収集とリーク。どうぞよろしく、です」


「よろしく」


 雅がにっと笑う。


「渡辺雅って言います。サッカーいのっちっ。よろぴく、だっちゃ☆」


「『うるせぇやつだ』、だったか・・・」


「おしい、ッス・・・ラムちゃん知らないんスか?」


 久也が言う。


「え、わたし、ラム肉の匂いムリ・・・」


「ラム肉ってなんス・・・?」


 話を半端聞きしていた蔵人が言う。


「ラム・・・歌手か」


「あ、そのひとが流行ってたからつけた名前ッス」


「え、ラム?」


「そうッス」


「ほぉおん・・・」


「お湯かけたら性別変わるやつだよね?」


 みんなが樹理を見る。


「ラム、の?」


「・・・ん?」


「ああ、いいッス。いいッス」


「会長達は、どんなマンガ好きですか?」


「君は?」


「ムシナカズ・ゴウです。俺は『動物のお医者さん』が好きです」


「俺は『イタズラなKISS』がツボだ」


「「意外~」」


「樹理ちゃんの読んだんですか?」


「いや?自分で買った」


「「意外~」」


「マトリ・ヒロタカっ。『ドラクエ』大好きでっす」


「『ドラクエ』って何ですか?」


「ええっ?樹理ちゃん『ドラクエ』知らなくてよく生きていけるねっ?」


「ええっ・・・今度調べてみます」


「うんうん」


「僕、テンゲン君です。長松点玄。『エフ・エフ』が好きです」


「映像美~のやつだぁ~」


「点玄君はポーション、欲しい・・・あとチョコボ欲しい」


「チョコボール?」


「いえ、チョコボ」


「ほぉん・・・」


「あの~・・・高梨翼と申します。樹理ちゃんには、いつも妹がお世話になってます」


 丁寧な挨拶に、樹理が慌ててお辞儀を返す。


「すいませんっ。見覚えあると思ったら、リングちゃんのお兄さんっ。こちらも、日頃からリングちゃんにはお世話になっております。どうぞ、よろしく、です」


「いやいや、どうもご丁寧に」


「あ、あの、いえいえ、すいません」


「あの~、これ、さっきゲームセンターでとったんだけど、樹理ちゃんにあげる~」


「え」


「あ、僕、サヤ・アタル。これ、たれぱんだ」


「わ~♪いいんですか?」


「かさばるし・・・もらってくれると嬉しい」


「やった~♪ありがとうございますっ」


 たれぱんだのぬいぐるみを抱きしめ、嬉しそうにする樹理。


 蔵人は樹理を見て、桜山中を見る。 


「すまないね」


「いえいえ」


「ふんふん」


「俺、ミナミナ・エイトって言います」


「あっ。いい香り~。どこの香水ですかっ?」


「あ。桜紅茶だ」


「はい」


「え~、いいな~。もしかして、男女兼用のやつですか?」


「あたり~♪」


「え~、え~、どうやって入手したんですかっ?」


「僕、趣味でテスターしてるのん」


「え~、え~っ」


 英人の匂いをかぎだす樹理。


 久也が声を上げる。


「あなたっ・・・たたものではないわっ」


「はい」


「あら?・・・どこかで会ったことない?」


「ん?」


 数秒の間。


「「あ」」


「ん?お知り合い?」


 樹理が聞くと、久也と南名英人は互いを見つめ合いながら言った。


「「パーティーで会ったことあるかも・・・」」


 久也と英人は名刺を交換する。


 棗が頃合いをはかり、満に言う。


「え~っと・・・あとは・・・」


「あ、うん。あとは現場集合」


「さっきから気にしてたが、『現場』、じゃなくて『現地』、だと思う」


「まぁ、いいのいいの。そうとも言う」


「あ~・・・うん。じゃあ、みんな、えーっと・・・あっちらへん」


 棗はカラオケ店のある方向、あっちらへん、を指さした。




 * * *


  


「スズキ・アッシュがスイッチ入れまーす」


 ブツン、キーン、とマイクのスイッチが入る音が響いた。

 スイッチの入ったマイクを受け取るシバ・ミキナリ。

  

「《竜の灰と書いて、『アッシュ』君です》」


「あ。現場で自己紹介って、こんな感じなんですね」


「そうだ。今は、『現場』だ」


「『現地』、でもいいと思うけど?」


 カラオケ店の五十人部屋を陣取った面々。


 残りの二年七組全員が先にこの部屋に集まり、待っていたようだ。


 樹理たちが注文するのを待ってから、今まさにカラオケ会が始まろうとしている。


「《え~、っと・・・シバ・ミキナリでっす。僕、思ったんですけど、棗君か会長のどっちかに『はじめます』して欲しいんですけど?》」


「さんせーいっ」


 棗と蔵人以外、注文をとっていた店員さんも入れての賛成。


 棗と蔵人が同時に言う。


「「なぜ、店員さんも?」」


 に、っと笑って理由を言わない店員さん。 

 

「「ああ・・・うん・・・まぁ、いいか・・・」」


 ふたりは一番近くにあったマイクで言う。


「「《それじゃあ、はじめまーす・・・》」」


 歓声めいた、めっちゃいい返事が全員から返ってくる。


 活気のあるざわざわとした室内。


 楽しそうな樹理と久也を見て、マイクをテーブルの上に置くふたり。 



「《え~、っと・・・やっと始まったカラオケ会ですが、みなさん、自己紹介しながら~の・・・あ~・・・要は、打ち合わせ通りに~」


 芝幹成の言葉に、めちゃいい返事の二年七組全員。


「《司会の~・・・・・・芝幹成でっす。照れ屋で恥ずかしがりです》」

 

「ためたなぁ~」


 と、誰かが言ったあたりで、棗がマイクを取る。


「《え~っと、打ち合わせっていうのは、自己紹介の順番を決めてもらっていたわけだけれども?お兄様から、ってことで》」


「「「え」」」


 雑談していた蔵人と久也と樹理が棗を見る。


 サカリ・アイが少し遠くから声をかける。


「何歌うかも、何となく話しておいたよ~」


「ええっ・・・ほ~・・・」


 マイクを蔵人に渡す棗は、飲み物を飲んで「意外だ~」と呟いた。


「《三浦蔵人。眉目秀麗、そんなやつだ。よろしく》」


「よっ、かいちょー」


 タケカワ・シンゴが野次る。


「《お前、か・・・》」


「始業式を思い出す~」


「うんうん」


 アリスガワ・マコトとサカキ・コクハクが、顔を見合わせる。


 それを聞いていた数人がなんとなく頷いている。


「《工藤久也、ぴっちぴっちの高校三年生。趣味はキスよっ》」


 久也の自己紹介に、会場がどよどよする。


「《三浦樹理、深夜番組のコメディが好きです。あと、お茶系統》」


「お茶系統って、茶菓子とかも入れてって意味?」


 葉介の質問に樹理は笑顔で答える。 


「《はいっ。いいのあったら、教えて下さいっ》」


「「オーケー♪」」


 複数人の返事。


「じゅうはっさい、ゆめまくら、と書いてサカリ・アイが曲を入れてあげましたっ」


「一番最初はなーんだ?」


 満が唐揚げを食べながら聞く。


「『ひと夏の経験』」


「あ。その歌好き~」


「僕、リ・カリュウです。中国ではフョアロン。一緒に樹理ちゃんも歌おうよ~」


「え~っ・・・なんだか照れくさいです・・・」


「いーからーいーから」


 樹理をひぱって舞台にあげた李花龍がマイクを渡すと、曲が始まる。


「「《あーなーたーに おーん、なーのこーの、一番、大切・なー、ものをあげるわ~ ちいさーな むーねの・おーく・にしまぁたー、大切な~、ものをあげるわ~」」


 何気に耳に入ってきて、その歌詞の内容に何故か動揺してポテトに手をのばす棗。


 ケチャップをつけて口の中に入れる。


 蔵人は久也に明太子スパゲティを「あーん」と食べさせてもらっている。


「僕も、『あーん』ってして、あげようか?ナポリタンとミートボール、どれがいい?」


 満が棗にきき、棗がただ口を開けるので、ピザを口の中に入れてあげた。


 口からはみ出そうになった部分をやっと自分で掴む棗は、樹理の歌に聞き入っている。


 曲が終わり、樹理が席に戻ってくる。


「はぁ~・・・ちょっと緊張しました」


「楽しんでる?」


「はいっ。とってもっ」


 コハシ・マブヤとキリツボ・タツヤが挙手をして言う。


「はーい、次僕達のユニットでっ☆」


「なんだと思う?」


 ふたりは、片手を後頭部あたりに持ってきて、上にあげる。


「うん、アレだ」


「絶対」


「《小橋誠武也と桐壷竜也、『UFO』歌いまーす》」


 曲が始まり、なんとなく一体感が出てくる。


「「《ユー・フォーっ》」」


 の所で、ほぼ全員があのポーズを自然にしたが、何人か照れくさそうだった。


 その曲のふりつけが、ほぼ完璧な誠武也と竜也。


 そのあと、ふりつけのレクチャーが始まる。


 ドリンクのおかわり、大量注文。


「あ。監視カメラだ。こうゆうのって見てるのかな?」


 アカシ・ナルがそう言った。


「明石名留君は、確か機械に弱いと言っていたよねぇ・・・」


 呟くような、ぼやくような言い方をしたのはエモト・ユウギリ。


「夕霧君は機械に強いの?」


「いいや、全然」


 と、江本夕霧は苦笑。


「会長、会長?」


「なんだ?」


「サオトメ・コテツですけど、監視カメラのひとに挨拶したらダメでしょうか?」


「知らんな。するなら退室覚悟だ」


「ほうほう。じゃあ、電話来たら、実行してみよう」


「《おいっす。アガタ・シロウっ。仏具店の息子っ。線香くさいけど、そんな僕を好きでいてっ》」


「「好きだーーーーーっ」」


「《ありがとう。ありがとう。次、僕、歌います》」


「「何をーーっ?」」


「《ミッドナイトシャッフル》」


「「わーっ」」


「あれ、好き~」


 シジ・リズキが言う。


「どんな曲ですか?」


 樹理が聞く。


「『てーんしーのよーおなー、あーくーまーのー、えーがおー』」


「ああっ。知ってる~・その部分だけ歌える~」


「あ。僕、四氏利図記。お味噌汁が好きです」


「え~」


 棗が利図記を見る。


「なんのお味噌汁だ?」


「菜の花のお味噌汁が一番好き~.。あと、カキノモト。紫色の菊の花」


「なんと、なっ?」


 武河慎吾とセキヤ・トモハルが言う。


「僕、豆腐とわかめ」


「俺、ほうれん草とベーコン」


 樹理が嬉しそうに言う。


「あ、私、さつまいもが好きです」


 みんなが樹理を見る。


「え・・・なんで?」


 ふんふん、とうなずく棗に、樹理が聞く。


「棗先輩は?」


「あさりの味噌汁だ」


「僕、しじみっ」


 満の方を覗き込む樹理。


「身、食べます?」


「え~・・・時々」


「あれは食べるだろ」


「俺もあさりもしじみも食べるぞ」


 葉介と孝司が話に入ってくる。


 意外そうな棗。


「俺、あさりでも食べない時あるのに・・・」


「栄養いっぱいあるのに・・・」


「ちまちましててかっこ悪い気がするぞ」


 え~、に点々がついたブーイングが棗の周りで起こる。


「あれをちまちま食べるのは、かっこいいんだよ?」 


「お前ら、エビのしっぽを食べる族か」


「「食べる~」」


 芝幹成がスイッチの入ったマイク越しに言う。


「《貝とエビのしっぽには、頭の良くなる成分がいっぱいです・・・》」


「「じゃあ、食べる~」」


「「すでに食べてる~」」


 蔵人が言う。


「俺は・・・今日から変わろう・・・」


「お兄様が言うなら、僕も変わります」


 てのひらを一気に返す棗の発言に、近くにいた者達の苦笑。 


「そう言えば、はまぐりより大きいしじみをテレビで見たことあるわ。それを食べれば?」

 

 久也の提案。



 数秒の、間。



「「なんか・・・違う気がする」」


「なぜ?」


 関屋友春が言う。


「《ワンマン、いかせてもらいます・・・関屋友春です》」


 芝幹成が言う。


「《今日のために、歌いこんできたそうです・・・それでは歌っていただきましょう。関屋友春が歌います。『また逢う日まで』・・・》」


 セリフめいた紹介が終わると、ちょうどいい具合で歌に入る。


 曲の盛り上がり場。


「《ふたりで~・ドアを・し~め~てぇ~》」


「のびが、いいね」


 と、誰かが言う。


 曲が終わり、拍手が起こる。


「いいわっ。なんとなく、つかめてきたわ、カラオケっ」


 久也が言うと、十八歳夢枕が久也に聞く。


「次、先輩も歌います?」


「私、歌いたい曲があるのっ。予約、ってやつしてくれる?」


「オッケーです。なんでしょ?」


 リモコンを手に取る夢枕。


「ヴィバルディの四季・春よっ」


「「ええっ?」」


「なぜ・・・?」


「検索かけてみまーす」



 数十秒後。



「ないッス・・・」


「なぜなの?全部の曲入ってるんじゃないの?」


「ええっ・・・そうじゃないと思うです」


「そうなの・・・なんだ・・・じゃあ、いいわ・・・」


 点玄が挙手。


「点玄君、工藤先輩のために、ヴィバルディ歌ますっ」


「俺も知ってるから、任せて下さい」


 合が言うと、樹理も胸の前でこぶしをにぎる。


「久也君っ、樹理も歌ってあげる~」


 その曲を知っているもの全員が、もちろんそれに感動した久也も、鼻のあたりの発音でヴィバルディの四季・春を歌い出す。


「《鈴木竜灰、ボイスパーカッションをしてあげます》」


 偶然居合わせた店員さんが一番近くの翼に言う。


「わたくし感涙しそうです。以後、お見知りおきを。いつかまた別の場所で会った時に、挨拶させて下さい」


 翼がもらった名刺には、『東上院』と記してあった。


 翼は店員さんが去ったあと、隣に座っている雅に肩を寄せ名刺を見せた。


「これ、何て読むの?」


「ん~・・・知らんぴょん。『ヒガシウエイン』じゃない?それか『アズマカミイン』」


「どれどれ・・・ああ、『トウジョウイン』って読むんだよ」


 桜山中の応えに、ほ~、と感心する雅と翼。


 名刺を見直す翼。


「あ。ローマ字で『トウジョウイン』って書いてあるや・・・」



 同じ頃、別の席。


 蔵人と棗の会話。


「あのな・・・」


「え、はい・・・」


「お前、樹理のこと本気なんだな?」



 数秒の、間。

 

 なんとなくなヴィバルディの四季・春がその場を包んでいる。



「本気です・・・」


 数秒の、間。


「そうか・・・」



 蔵人は飲み物を飲んだ。


 棗はテーブルのどこか一点を見つめ、動けない。


 蔵人はグラスをテーブルに置き、少しして棗の肩を叩いた。


「『お兄様』と呼ぶのを許そう」


「え」


 棗は蔵人を見た。


 蔵人は棗を見ないようにしている。


「ただ、しばらくは違和感とヤキモチでお前を心の中で睨むと思う・・・」


「お兄様・・・」


「まぁ、いいさ・・・樹理が選んだ男だ・・・」


 蔵人は怖い目つきで棗を見ると、掴んでいる肩をぐいっと引き寄せて、耳元で言った。


「卒業するまで、そういうことするなよ?」


 棗は軽く目を見開く。


「お兄様・・・少々、お話が・・・」


「なんだ?」


「お耳、拝借はいしゃく


「ほう」


 棗は蔵人に耳打ちをして、何かを言った。


 蔵人は意外そうな嬉しそうな顔をした。


「ほうほう・・・」



 『愛はかげろう』


 『異邦人』


 『想い出がいっぱい』


 『桃色吐息』


 蔵人がまんざらでもなさそうに、『すみれ September Love』


 『人生いろいろ』


 『聖母たちのララバイ』


 『島唄』


 『YHA YHA YHA』


 『ラヴ イズ オーヴァー』


 『年下の男の子』


 『シルエット ロマンス』

 

  葉介と孝司がやっと入って、『ギザギザハートの子守唄』


 『kiss me』


 『夢の途中』


 『飾りじゃないのよ涙は』


 もうすぐ電話が鳴るね、と話し、『星屑ロンリネス』


 電話が鳴り、あと十分です、と告げられお礼を言って話し合い。



「最後の曲、決めてたんでしょ?」



 棗の質問に、にぃと笑う面々。


 曲が鳴りだし、芝幹成が言う。


「《それではみなさん、第一回カラオケ会最後の曲です。みんなで歌おうぜーーっ》」


「「うおーーーーーっ」」


「《みなのもの、立ち上がれーーっ。舞ってしまえーっ》」


「「お前もだーーーっ」」

 

「《シメはモー娘。のあの曲だぁーっ》」


 全員が踊り騒ぎ、ウォウウォウの部分で椅子の上にのぼる者まで出没。


 曲が終盤。


「《あのセリフは本人の希望により~、早乙女小鉄が言いま~す》」


 マイクを渡された小鉄は椅子の上にのぼり、監視カメラに向かってキメ台詞をした。



 監視カメラを見ていた警備員はこの時、録画テープが欲しいなぁと思った。



 実に楽しそうに、小生意気な表情で小鉄は言う。



「《love マシーン・・・》」



 間が数秒あって、歓声。




 余韻にひたりながら、みんながどやどやとホールに移動する。


「先に外に出てるね~」


「うわ~、空気なまぬるっ」


「あ~・・・頭がくらくらする~」


「俺、ぼーっとするぅ」


「え・・・今さっきカラオケした?」


「映画見たあとみたいな現象?」


「点玄君、みんなに感謝してるーーっ。ありがとね~っ♪」


「今日は楽しかった~」


「写メ撮ろ~」


 と、外に出た面々。




 支払を待っているロビーにいる樹理が言った。


「監視カメラの映像、DVDとかにできればいいのになぁ」


 それを聞いていたフロントの店員さんが、えっ、と言ってはっとした顔をした。

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