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夢を見た。
灯りひとつ無い薄汚れた路地裏にローブ姿の人影が2つ。
背格好から、華奢な女性と子どものようだ。
2人ともすっぽりと深くフードを被っているため、顔は見えない。
女性は地面に膝をつき、子どもをそっと抱き締める。
『あなたは自由になるの。言うことを良く聞いて、危ないことはしては駄目、目立つこともしないこと』
優しい響きの美しい声だ。
『おかあさまは?』
子どもは不思議そうに訪ねる。
『お母様は一緒に行けないの。けれど、お母様はずっとあなたを想っているわ』
女性は子どもの手に何かを握らせる。
『愛しているわ』
ふわりと風にフードが巻き上げられ、女性の顔が覗く。
プラチナブロンドの髪に緑の瞳。
(私?)
―――――――
「変な夢…」
目が覚めて、もう一度ローブの女性の顔を思い出そうとする。
瞳の色がリディアナのものより透き通るような緑色だったが、それ以外は瓜二つ。
そこでリディアナは自分の体の違和感を感じる。
(あれ?体が熱い…?)
今日はリディアナの誕生日。
(クラウドさんが来るから、準備しないと…)
少し体の奥に熱っぽさを感じるものの、発熱しているわけではなかったため体調不良というわけでもなさそうだ。
今日はどこでお茶をしようか、天気も良いしやっぱり外かな。
うん。いつもの草原ではなくて、少し歩くがお気に入りの花畑にしよう!
そう考え、準備をする。
(籠と、ポットとカップと…)
大きな布を敷いて、そこでゆっくりするのがいいだろう。
敷物を取りに足を踏み出したとき、先程まで燻っていた熱がどんどん大きくなる。
心臓がどくんどくんと脈打つ。
(あ、れ…?)
ふらりと体が傾げ、思わず掴んだテーブルクロスを巻き込む形で倒れ込む。
クロスの上に用意していたポットとカップが床に落ちて大きな音を上げた。
直後。
扉が壊れそうな勢いで開いた。
「リディ!」
蹲るような体勢から床を向いていた視線を上げると、久し振りに見る紫色。
「…ク、ラウド…さ…」
リディアナの顔を見たクラウドは驚いたように目を見開いていた。
「リディ、貴女は…いえ。それよりこれは一体…」
「…し、んぞうが、熱い…の、…焼け…てる…みたい…」
途切れ途切れに伝えたところで、リディアナの意識は遠のいた。




