5,初心者が陥りやすいミス
ここまで読んできた人の中には、既に何度か実際にごいたを打ったという人もいると思います。
この文筆では、ルールとかかりに応える――かかりを確認し合うこと――の大事さぐらいしかやっていません。
そのためある程度の勝ちまでしか繋がっていないと思います。
しかしそれだけではありません。もしかしたらごいたをやり始めた人が陥りやすい落とし穴に嵌った人がいるかもしれません。
ごいたにはそんな悪手――通常打ってはいけない手というのが存在しています。この項では、その中でも初心者がやりがちなミスを紹介します。
1,一枚しかない香を打つ。
前の項ではかかりを確認するために複数持っている駒から打てと言いましたが、当然そんな状況ばかりではありません。手持ちの駒がシ以外一枚ずつしかなかったり、八丁――八枚全て違う駒だったりする状況もあります。そんなとき、なんでもいいからと香から打っていませんか?
この一枚しかない香から打ちはじめるのは有名な悪手です。
香の特性として、王で切られることはなく、香だけでしか受けられない駒だというのは前に説明しました。
そんな駒が敵のどちらかの手持ちに三枚もあったらどうでしょう。
もしそんな貴重な香を一打目に打ってしまったら、敵は嬉々として三香で攻めてくるでしょう。もう相手の上がりが確定です。
もちろんそんな状況はそこまでないのですが、香二枚を敵のどちらかが持っている状況はよくありますし、敵の二人で三枚持っている状況もそれなりにあります。
自分が一枚だけ、ということは必然的に敵が多くの香を抱え込んでいる確率が高いということです。
たくさん持っている香はなんでも貫く矛になりますが、一枚だけある香は唯一それを防ぐことができる盾になります。
もちろん、相方が初手に香を打ってきたときは、自分が攻め駒にその香を出してあげましょう。
初手に出すということは、香は二枚か三枚持っている可能性が高いからです。
2,初手にシを打つ
シから打ちはじめる行為。これも悪手と見なされる場合が多いです。
駒はそれぞれ総数が異なります。その中でもシだけは十枚もあります。つまり四枚ある駒と比べても価値が半分以下ということです。しかも枚数的にシだけはかかることがありません。両五シか六シ以上――つまりその時点で上がっている状態です。
つまり、最初にシを打ったとしても複数持っているのは当たり前であり、情報として非常に価値が薄いものです。
また、最初にシを打つ行為は相方にし攻めを誘うサインです。
もし自分はそのつもりがなかったとしても、相方はそう受け取らないでしょう。
間違った合図を出して相方を惑わせるのは良くありません。
3,上がりが確定していないのに必ず通る駒で攻める
これは人によっては意見が分かれるかもしれませんが、私はよくない手だと思います。
盤面が進むと必ず通る駒――全員がパスする駒が出てきます。そういう駒はなるべく三枚目の攻めまで残しておくべきです。
たとえばそれを二枚目で打ったとしても、まだ二打目なので上がることはできません。もう一度攻める必要があります。
しかも二枚目で件の駒を打たなかったときの待ちはこの時点で最大三つ――必ず通る駒は他の人から攻められることがない駒なので勘定に加えない――はあるのに対し、打ってしまった場合の待ちは最大で二つまで減ることになります。
必ず通る駒を打つときは必ず上がれる状況にしましょう。
もちろんそんな駒が二枚もあるのであれば二枚目から、三枚以上持っていたら最初からそれで攻めて上がりを取りましょう。
4,相方の攻めを受ける
前項でも説明しましたが、味方の駒を受けるのは原則的に悪手です。
例え同じ駒を持っていたとしても、それを味方の攻め駒に対してではなく、かかりに応えたり、最後に上がってもらうために使いましょう。
以上四つが初心者が陥りやすいミスです。
しかし作戦や状況によっては、これらの悪手が妙手として輝く場合もあります。
例えばし攻め。初手からシを打ち、もし行う場合は味方のシを受けてシで攻め返す。
この流れがし攻め開始の手順なのですが、二つ目と四つ目の考えから逸脱していることが分かります。
必ずしも、悪手が悪手のままではなく、やり方や手順によっては一つの手として成立します。
とは言えこれらはまだごいたに慣れていないうちは、これらに手を出すのはやめておきましょう。“生兵法は大怪我の元”です。