4話 地獄
本日も書いていきます。
今日は金曜日。嬉しいですね( ̄∀ ̄)
「キャアアアアアアアッ!!」
大きな悲鳴が響き渡った。
それと同時に、自分の目が覚めた。俺は、どのくらい寝てたんだ?それと、さっきの悲鳴はなんだ?
いろいろと頭の中の考えがごちゃごちゃした状態での寝起きだった。
母親と父親を探しに下の階まで行ったが、今は旅行中だという事を忘れていた。
その時、外から声がした。
「やめて!離して!」
さっきの悲鳴をあげた女性の声と同じ声だった。
俺は、ただ事ではないと感じ、そのまま冷たいドアノブに手をかけて、ドアを開けた。
ドアを開けた先は、まるで地獄の様な風景だった。
数々の建物が焼かれ、破壊されている。
それに、人々が逃げ回っている。
その時、一人の女性が目に入った。
「た、助けて!エ、エルフが…。エルフが襲ってきたの!!」
そして、次の瞬間、その女性は後ろから何かで突き刺され、血を地面へ吐き出して、その場に倒れた。
返り血が、少し自分の服にかかった。
「なっ…。」
俺は、思わず声を出した。
そして、女性が倒れた先には、銃剣を構えたエルフの兵隊が立っていた。
「…。まだ、生き残りが周辺にいたか。」
その瞬間、俺は、自身の死を感じた。そして、思わず声をあげ、後ろへ倒れてしまった。
「うわぁっ!?」
その時、手に冷たい感覚が伝わった。その感覚の正体は、剣だった。
俺は、その剣を咄嗟に握り、エルフの兵隊に向かって構え、突き刺した。
その瞬間、エルフの兵隊は声をあげた。
「ぐああっ!?…きっ、貴様っ…。」
俺は、もう一度勢いよく突き刺した。死んだ。自分の手にその感覚が伝わってきて、理解した。
俺は、その感覚に気持ち悪さを感じ、その場に吐き出してしまった。
そして、回りを見て、俺は安全な場所を見つけに行く事をした。
俺は、学校の方へ走り出した。
「はあっ…はあっ…はあっ…。」
一体、何が起こっているんだ!?
俺には、今陥っている状況に理解が出来ない。しかし、俺は走り続けた。
その時、足元で何かがガコンッ!と、音をたてた。どうやら、エルフの兵隊の兜が落ちていたようだ。俺は、周りを見渡すと、こちらに銃を構えているエルフの兵隊を見つけた。
そのエルフの兵隊は、大声でこう言った。
「こっちに人間の生き残りがいるぞー!殺せー!」
まずい、このままじゃここで死ぬ!
俺は、建物と建物の間を進み、裏路地から行く事にした。ガラスの破片が、足に当たって血が出る事があったが、そんな事には構ってはいられなかった。
早く、学校に向かうんだ。このままでは、確実に死んでしまう!この恐怖心が、俺の足を動かした。
そして、俺は裏路地を抜けた。その時、声がした。
「やめろ!それ以上、近づくな!」
マルクの声だ!俺はすぐに分かった。今、マルクは三人のエルフの兵隊に囲まれていた。
俺は、とっさに叫び声をあげ、一人のエルフの兵隊を後ろから斬りつけた。
「うおおおおお!」
グシャッ。
また、気持ち悪い感覚が手に走った。
「お、お前、カーレか!い、生きてたのか!!」
マルクは、一人のエルフの兵隊を斧で殺し、そう言った。
俺は、最後の一人に剣を突き刺した。
「ぐぁぁ…。こんなガキごときが…。」
エルフの兵隊は、うめき声をあげて、その場に倒れた。
「カ、カーレ。ありがとな。」
「礼は後にしろ!それより、今は何が起きてるんだ!?説明してくれ!」
「エルフ共が、この国にほぼ全勢力で襲ってきやがったんだ…。訓練が終わって、少し時間が経ったら一気に攻め込んできやがった!」
「や、やっぱりそうだったのか…。そ、それより!早くここから逃げるぞ!ここにいたら、死んじまう!」
「待て…俺、足にケガを負っちまったんだ…走れねぇ…!俺なんか、荷物にしかなんねぇ!だから…お前だけでも、逃げてってくれ…。」
「な、何馬鹿な事言ってるんだ!?お前ぐらい、俺が背負ってってやる!だからここから逃げるぞ!」
「頼む!カーレ!ここで二人野垂れ死にするよりは、生き残れる奴が生き残った方がいい!もうすでに、奴らの追手も来はじめてる…。ここは、俺がなんとかしてやる!さっさと逃げろ!」
「マ、マルク…。……分かった。絶対に、生き残ってやる。」
マルクは、少し笑ってこう言った。
「へっ…いい返事だな。じゃあ、分かったらさっさと行けっ!」
俺は、小さく頷き、そこから走り出した。その時、マルクの声が響いた。
「かかってこいっ!!このクソエルフ共め!俺が全員ぶち殺してやる!」
そして、俺はもう一度学校へ向かいだした。
マルクと会った辺りから、だいぶ走った。俺は、涙を堪えて走っていた。そろそろ、学校に着く!俺は、足を叩き、もう一度走りだした。
その時、エルフの声が後ろからした。
「ほう。まだ生き残りが残っていたか。褒めてやる。」
俺は、そのエルフの体を見て目を疑った。
そのエルフは、俺よりかなり背丈が高く、猫の顔をし、大きな体をしていた。さらに、武器は巨大な薙刀を使っていた。
まずい、コイツはただのエルフの兵隊じゃない!俺は、心の中でそう感じた。
しかし、俺は、声をあげた。
「だ、黙れ!お前らは、よくもここの人達を、俺の親友を殺しやがったな!絶対に…絶対に殺してやる!」
俺は、剣を構えた。
そのエルフは口を開き、言った。
「哀れな市民だ。しかし、生き残っていたという事は、少しはやれるという事だな?」
そのエルフは、刃の部分を後ろにし、言った。
「さあ、殺しに来てみろ。小僧!」
俺は、剣で奴に斬りかかろうとした。
しかし、奴の薙刀の柄の部分が俺の腹に勢いよく突き刺さった。
「ぐああっ!」
そして、エルフは薙刀の柄の部分で俺を叩きつけ、俺の動きを封じた。
エルフは、言った。
「やはり、弱かったか。仕方なかろう、お前もここで死ね。」
俺は、大声で言った。
「ちくしょう!無害な人達まで殺しやがって!クソっ、クソっ、クソおおおお!」
俺は、自分の弱さに涙を流した。同時に、自らの命が途絶えてしまう事も覚悟した。
しかし、その瞬間、馬に乗った白い騎士が現れた。そして、俺を掴み、馬に乗せた。
エルフが言った。
「貴様っ!アレクサンドルだな!?逃すものか!」
白い騎士が言った。
「今、貴様と戦っている余裕など私にはない!しばらくは、休戦だ!」
その瞬間、白い騎士は煙を発する球を投げつけた。そして、白い騎士は俺に言った。
「しっかり捕まっておけ!行くぞ!」
馬は、ヒヒーン!と声をあげ、走り出した。そして、俺はそこから意識が薄れてった。
そして、しばらく時間が経ち、俺は目が覚めた。急いで周りを見渡すと、崩れかけた建物の中にいた。そして、そこには白い騎士もいた。そして、白い騎士は俺に向かってこう言った。
「ようやく、目が覚めたか?ここなら、しばらく安全なはず。…だが、私も行かなければ行かない。私の隠れ家から、この剣と、マントを持ってきた。マントを羽織っておけば、夜の寒さぐらいは凌げるだろう。そして、この剣はお前が使うんだ。お前の、剣の腕のよさは少しだけ分かっている。はじめは使いづらいかもしれないが、じきにいい武器になるだろう。」
俺は、そこで巨大なクレイモアと、茶色の少し汚れたマントをもらった。
俺は、その騎士に色々と問いたい事はあったが、とりあえず頭を落ち着かせて、一つ聞いた。
「こ、ここはどこなんだ?俺はあの時、エルフにやられて…。」
白い騎士は、答えた。
「もう、あそこからはだいぶ離れた場所だ。とりあえず、残ってる村に行き、泊めてもらった方がいいだろう。そして、あのエルフは、エルフ軍の大将をつとめている男、リッカルドだ。…しかし、私もそろそろ行かないとだ。お前なら、生き残れると信じている。」
白い騎士は、馬に乗り、準備をはじめた。
そして、俺は急いで、どうしても聞きたかった事を聞いた。
「ま、待ってくれ。最後に一つ…あんたは、何者なんだ?」
白い騎士の男は、答えてくれた。
「…私は、お前がいた国の王子。アレクサンドルだ。すまないが、私はもう行くことにする。」
白い騎士は、手綱を引き、馬を走らせた。俺は、その白い騎士を、姿が見えなくなるまで眺め続けていた。
「王子…だったのか。」
俺は、そう呟き、立ち上がった。
そこから、俺の長い旅が始まったのだ。
結構時間かかりました…。
エルフの設定についてですが、エルフは動物の顔をした者や、人間と同じ顔をした者がいます。しかし、人間の顔をしたエルフは、耳が少し大きく、尖っています。そこから判別可能です。