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怪奇討伐部Ⅱ  作者: グラニュー糖*
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レイン登場

第四話 路地裏の殺人鬼



いつもどこかに悪魔がいる『コルマー』。そんな街の路地裏にもやはり悪魔がいた。しかし一人は倒れている。

もう一人の手に握られているのは赤黒く光る二本の剣。腕と良い勝負の細さの剣と禍々しいオーラを放っており、いかにも呪われてますというような剣だ。彼がそこに倒れている悪魔を倒したのだ。

彼はこの路地裏に似合わない純白のマフラーを翻し、闇へと消えていった。



「バノンとコルマーは魔王城の城下町なのです」


ハレティが淡々と説明していたことを簡単にまとめるとこうだ。彼はいつも長々と話をするのだ。


「しかし、いくら城下町だからと言って平和ではありません」


まぁここは魔界だから仕方ないと私は思った。


「最近殺人鬼がいると噂があるので気を付けましょう」


だから魔界だから仕方ないでしょ。そんな奴絶対いると思ってたもん。


「彼の名は『レイン』。別名『氷炎の剣』(アイスフレイムソード)と呼ばれています」

「中二病くさいな。しかもそのままじゃん」


ヘッジさん、それは禁句です。

ちょっとした(一晩明かしたが)森を抜け、騒がしい街が見えてきた。あれがコルマー。ハレティが亡くなった場所。殺人鬼と関わらないように通り抜けよう。


「さすがコルマー。騒がしいな」

「えぇ。昔とは大違いですねぇ。あんなに荒れてたのに」


何この爺くさい会話。というかヘッジさん来たことあるのかな。それとも噂で聞いたのかな。

戦闘が起きぬよう、あまり人がいなさそうなところを歩いていると、私たちは路地裏の近くを通っていた。

ここって……。


「……誰だ、お前ら」

「ハレティ……こいつは……」

「……噂の殺人鬼です。逃げましょう、スクーレ!ヘッジさん!」


ハレティは叫ぶなり、ペンダントへ戻った。ちょっ、自分だけ安全圏かよ。ヘッジさんは私をお姫様だっこすると、路地裏を駆け抜けた。

残された殺人鬼は走るヘッジさんを見ながら呟いていた。

「スクーレ……やっと見つけたよ」と。


「はぁ、はぁ……ここまで来れば大丈夫だろ」

「あの……ありがとうございます!」

「当然のことをしたまでだ」

「逃げ切ってないぞ」

「「え?」」


後ろを振り向くと路地裏の幅ギリギリのサイズの大きな蝙蝠のような翼を生やした殺人鬼が飛んでいた。翼の大きさは、持ち主の魔力の強さを表している。こんなに大きかったら……大ピンチじゃないですか!!


「……殺すなら俺を殺せ」

「殺してほしいならオレはお前を殺す。だが、用があるのはこっちなんだ」


殺人鬼は私の方に指差した。私、何かしたっけ?


「スクーレ……お前は覚えていないと思うが、昔ここに来たことがあるんだぞ。オレとお前が出会ったのは雨の日だった。その時お前が現れてこのマフラーをくれたんだ。覚えてなかったらそれでいい。オレはもう一度お前に会って礼がしたかった。ありがとう」

「あ……はい」


私は覚えていた。あの雨の日、寒さで凍え死にそうになっていた青年にマフラーをあげたあの日の出来事を。

まさかあの人が殺人鬼だったなんて……。しかもハレティが警戒する人だったなんて。


殺人鬼は旅人風の黒い布を脱ぎ捨てた。後ろにかき上げた金髪に少しだけ前髪として飛び出した黒髪。首には白いマフラーが巻かれている。あとはホストのような服装だ。どうして殺人鬼が蝶ネクタイつけてスーツ着てるんですか……。


「変な格好だな」

「うるせぇ。お前だってなかなかだろ」

「もうみんな変でいいよ……」


もう何だこれは。私は「そろそろ行きましょう」と言った直後、いきなり後ろから抱きつかれた。そして首筋には細い剣。あの、なんか人質感半端ないんですが。


「オレも行く」

「「は?!」」

「殺人鬼なんて肩書きはオレは嫌いなんだ。しかしオレは悪魔。殺すことを楽しんでしまった。それも暇潰しとして。ま、殺してきたのは悪人だけだがな。だから……更正のためにもオレもついていく。いいだろ?」


殺人鬼の言葉を聞いたヘッジは、怪しむように口を開いた。


「本音は?」

「スクーレと行きたい」


何だよこいつ。しかも離してくれないし。助けて、ハレティ!!


「ふふ、呼びました?」


光り輝くペンダント。そこから現れたのはハレティだ。殺人鬼は驚いてバランスを崩し、尻餅をついてしまった。

細身の剣は『カラン』と音を立てて地面に落ちた。

私は隙を見てヘッジに駆け寄る。


「あいたたた……」

「レインさんですね?」

「……名前までバレてるのか」

「私はハレティ。見ての通り幽霊ですから殺せませんよ」

「殺すつもりはない」


殺人鬼……改め、レインの言葉にハレティは笑顔を見せた。


「それは光栄ですね。で、どうするのですか?ついてくならそれでいいですよ。どうします?」

「行く。少しでも力になれるなら……な!」


そう言い放ったレインの瞳には光が灯っていた。



今日はレインが教えてくれたホテルに泊まることにした。みんな同じ部屋だ。私は二人が帰って来る前にお風呂に入った。


「ハレティ。どうして助けてって言ってないのに出てきたの?」

「忘れたのですか?そのペンダント、意志疎通できるじゃないですか」

「あ……」


いろんなことがありすぎてすっかり忘れていた。黄のスフィアがあった美術館でそんなことあったっけ。


「「スクーレぇ……」」

「わっ、どうしたの、二人とも?!」


そこにはボロボロのヘッジさんとレインが立っていた。何があったの……。


「戦ってた」

「レインってば手加減してくれないんだぞ」

「とにかくお風呂に入ってきなさい!」

「ふふ、面白くなってきましたね」

「なってない!!」


二人がお風呂に入っている間、ハレティはどこからか裁縫道具を取り出し、二人の服を修復し始めた。

服に合う色の生地と共に虹色に輝く糸も混ぜている。これは?


「これは強化の糸です。彼らに足りない性質の糸を混ぜています。ヘッジさんには命中率を高める糸。レインさんには防御を高める糸です」

「へー」

「スクーレも怪我したら縫ってあげますよ。素早さを上げる糸を、ね」

「遅くて悪かったわね」


私はホテルの窓から外を見渡した。

さすが酒場。悪魔がたくさん出入りしている。たとえ勇者でもこんなに一度に相手できない。それにパーティの大半が悪魔なのであまり戦いたくないのだ。


「ぎゃー!水かけるんじゃねー!」

「ふっ、まだまだ子供だな」

「なにぃー!?」


お風呂から二人の騒ぎ声が聞こえる。このまま仲良くなってもらえたら嬉しいけど。ハレティもクスクスと笑っている。笑いすぎて針が手に刺さり、涙目になっている。ちょっとかわいいなんて思ってしまった。案外不器用だったりして。


「完成しました。あ、どうぞ、寝てもいいですよ。私が見守っていますから」

「うん。おやすみ」


私はハレティが見守るなか眠りに落ちた。まだ二人はお湯の掛け合いをしている。その騒ぎ声が子守唄になったのだ。明日はどうなるのかな。とても楽しみで仕方がない。

どうも、グラニュー糖*です!


ついにあいつが来ましたね。

レイン……!!

なかなかいいキャラしてると思いませんか?

後からデザインが少し変わります。まぁデザインというか髪型ですけど。


……あのね。画力が無いわけなんですよ。オールバックとか描いたこと無いんですよ。

昔、描いたら友達に「へたくそwww」って言われたんで、下ろしました。


次回!またあいつが姿を現します。

今日、明日はバイトなので昼から夜八時、九時まで更新はできません。


待ちきれないという方は、pixivで探してみてください!

次の話は『怪奇討伐部Ⅱ2』の三話目です。


では、また!

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