背中は任せた
第十九話 共闘
オレたちを取り囲む幽霊、妖怪どもはおよそ十匹ほど。一人五匹倒すのがノルマとなろう。
オレは太い方の剣を取り出し、魔力を高めた。一方、リストは鞭を取り出した。
「そんなんで戦えるのか?」
「お前は自分の心配でもしてろ」
「つめてぇなぁ」
オレは襲いかかってきた鬼火のような妖怪を斬り伏せた。
リストはろくろ首の首に鞭を巻き付けた。
「……おまっ、あの時の!!」
「あら、お兄さん。この鞭ほどいてほしいわぁ」
「誰がほどくか!!」
オレはろくろ首の方へ向かい、炎の魔法を唱え、投げつけた。ろくろ首は悲鳴を上げてどこかへ行ってしまった。
「何かデジャヴ……」
「さっさと倒すぞ」
「はーい」
残った八匹を倒すのに、そう時間はかからなかった。何せ、リストが驚きの強さだったからだ。
「ざっとこんなもんか」
「……お前、わりと強いな」
「そうか?そんなことで弱気になってちゃカリビアは倒せないぞ」
「何で知ってる?やっぱりお前はストーカーだったか」
「違う。断じて違う」
ため息をつきながら首を振るリストを見て、少しは人間らしいところは残っているなと思った。何のために悪魔になったかは知らないが、こいつなりの考えがあるのだろう。
「でもどうして手伝ってくれたんだ?放っとけばいつかオレが力尽きて……」
「幽霊、妖怪は元々人間だったものだ。だから倒す。それだけだ」
リストの言葉にオレの思考回路は一瞬固まった。
「死んでも見逃してくれないマジの悪魔がここにいるな!?こえぇよ、おい!」
「何とでも言え」
「背が低いくせに」
「……」
急に黙ったリストを見てオレは思った。地雷を踏んだな、と。しかしリストはそのままくるりと向きを変え、歩き出してしまった。
「お、おい!どこに行くんだよ?」
「スクーレがそろそろここに着く。オレはここから去るんだよ」
リストは下駄をカランコロンと鳴らして去ってしまった。
しばらくして、スクーレとヘラがこの森にやって来た。
「二人とも、どうしてここがわかったんだ?」
「たくさんの霊力を感知したからな。そしたらお前がいた」
よかった、二人はリストのことまで感知していないらしい。
安堵するオレにスクーレが近寄ってきた。思わずリストに質問された『人間をどう思うか』ということを思い出してしまった。
「ねぇ、レイン。カリビアさんは魔法が苦手らしいの。だから一番魔法を使うのがレインだから……一緒に戦ってくれる?」
「……いいぞ。もちろんだ」
オレは即答した。
ここに来たのはカリビアを倒すためなのだから。
どうも、グラニュー糖*です!
前回の『ゲーム三昧』の話ですが、カードゲーム系のやつなんですよ。で、ラスボスをワンターンキルという。
では、また!




