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怪奇討伐部Ⅱ  作者: グラニュー糖*
17/42

エンカウント

第十八話 カリビアの弱点



 光が収まったとき、私はベッドに横たわっていた。


「……スクーレ!大丈夫か?」

「ヘラ……」


 朦朧とする意識の中で、ヘラは心配そうな顔で私の顔を覗き込むのが見えた。そして落ち着いた私は、あの謎の空間であったことをヘラに話した。


「……急に遊んでくれなくなったのはリメルアのせいだったのか……」

「いや、どちらかというとアンタのせいだと思うけど……」


 下を向いて反省し始めたヘラを差し置いて、私は他のページも開いてみた。すると『カリビアさんとの修行』と書かれたページがあった。


「なになに?……『今日の修行も武器だった。昨日は剣のテスト、今日は槍の使い方。死神は魔力が多いから魔法が得意なのに武器なんて必要なのかな?もしかしてカリビアさんって魔法が苦手なのかな?あまり見たことないし、接近戦しかできないのかも』……ってこれ、カリビアさんの弱点?」

「え?どれどれ?」


 立ち直りが早いヘラは日記を覗き込んだ。すると、何かを思い出したかのように虚空から赤い本を取り出した。


「何それ?」

「『魔王軍の歴史』って本。この前魔王城に行ったとき、ライルさんに『本好きって聞いてるからあげるわ』って言われて貰ったんだ」

「へー……。でもなんでそれ取り出したの?」

「だってカリビアさんは魔王軍だったんだし」


 そう言いながらヘラは本を捲り始めた。さすが本好きと言われるだけあって、慣れた手つきだ。


「あった。『カリビア・プルト』……『武器使いの副隊長』?」

「そういえばレインと戦ってたときいろんな武器使ってたわね」

「『カリビアが得意な武器は、剣、槍、斧……いずれも接近戦に用いられる武器ばかりであった。また、彼は戦士族であり、魔力は極めて少ないとされている。現在、彼の消息は不明である。』……って、やっぱりまだ見つかってないんだな。あんなわかりやすいところにいるのに」


 接近戦を得意とする相手には魔法が一番効く。ということは魔法を一番使うレインを呼び戻さなければならない。


「魔法ならレインよね」

「ったく、いつもめんどくさいことしてくれるな。あいつは」

「いいじゃない。さ、探しましょ」

「くそぅ」


 そうして私たちはレインを探すことになった。しかしどこにいるのか全く検討もついていないが……。



__________



 クノリティアの奥にある崖の下の森。そこでレインは特訓をしていた。


「……どうしたらいいんだ……?!あのスピードとパワーを……」


 何やらブツブツと考えながら細い方の剣を振るうレインの元に、一人の人影が近づいた。


「誰だ?!」


 空いた右手に炎を灯し、警戒する彼に親しげに話しかける声があった。


「そんなに警戒しなくてもいいのに」

「お前は……!」


 ソフト帽を被り、灰色の着物を着て現れたのはサーカスで出会ったリストだった。


「どうしてこんなところにいるんだ?まさかつけてきたのか?」

「いや。俺は邪魔をするだけだ」


 人魔だというのに純粋な悪魔のオレに怯まないとは。

 もう少し聞いてみようじゃないか。


「……何でそんなことをするんだ?」

「前も言っただろ?人間を憎んでいるってことを。……お前にも聞きたい。どうして人間と共に行動している?」

「それは……」


 オレは答えに行き詰まった。例えば「殺人鬼としての自分を償わせるため」と答えれば、悪魔なのに?と馬鹿にされるだろう。では、どうすればいいのだろう?


「……昔、人間と一緒にいたから」


 オレは思わず口を塞いだ。

 昔?誰かといた?誰とだ?

 無意識で答えた言葉を訂正しようと必死で頭をフル回転させるが、言葉が出てこない。それどころか、リストはそれを鵜呑みにした。


「……オレも人間だったが、お前から見た人間はどうだったんだ?」

「オレから見た人間……?」


 そんなこと、考えたこともなかった。果たして、どうだろうか?違和感が無く、普通に話せる相手とでも言っておこうか?

 いや、もっと的確な答えがあるじゃないか。


「オレは人間のことを非力で自分勝手だと思っている」

「……そうか」

「でも!気さくで優しい人たちだとも思える」


 欠点があっても必ずどこかに良いところがある。それが人間だとオレは思っている。


「でもオレのような元人間もいるんだぞ?」

「お前は例外だろう?ほら、早くどっか行け」

「行くわけにはいかない」


 オレとリストのにらみ合いが始まった。しかしそれはすぐに終わることになる。


「……気づいたか?」

「……人魔でも感知できるんだな」


「「幽霊の力を!」」


 オレらは各々の武器を片手に気配を感じた方へ駆け出した。

どうも、グラニュー糖*です!


そろそろ春休みが終わりますね!

終わる前にゲーム三昧しとこ……


では、また!

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