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怪奇討伐部Ⅱ  作者: グラニュー糖*
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ムジナの日記

第十七話 あの日



「ムジナが教えたのか?!」


詰め寄るように聞いてくるヘラ。こんなに動揺している彼を見るのは初めてだ。それより気になることが一つあった。


「そうよ。あと……」

「何?」

「ヘラのそんな顔初めて見た」

「え……?」


急いで割れた鏡の方へ向かい、覗き込んだヘラ。そして今度は何を見たのか知らないが、驚いた仕草をし、シーツがぐちゃぐちゃになったベッドに力無く腰かけた。


「ど、どうしたの?」

「……俺、表情が変わった……?」


私たちに向かって蚊の鳴くような声で話すヘラの表情に嬉しさと驚きと焦りが見えた。


「確かに変わったわ」

「……そうか……」


今度は何か真剣な顔をして下を向くヘラ。一体彼の中で何があったのだろうか。


「なぁ」

「ん?」

「呪いが弱まったということは、どういうことかわかってるな?」

「……ぁ」


術者はハレティ。その呪いが弱まったということは、術者が弱ったということ。つまり、ハレティは限界に近づいているということだ。


「ハレティは肉体が無い。つまり今度こそ『存在が死ぬ』とどうなる?」

「……消滅?」


ヘラは静かに頷いた。消滅は復活も許されず、誰にも覚えられず消えること。もしハレティが消滅したなら、アルメト様の伝説も変わってしまう。もしかすると全く別のものになってしまうかもしれない。それは避けたいものだ。

その時、しんみりした空気の私たちにレインが反論した。


「ちょ、ちょっと待てよ!お前の呪いの魔力は消えてないんだぞ?!あいつが弱ってるって決めつけたらダメだと思う!」

「でも……」

「でもじゃない!オレは諦めねぇぞ!きっと解決策があるはずだ!」


レインは叫ぶなり部屋から飛び出していってしまった。ヘラは窓から外を見て、「今日はやけに空が暗いな」と呟いた。

その日、結局レインは戻って来なかった。



翌日。元魔王軍のカリビアさんに勝つための作戦会議が始まった。


「……昨日、すごい雨だったのに雪が解けないのね」

「クノリティアはそれほど寒いんだ。……で、カリビアさんに勝つ方法だけど……」


昨日寝る前に雷が鳴っていた。そういえばレインは大丈夫だろうか。魔法で身を守ったと思うけど。

それより今はスフィアの話だ。私はベッド脇の机に置いていた本を手に取った。


「この本に書いてそう」

「ムジナの日記、か」


寂しそうな顔をしてヘラは本に触れる。すると本が光り出した。


「な、何これ?!」


光が収まると、奇妙なところで私一人、本を持っていた。


「ヘラ……は?」


辺りを見渡してもヘラはどこにもいない。それどころか目に映るのは先程の部屋ではない。

手元の本を見ると、あるページに光り輝く栞が挟まっていた。そのページを開くと、それは見覚えのあるページだった。

ところどころ見えないページ。不穏な内容のページだった。しかし今は見えなかったところが赤く記されており、読むことができた。


『今日、ヘラがやって来た。 でも血まみれだった。ヘラの姿を見て固まるオレにヘラは笑顔で言ってきた。「俺ね、今日、吸血鬼を殺したんだよ。すごいでしょ?でもね、リメルアは『私はあなたを憎むわ。私は不死だから、いつか復活したとき、あなたを殺すわ』って言ってきて、ちょっとびっくりしたよ」って。だからしばらく遊ばないようにした。オレはヘラが怖かったのかもしれないから。』


私は息を飲んだ。

ヘラが吸血鬼を殺した?しかもリメルアってアルメト様の伝説にちょっとだけ出てきた悪い吸血鬼……。そして今、ヘラを憎んでいる?だとしたらヘラを保護するということは……。


考え込んだその時、再び視界は光に包まれた。

どうも、グラニュー糖*です!


なかなかヤバイ内容ですよね。

でもこれがヘラなんです……!


では、また!

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