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怪奇討伐部Ⅱ  作者: グラニュー糖*
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繰り返す過ち

第十一話 洞窟を抜けて



 ハレティは目測を誤っていた。

 クノリティアの雪山だと思っていたのは、これから向かうキスタナ洞窟に積もっていた雪だったのだ。よく崩れないなとは思っていただろう。

 私たちは三日かけ、大都市エメスを抜けた。彼はいつも窓からクノリティア方面を見て、どのくらいで到着するかを考えていた。

 私はいつも窓を見ているハレティにこう言った。「早く終わらせたいの?」と。すると彼は「いえ。しかし……」とはぐらかしていた。

 そんなある日、ヘラが私に手招きした。


「スクーレ、ちょっと……」

「?」

「ハレティのことなんだが……」


 よく考えてみれば、このパーティは変な人だらけ。幽霊と仏頂面のインキュバスと殺人呪術師だ。

 そんな三人のなかにいるインキュバスが少し悲しそうな声で私を呼んだ。


「最近……霊力が足りないらしいんだ」

「霊力?」

「あいつは……あと一回攻撃を受けると消滅してしまうだろう」

「消滅……?!」


 私が目を丸くして驚くと、ハレティが音も無く忍び寄ってきた。


「知ってたんですね、ヘラくん」

「「!!」」

「さすが夢魔……夢の中で赤いものが見えたと思ったらあなたでしたか」


 私はその言葉を聞き、不思議に思った。幽霊は眠れないんじゃないか、と。その質問の答えはすぐに返ってきた。


「人は皆、起きているときも夢を見ているものなんです。私のような幽霊も同じです。まだレインさんには内緒ですが……そろそろ限界ですね」


 ハレティは前の方でズカズカと歩いているレインを見ながら苦笑いした。


「以前は霊界に戻ると自然回復していたのですが、今はあの人がいるので回復しません。なのでしばらくペンダントに戻ってますね。念話も霊力を消費するのであまり話せません。もちろん聞くこともできません。なのでスクーレ、ヘラくんとレインさんを信じなさい。あなたに幸福が訪れんことを」


 ハレティは話すだけ話してペンダントに戻ってしまった。最後に幽霊らしからぬ言葉を残して。

 一気に静まり返った道。ハレティの周りに飛んでいる幽霊たちも消えてしまい、話し声が聞こえなくなった。

 一人いなくなるだけでこんなに変わるなんて思わなかった。

 そういえばヘッジさんは元気かな?いきなりどこかに行ってしまったので探しようがなかったから……。



 しばらく歩くと、キスタナ洞窟が見えてきた。この先はヘッジさんの故郷、クノリティアだ。そして次のスフィアがある。


「おっきな洞窟だなー」

「天然の洞窟だ。最近恐ろしいモンスターがいるという噂があるぞ」

「えっ?!どんなモンスターなの?」

「それは……」

「きゃっ?!」


 ヘラが口を開けたとき、突然洞窟からコウモリの大群が飛び出してきた。彼が目を丸くするのは無理もない。本当に大群なのだから。


「……駆け抜けるぞ」

「デスヨネー」

「レイン、いけるか?」

「よっしゃー、競争だ!」

「聞くまでもなかったか……」

「ズルいわよ、二人とも!翼あるなんて」

「そこかい!」


 真顔でつっこむヘラは怒ってるのかどうかわからない。結局私たちはモンスターに出会いませんようにと祈りながら競争を始めた。



「……レインはどこ?」

「そっちじゃねぇの」


 早速嫌な予感が的中した。レイン速いなーなんて思っていたら見失ってしまったのだ。


「……何か聞こえるけど」

「気のせい気のせい」

「ぎゃあああああああ!!!」

「……化け物?!」


 レインを見失ったのは二つに別れた道の途中だ。二人が歩いている方が正解で、レインが走っていった方にモンスターがいたのだろう。


「とにかく助けにいこう!」

「いいじゃない」

「何でだ?」

「……ヘラと二人だなんて初めてなんだから」

「??」


 寒冷地の近くの洞窟なので風が冷たく、水晶はキラキラと光っている。こんな幻想的な光景は初めてだ。

 壁に触るととても冷たかった。少しだけ氷が張っている。しかしところどころ破壊されている。恐らくモンスターのせいだろう。

 こんな相手と戦うのか。いや、今この瞬間、レインは戦っているのだろう。


 ____私は無意識のうちに息を切らせて走っていた。



「くそっ……冷てぇなぁ」


 レインと対峙しているのは水色の氷でできたモンスターだ。自由に形を変えられるのか、ウネウネと蠢いている。

 モンスターがレインの方へと触手のような氷の腕を彼へ向けて射出した。レインは翼を使って避けたが足をすくわれ、地面に叩きつけられた。その触手はピキピキと音を立てながらどんどん凍りついていき、レインの足を完全に固定した。

 他の触手も動き始め、レインの胴体も冷たい地面に固定した。


「やべぇ……寒い……っ!」


 薄れゆく意識のなか最後の力を振り絞り、スクーレとヘラの名を叫んだ。



「レイン!」


 私たちはそこら中に爪痕が残る広間へとたどり着いた。その中心にレインの姿があった。


「待て、何かがおかしい」

「え?」


 ヘラが静止の声をかける。

 その声に反応したレインがこちらを向くと、そこには水色の氷でできた仮面をつけたレインが立っていた。


『マタ……会ッタナ……』


 ケタケタと笑うレイン。しかし姿がレインなだけで、中身は全く別のモノに感じた。


「わかったぞ」

「何が?」

「この洞窟から出られないと噂があったが……あの仮面の正体と戦った冒険者の姿を映し、同士討ちさせる……そして俺らはパーティで活動しているからその姿を映されたレインと対峙してる……ということだろう」

「なんとなくわかったわ。アレはレインじゃない、ということでしょ?」

「その通り。さぁ、ボコるぞ」

「おー!」

『オ前ラ……』


 呆れたような声を出すモンスター。反応も話し方もレインそのものなのに違和感がある。それに本物のレインはどこに行ったのだろうか?私は戦いながら探すという選択肢を選び、大きな斧に手をかけた。

どうも、グラニュー糖*です!

二日連続バイトだったので、眠いです。

明日はグランフロント大阪にて学校のイベントの手伝いに行くので、時間がある方はぜひお立ち寄りください!簡単に言えばゲームイベです、はい。


オリジナルモンスター作るの、意外に好きなんですよね。


では、また!

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